早くも2022年の6分の1が過ぎました。
皆さんの今年の目標は何ですか? その実現に向けて行動できていますか?
目標達成のために新しい習慣を取り入れ、自分を変えるのはなかなか簡単なことではありません。そして、それは万国共通のようです。
新しい行動を習慣づけるための2つのポイント
Katy Milkman教授の「新しい行動を習慣づける」ためのストラテジーを挙げたNPRの記事によると、「ある程度の柔軟性を持つ」「先延ばししないために制限を設ける」が挙げられています。
Milkman教授は、名門のペンシルバニア大学ウォートン・ビジネスクールで教鞭をとり、『How to Change』という著書がある、自分を変化させるための行動についての専門家です。
この記事を読んで上記の2点に納得したのは、自分のワークアウトの習慣化にそれがまさしく深く関わっていたからです。
筆者は車社会のアメリカに引っ越してから歩くことも減り、ワークアウトをしなくてはとずっと思っていたのですが、なかなか習慣化することができませんでした。
この2年ほどでようやく習慣と言えるほどルーティン化できたのは、まずきっかけがありました。検診で骨密度が下がっていることが判明したのです。
加齢とともに起こることとはいえ、薬の継続的な服用はなるべく避けたい。となると、筋トレと食事という基本に立ち返るしかありません。
ついにそのときが訪れたのです(脳内では林修先生の「今でしょ!」という喝が聞こえてきました)。
習慣化に至るいくつかのステップ
最初はいろいろ試行錯誤もありましたが、習慣化できている現状を振り返ってみると、やはり柔軟性と制限のバランスが自分にはちょうど合っていることが大きいと感じています。
その自分に合ったバランス、ルールが確立するまでには、いくつかステップがありました。
まず、記事執筆や翻訳で自分に役立つ情報収集をしました。また、自分より筋トレに詳しい夫にも相談したりして、ワークアウトのメニューをおおまかに決めました。
最初は腕立て伏せも膝をつけてでなければできないほどで、元体育会系としてはかなりショックを受けました…。でも、できる範囲からはじめて(たとえば、腕立て伏せなら膝を床につけて3回を2セットなど)、少しずつ回数や負荷を増やしていきました。
ただし、毎週何%アップとか、何セット追加する、というような量や頻度についての決まりはつくりませんでした。
また、行動を習慣化するのに役立つ環境づくりもとても重要でした。筆者は面倒くさがりで、ジムに通う(=着替える、車を運転する)こと自体が大きな壁になっていたのですが、コロナでほかの要素も加わって、ジムでワークアウトをすることは完全にオプション外に。
こうして、自宅にツールを揃え、できるだけ仕事机の近くに置くようにしました。
行動を続ける中で確立してきたルール
以前どこかで読んだ「三日坊主を何度も続ければ継続」というマントラ(?)を頭の片隅に置きながら、ワークアウトを少しずつやっていく中で、次第に自分に合ったルールが固まってきました。
その一部をご紹介します。
- 筋トレは週3回、基本は月水金。できない場合は曜日を変更してもよい。
- 午後2時までに開始する。無理な場合はそれ以降でもOK。
- 体調が優れないときは、体と相談しながら行なう。
- 自分に合った方法で記録する(アナログ人間なので、デバイスやアプリは使わず、ノートに書き込んでいます。成果が実感できるなら、記録媒体は何でもいいと思います)。
ほかに、私のワークアウトのルールとして、前回または前週よりも少しずつ負荷を上げていくことにしています。全体的に見て負荷や回数が上がっていけばいいので、細かい数値を見て一喜一憂することは少なくなりました。
意欲が上がるロールモデルとプラスαの効果
それから、具体的な目標というか、ロールモデルも見つけました。
瀧島未香さんです。
ご存知の人もいると思いますが、現在90歳の日本最高齢フィットネストレーナー。年齢面でも筋力面でもずっと先をゆく大先輩です。
65歳から筋トレをはじめた“タキミカさん”という具体的な目標ができたことも、ワークアウトを支える一要素となりました。
また、先日『最強脳』(新潮新書、アンデシュ・ハンセン著)を読んでいたら、冒頭からいきなり結論が。「脳を鍛えるには運動をしよう」。おお! 筋トレは一石二鳥どころか、三鳥も四鳥もありそう。ますますモチベーションがアップしています。
ワークアウトをするかしないかで分かれる二極化されたゴール
ワークアウト習慣化までの流れをまとめてみると、現実を突きつけられたきっかけ、情報収集、サポート、行動を促進する環境づくりが中心にあり、そのあとに具体的なロールモデルの存在や追加のメリットが判明して、その習慣を続ける意欲アップにつながっています。
ルールについてはまず大まかなものがあり、行動していくうちに自分に合った、つまり自分が続けていって習慣化できる、柔軟性と制限のバランスが取れている実践ルールが確立していきました。
子どもの頃、ボードゲームの「人生ゲーム」が大好きでよく遊んでいました。
ゴールは成功者として大邸宅に住むか、貧乏農場へ行くかの2つ。現実的にはその間に数多の結果があるのですが、今考えてみると極端に二分化されたゴールを子どもに教え込む(?)世知辛さを感じずにはいられません。
ただ、私のワークアウトの場合は二極化のゴール、つまり「筋トレをして筋力を保ち元気で過ごす(タキミカさんのように)」か「筋トレをせずに体力気力の衰えを許す」しかないと感じているのです。どちらを目指すかは明らかです。
「成果を実感→意欲アップ」の好循環が生まれる
習慣化していくうちに、日常生活で筋力アップが体感できたら、しめたもの。
以前は上まで自転車で上れなかった坂が上がれるようになった、重い荷物をさっと持てた、駅までダッシュしても息切れしなくなった、などなど。
私の具体例には次のようなものがあります。
- 腕立て伏せの回数:膝つきで10回もできなかったレベルから、普通のポジションで約30回できるようになりました。
- 握力アップ:最初は閉じることができなかった60ポンド(27kg)のハンドグリッパーが閉じられるようになり、今では80ポンド(36kg)に昇格です。
- ケトルベルのデッドリフトの重量アップ:自宅のツールを紹介した2020年7月の記事の時点では重くて使っていなかった24kgのケトルベルで、現在は15回 x 2セットやっています。
私のワークアウトは個人的な体験にすぎませんし、決まった期限や数値のある目標では戦略が多少変わってくるかもしれません。
それでも「制限」と「柔軟性」のバランスは行動につなげるポイントになると思います。巷にはたくさんの情報があるので、取捨選択して自分のルールやルーティンをつくっていく、その過程を楽しんだ結果として目標が達成できたら、もっと楽しくなることでしょう。
私はワークアウトが「楽しくてどんどんやりたい」という心境までは至っていませんが、「いやいや度」はかなり下がっており、今では「これをやったらメリットたくさん度(&それを実感)」がアップしています。
現在公開中の特集「自分だけのニュースタンダードをつくろう」でも、目標設定や達成のコツについて紹介しています。合わせて読んで、ぜひ今年こそ「新しい自分」を切り開いてみてください。
Source: NPR