慌ただしさからイライラしやすいときでも、ささいなことでパートナーや家族とぶつかるのは避けたいところ。ケンカになりそう……と感じたら、怒りをコントロールする「アンガーマネジメント」を取り入れてみませんか?

怒りと上手に付き合い、大切な人との繋がりを壊さないための考え方とスキルを、『もう怒りで失敗しない! アンガーマネジメント見るだけノート』(宝島社)からご紹介します。

怒りの感情は、持つべきではない?

怒りの感情と上手に向き合うための心理トレーニングとして、1970年代にアメリカで生まれたアンガーマネジメント。本書の監修を手がけた安藤俊介さんは、日本におけるアンガーマネジメントの第一人者です。

安藤さんが考えるアンガーマネジメントの定義は、「怒りの感情で後悔しないこと」。本書では「怒りを味方につけるためのロードマップ」に従って、怒りをコントロールする方法が豊富なイラストとともに紹介されています。

「怒るなんて大人げない」と聞かされて育つ日本人にとって、“怒りを味方につける”というのは少し違和感をおぼえる視点かもしれません。

しかし安藤さんは、怒りという感情を知ろうともせずに敵視する私たちの思い込みが、逆に怒りによる失敗を生み出していると指摘しています。

喜びや悲しみと同じように、怒りも生まれつき人間に備わった自然な感情です。「怒ることは悪いこと」「怒りの感情は持ってはいけない」というのは誤解で、怒りを無視してはいけません。大事なのは怒りを認めるとともに、「その怒りは損か得か」という視点を持つことです。(『もう怒りで失敗しない! アンガーマネジメント見るだけノート』20~21ページより引用)

人が怒るのは、そのままにはしたくない“何か”、言わなければならない“何か”があったから。そんな自分の感情を認めてあげることが、アンガーマネジメントの第一歩

そのうえで、「その怒りは、自分や相手にとってプラスになるのか」という冷静な視点を持つことができれば、怒りで後悔することが減ると安藤さんは語ります。

「誰か」に怒らされているのではない。「自分が」怒りを選んでいる

私たちが怒ったり、イライラしたりするとき、その対象は多くの場合「他人」や「できごと」です。しかし安藤さんによると、怒りの本当の原因は「自分のなか」にあるのだそう。

というのも、人は自分のなかに「~すべき」といった「ゆずれない価値観」のようなものを持ち、それに相反するものと直面したときに怒りが生まれるからです。(中略)これは、その人自身が「怒る」を選択していると言えます。

「誰か」や「何か」に怒らされているのではなく、「自分が」怒りを選んでいるということに気がつくと、怒りをコントロールしやすくなります。(『もう怒りで失敗しない! アンガーマネジメント見るだけノート』22~23ページより引用)

怒りの原因は「相手」や「できごと」ではなく、自分自身の「ゆずれない価値観」。この認識を持つだけで、日常の怒りの多くは冷静に受け止められそうな気がします。

イライラしたときは「実況中継」が効く

身近な人とケンカになるときは、相手の怒りにつられるパターンも多いと思います。そんなときに思い出したいのが、「相手の感情を俯瞰する」という方法です。

うれしい、悲しい、怒りといった感情は人に伝染しやすく、心理学では「情動伝染」と呼ばれます。

怒りの感情はエネルギーが強く、他人に伝染しやすいのが厄介。相手に怒りをぶつけられると、「冷静に……」と思っていてもヒートアップしてしまうのはそのためです。

相手が感情的になっているときは、「これは相手が生みだしている感情なんだ」と俯瞰するのが大切です。相手と自分の間にバリアを張るようなイメージで相手の感情と自分の感情を切り離すことができると、相手の怒りにつられにくくなります。(『もう怒りで失敗しない! アンガーマネジメント見るだけノート』154~155ページより引用)

こんなときに使いたいのが、安藤さんが「実況中継メソッド」と呼ぶスキル。怒っている相手を観察し、脳内でアナウンサーのように実況中継してみるのです。

相手の心の中を想像し、「おや……勝手な思い込みから怒りが爆発してしまったようです」などと実況してみると、より相手の心を客観視できるようになるため、自分の心を落ち着けることができるのだそう。

この「実況中継メソッド」は、自分が怒りを感じているときにもおすすめ。「私は彼をじっと見ています」「指をぎゅっと握っています」など、意識を“今の自分の状態”に向けることで、心は落ち着きを取り戻します。

「この怒りは、自分や相手にとってプラスになるのか」と、冷静に考えることもできるようになるはずです。

アンガーマネジメントというと、怒りたくなったら6秒数える「6秒ルール」がよく知られています。こちらの「実況中継メソッド」は待つのが苦手な人も実践しやすく、会話の最中でも取り組みやすいのが特徴。

イライラが募って「このままではケンカになる!」と気づいたときは、ぜひ試してみてください。


執筆:田邉愛理

MYLOHASより転載(2022.01.18公開記事)