地方都市から全国のアルバイト採用を支えるエスプールリンク。同社の4拠点目として開設されたのが、徳島県小松島市のセンターだ。そして、人が離れていく状況下で、センター長を務めることになった卯月良太さんの道のりは決して平坦ではなかった。
苦難を乗り越え挑戦を続ける卯月さんの思いと、その軌跡に迫る。
仕事を楽しむという価値観。OMUSUBIの文字が、出会いのきっかけ

地方創生に取り組むエスプールリンク。その小松島センターのセンター長を務めているのが、2018年に入社した卯月さんである。
前職では、製造業界にて管理者を務めていた卯月さんだが、新たなキャリアとして最初に選んだのは、エスプールリンクではなく、農業だった。
仕事をやりきって退職したので、前職に未練はありませんでした。そんななか、親が歳をとったこともあって、親父に教えてもらいながら農業をやりたいなと思ったんです。
しかし、根っからの仕事好きである卯月さんには、次第に企業で働きたいという思いが芽生える。そんな卯月さんが偶然出会ったのがエスプールの求人だった。
特に前職の経験を活かしたいとかはなかったので、未経験の新たな仕事を探していました。そして、いろいろと調べるなかで目に留まったのが、“OMUSUBI”って文字が書かれた求人票だったんです。
こんな片田舎に都会の企業が来て、横文字のサービスで事業展開してますって求人票を見つけて、「なんか楽しそうだな」って思いました。これが、エスプールと出会うキッカケでしたね(笑)。
「仕事を楽しむ」をモットーにしていた卯月さんにとって、「楽しそうである」ことは新たな環境へと飛び込む理由として十分なものであった。
「仕事を楽しむ」ことは、前職での経験から大切にしています。前職で管理者を務めていたんですが、「人を動かすにはどうしたらいいか」を常に考えていました。さまざまな上司のマネジメントを受けた経験から「仕事を楽しむ」ことを重要視していました。
しかし、卯月さんのエスプールでのキャリアは、紆余曲折な道のりをたどることになる…。
パートからセンター長へ、苦境に立たされた地方センター

卯月さんのエスプールでのキャリアは、パートからはじまった。
そもそも農業と両立できればいいなと思い、エスプールにはパート採用で入社したんですよね。農業が忙しい時期は休ませてもらう働き方でした。
しかし、卯月さんが入社して1年ほど経つと、小松島センターの状況は少しずつ悪化していく。当時の小松島センターでは、センター長が体調不良で退職し、その後もオペレーターの離職が続く時期があったのだ。
そして、オペレーターの人数が減り、コールセンターの運営が危なくなったことによって、小松島センターの雰囲気が悪くなり、さらに人が辞めてしまうという悪循環が発生していた。
遂には、卯月さんの前任の管理者も退職してしまい、まさしく小松島センターはどん底の状況だった。そんな時に後任のセンター長として声がかかったのが卯月さんである。
前職で管理者経験があったこともあり、お声がけいただいたんだと思います。打診いただいた直後は悩みましたね。
でも、「状況としてはこれ以上悪くなることはないし、むしろチャンスだよね!」と思いました。また、“人を大事にする”センターにしたいって軸があったので、引き受けることにしました。
こうして、どん底の小松島センターの立て直しがはじまる。
「人を大事に」、ひとりひとりに向き合ったセンターの立て直し

コールセンター長に任命された卯月さん。当時のセンターの状況をこう語っている。
コールセンターは人がいて回るものですから、当時はとにかく人がいない状況で運営することがしんどかったですね。みんな疲弊していました。人を増やして、育てて、安定稼働させるのって1〜2週間でできることじゃないので、すごく根気のいる仕事でしたね。
そして卯月さんは、マイナスの雰囲気が漂う小松島センターを、プラスに変えることに奔走する。
小松島センターのひとりひとりのメンバーとめちゃくちゃ面談しました。面談では、こういうセンターにしたいって想いを伝えて、そこを軸にちょっとずつ、メンバーの気持ちを上向かせて、雰囲気をプラスに変えていきました。
当時残ったメンバーはすごく協力的だったので、僕1人の力ではなくて、ついて来てくれたメンバーの力が大きかったと思います。
卯月さんが面談でメンバーたちに伝えていたのは、「仕事を楽しむ」という行動原理に紐付いたビジョンだった。
とにかく明るく、楽しく、前向きに。これを小松島センターのスローガンのように唱えながら、「ここはみんなのセンターなのだから、みんな次第で変えられる。みんなで楽しく仕事をできる環境に変えられる」と伝えていましたね。
人を大事にすることにフォーカスを当てて取り組んだ地道な努力が徐々に身を結び、一時は6人まで減ってしまったメンバーは2021年4月時点で20人まで増えた。
センター長になったときに第1ステップとして、20人規模のセンターを目標としていました。20人になったことで、役職者もつくれましたし、みんながキャリアアップを図れる環境が整ってきたので、その目標は1つの区切りになりましたね。
信頼されるセンターへ、新たな挑戦

どん底の状況から脱却した小松島センター。卯月さんはその今後の展望をこのように語る。
今、新たにエスプールリンクの新規事業サービスを小松島で取り入れていて、会社で初めてWEB面接代行や電話面接代行を対応します。
そういった新規事業を積極的に対応できるセンターづくりを行なうことで、エスプールリンクのなかで最も輝き、信頼の置かれるセンターにしたいと思っています。そしてゆくゆくは、小松島、ないしは徳島県内にもう1つセンターをつくりたいと思います。
また、自身のキャリアについては、一貫して、「今後も楽しそうなことをやりたい」と語っている。
自分自身色んな仕事を経験してきて、楽しさって成長とリンクしていると思うんです。
なので、エスプールのなかで新しく楽しい環境を探すなら、キャリアアップすることも大切です。
小松島のメンバーのキャリアアップが成長につながるのであれば、センター長の座を明け渡すのもありですね。やっぱり自分のつくってきたセンターで、みんなが1つずつ出世するのは楽しいじゃないですか。
そしてそれは、みんなの喜びであり、僕の喜びでもあります。入社から自分が面談した人が一生懸命仕事して、出世していくのは見てて楽しいし、ワクワクするんですよ。
パート採用でエスプールに入社した卯月さんは、センター長へ抜擢され、倒れかけていたコールセンターの立て直しまで駆け抜けてきた。卯月さんは今後も「仕事を楽しむこと」を行動指針としながら、「人を大事にする」組織を目指して挑戦を続けていく。