多くのランナーやウィンタースポーツのアスリートは、「寒い中を走るのは、見た目ほど大変ではない」と言います。

確かに、最初の数分はつらいですが、厳寒の冬の日に耐えられる自分の力に驚くはずです。

しかし、冬のランニングが「大変」から「危険」に変わるのはどこからでしょうか。

どのぐらい寒いと屋外でのランニングを控えたほうがいいのでしょうか。

寒さの感じ方は人それぞれ

近所をぐるっと走ってくるのに、「寒すぎる」という明確な基準はありません。

米国スポーツ医学会は、風の冷たさー18℉(ー7.7℃)以下の場合は、凍傷のリスクが高まるので、屋外でのランニングを控えることを推奨しています。

しかし、これは厳格なルールではありません。

Run Boulder Athletic Clubのヘッドコーチであり、2度のオリンピック出場経験があるKathy Butlerさんは、「風がなく、晴れていて、かなり重ね着していた」日には、10℉(ー12℃)という寒さでもグループのトレーニングがうまくいったことがあるとRunner's Worldに語っています。

気温が0度以上の日が続く冬の日のほとんどは、「寒すぎる」というのは個人の感覚によるものでしょう。

スポーツ医学を専門とするMount Sinaiの整形外科医で医学博士のAlexis Colvinさんは、POPSUGARの取材に対して、「適切な予防策を講じれば、寒くても運動することはできる」と述べています。

凍える寒さの中、ランニングに出かける勇気がある人のために、いくつかの注意点をご紹介しましょう。

ランニング中の寒さによる怪我を防ぐ方法

ここでは、アメリカスポーツ医学会が提唱する、運動中の寒さによる怪我を減らすためのコツをご紹介します。

  • 頭、顔、脚、足、手は凍傷になる危険性が高いので、しっかり覆う。
  • 雨や雪などで湿気が多いと、寒冷障害のリスクが高まる。
  • 滑らないように適切な靴を履く。
  • 温かさを保ちながらも汗をかきすぎないように衣類を調整したり上手に重ね着をする。
  • 風速に注意する。例えば、気温が30 ℉ (-1.1℃)で風速が10 mphの場合、実際の気温は21℉(-6.1℃)になります。風の冷たさを計算するのに役立つ電卓はこちらから。
  • 気温が-8℉ (-27℃)以下になったら、できるだけ運動は避けること。このような状況では、30分以内に身体の組織の損傷が発生する可能性があるため。

さらに、冬のワークアウトを最大限に活用するコツをご紹介します。

正しいランニングギアを身につける

寒い日のランニングを乗り切る鍵は「重ね着」です。

「寒い中をランニングしていて怪我や病気になるのは、たいてい服装が適切でないことが原因です。また、寒いときには思いがけず脱水症状を起こすこともあります」とButlerさんはRunner’s Worldに語っています。

(冬でも寒さに負けずにランニングするための徹底ガイドはこちらからどうぞ。また、寒い季節に適したランニングウェアの例を紹介するビデオガイドもあります)。

口呼吸しないように気を付ける

先週、私は0℉(-17℃)で数マイル走ったところ、今は猛烈な喉の痛みと戦っています(どうやら、冷気が大切な粘膜の水分を奪ったようです)。

空気が寒くて乾燥しているところを走るときは、特に口呼吸に気をつけましょう。マスクをしたり、咳止めドロップをなめて鼻呼吸の練習をしたりするのも効果的です。

道路の凍結に注意

地面に積もった雪の下には氷が隠れていることがあり、転倒したり、怪我をしたりする恐れがあります。

安心して走れる舗装された道がないときは、屋内で運動することをおすすめします。

走行距離やルートなどを適宜変更する

私はいつも、最初の1マイルで何らかの違和感を感じたら、引き返して歩いて帰ってもいいと自分に言い聞かせています。

極端な天候の場合には、自分自身に特別な配慮をしてください。

どうしても走行距離を1マイルも短くしたくないなら、ルートの半分を屋外で、半分をトレッドミルで走るというハイブリッドプランを考えてみましょう。

また、重ね着した身体が対応できるようにルートを変更することも有効です。最初の1マイルで余分な衣類を脱ぎ捨て、帰りにそれを拾えるようなランニングを計画しましょう。

ランニングの後は身体を冷やさないようにする

すぐに熱いシャワーを浴びたり、暖かくて乾いた服を着てください。温かい飲み物を飲むのもいいですね。

まとめ

かなり寒くても、凍傷などのリスクを負わずに屋外でランニングすることは可能です。

しっかり防寒していれば、あとは身体の声に耳を傾けて、できるだけ寒さに順応できるようにしましょう。



Source: ACSM, PubMed, Kathy Butler, Runner's World, POPSUGAR