仕事と勉強の成果が変わる! 東大超速集中力』(西岡壱誠 著、だいわ文庫)の著者は、東京大学経済学部4年生。高校時代は集中力に欠けた典型的な「ダメな子」で、高校2年3月時点での偏差値は35だったのだとか。

にもかかわらず、ひょんなことから東大受験を決意し、勉強に没頭するべく試行錯誤を繰り返した結果、集中力を圧倒的に高めることに成功。東大模試全国4位を獲得し、逆転合格を果たしたのだそうです。

そんな経験に基づいて力説しているのは、「集中力」の重要性。圧倒的に集中し、1時間の効率をグッと上げることが重要だというのです。

同じ1時間を過ごしていたとしても、全然集中できない人の1時間とすぐにものすごく集中できる人の1時間は全然違います。

集中できない人の10時間を遥かに凌駕する勢いの1時間を過ごすことができるわけです。そう言う人は、他の人と比べて超速で結果を出すことができるはずです。

そしてこれから求められるのは、こう言う「前のめりで超速の集中力」です。

ガッツで押し切ろうとする「耐える集中」ではなく、こうした、いかに効率よく勉強を進めていくかという「楽しむ集中」に他なりません。(「はじめに」より)

たしかに集中しているときは、「集中しよう!」と思っているわけではなく、「気がついたら集中していた」ということのほうが多いはず。自然と楽しんでいるからこそ、結果的には集中できるのでしょう。つまりそれこそが、「前のめりな集中」だということ。

こうした考え方を念頭に置いたうえで、第1章「『前のめり』になる対象を明確化する」を見てみましょう。

明確化のための必須行動は「切り捨て」

「集中する」とは、どういうことでしょうか? この問いに対して著者は、ちょっと意外な主張をしています。「集中する」ことの本質は、

集中する=切り捨てる

(49ページより)

だというのです。このイメージを理解していないと、うまく集中することができなくなってしまうそう。

「集」という字は、「集める」という意味です。

集めるというのは、バラバラのものを1つのところにまとめることを指しますね。つまりは集中というのは、散らかった意識を真ん中の1箇所にまとめることを言うのです。

これってつまりどういうことなのかと言うと、集中というのはいろんなことをしたり、考えたりする状態ではないということです。

むしろその逆で、他の意識をシャットアウトして、何か1つのものを選んでそこに全ての意識を持ってくることなのです。

(49ページより)

「ひとつの物事しか考えられない状態になっていること」こそが、集中の本来の姿だということ。

ひとつの物事以外を切り捨てて、他の物事を考えられない状態にしたのが集中だというわけです。したがって「集中」するためには、そして「前のめり」になるためには、あることをしなければならないのです。それは、

選択

です。

自分が何に対して集中したいのか、そしてそれ以外の何を切り捨てなければならないのかを考えるという取捨選択の過程が、実は絶対的に必要なのです。(50〜51ページより)

つまり「集中したい!」と思っていてもなかなか集中できないというときは、「集中したい対象」が明確になっていない、すなわち「選択」できていないということ。

たとえば漠然と「勉強に集中したい」といっても、その勉強は多種多様。教科書を読み進めたいのか、教科書の内容を理解したいのか、暗記したいのか、それが明確になっていないから集中できないという可能性が高いわけです。

一方、スマホやゲーム、パソコンなど「集中状態を阻害する要因になるもの」を排除すると、手っ取り早く集中することが可能。いうまでもなく、そうすればひとつのことに意識を向けられるようになるから。つまりは集中すべきものを選んで、それ以外のものを切り捨てることが重要であるわけです。

集中するとは、選ぶことです。(52ページより)

著者は、こう断言しています。つまり、具体的で明確な「集中する対象」を選択し、それ以外を切り捨てる必要があるという考え方です。(48ページより)

「集中する対象の選択」=「目標設定」すること

この場合の「選ぶ」とは、「目標設定」をするべきだということ。

どういう目的でいま、目の前のことに一生懸命がんばっていて、どういう目的を達成できれば成功になるのか?

こうした問いにきちんと答えられる状態になっていると、「集中する対象」が見えていることになります。そのため、どんな物事に対しても集中できるようになるのです。

逆にいえば、そうしたことがしっかり見えていない状態でいくらがんばったとしても、他のことに気を取られたり、目的と違うことに意識を持っていかれたりして効率が上がらないわけです。

「とりあえず頑張ってみよう!」「いろんなことに対して集中しよう!」とするのではなく、「これ!」と決めた何かのために一意専心するというのが、集中の本来あるべき姿なのです。

そしてそのためには、「目標」が明確になっていることが必要不可欠なのです。

とにかく目標を設定して、集中しなければならない相手の輪郭をはっきりと捉えること。

それによって、いらないところに労力を割かないようにすること。(50〜51ページより)

これは、意識しておくべきポイントではないでしょうか。(52ページより)

もともと集中力がなかった著者が行き着いた独自の“集中テクニック”がベースになっているだけに、誰でも無理なく活用することが可能。もちろん勉強のみならず、仕事や読書などにも応用することができるでしょう。

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Source: だいわ文庫/Photo: 印南敦史