キャッシュレス決済が増えたといっても、完全に財布レスというわけにはまだいきません。日常生活で財布ないし小銭入れを持ち歩くことはまだ当たり前のことです。
一方で、小銭が出るとかさばるのがイヤで、帰宅すると空き缶や貯金箱に放り込んでは身軽な外出としている人もいるはずです。小銭貯金は手軽なお金の貯め方のひとつとして古くからあります。
しかし、その小銭、溜め込むとむしろマイナスになってしまうかもしれません。
ATMに小銭で出入金すると手数料がかかる時代になった
1月17日より、ゆうちょ銀行のATMが小銭の入出金について手数料を徴収することになり大きな話題となりました。
なんといっても51枚以上の小銭を入金すれば無条件で330円の手数料を取るわけで、全部1円で100円を入金したとすればマイナス230円というすごい話です。(*1〜25枚投入で110円、26〜50枚投入で220円の手数料が発生)
機械の都合上、100枚より多くはコインを入金できませんが、500円を100枚入れたところで、手数料が痛いことには変わりはありません。
当面は、窓口で50枚以下であれば無料の預け入れができます。こちらも51〜100枚で550円、101〜500枚で825円、501〜1000枚で1100円とけっこうな手数料が設定されています(以下、500枚ごとに550円加算)。
すでにニュースでは神社や現金払いの多い小売店の悲鳴の声が報じられています。
すべての銀行が小銭有料になったわけではありません。たとえば三井住友銀行はATMのコイン入金は無料(1回の入金で100枚まで)、窓口のコイン入金は300枚まで無料(1日あたり)としています(執筆時点)。
今後、各行が有料化に踏み切る可能性もあり、「完全キャッシュレス化」を目指した準備をしておいたほうがよさそうです。
小銭対策2つ。ミニマム財布とキャッシュレス決済への移行
個人として、小銭を持たないための対策は基本的に2つです。
「小銭を極力持たないようにする」ミニマム財布のアプローチと、「小銭を使わず少額決済を行う」キャッシュレス決済のアプローチです。
また、最初にあげた「小銭貯金箱」は当然ながら禁止です。小銭が生じたら、そのままどこかで小銭を消費するようにします。家に帰ってポケットを軽くするのではなく、どこかで使い回すようにします。
そのために必要なのは、「財布を小さくする」ことです。最近ではミニマム財布が流行していますが、これは「現金をたくさん持たない」仕掛けづくりになっています。
小銭も十枚以上持つとパンパンになる入れ物にしておけば、「面倒だからとりあえず1000円札で払おう」を避けることになります。小銭を増やす理由の最たるものを封じ込めるわけです。
これを機に、キャッシュカードやクレジットカードを複数枚持ち歩くのはやめてしまいましょう。ミニマム財布のいいところは「持ち歩かなくてもいいものを断捨離する」きっかけにもなるところです。
手元にないと不安な方は、クレカをスマホに設定(Apple PayないしGoogle Payに登録)しておいて、もしものときに備えておくといいでしょう。
キャッシュレス決済活用シーンを増やす方法

次に考えてみたいのは、今よりもキャッシュレス決済の利用シーンを増やすことです。たとえば、私の生活シーンでいえば、現金払いが必須となるケースはほとんどありません。
現金払いが必要になるシーン
- コインパーキング
- 医者
- ゲームセンター(クレーンゲームやガチャガチャなど)
- 自動販売機
あたりに限られますので、一週間で数千円減らないこともしばしばです。
しかも、このいずれもがお店や機械によってはキャッシュレス決済に対応しています。
病院もクレカ対応していることが多いですし、クレーンゲームや自販機の多くはSuicaなどキャッシュレス決済に対応しています。小銭オンリーなのは、子どもにやらせるガチャガチャくらいです。
自分の生活シーンを改めて見回してください。「実は対応済みだった」を見つけるほど、小銭とつきあう可能性も減っていきます。
キャッシュレス決済が可能なシーン
- コンビニエンスストア
- スーパーマーケット
- ドラッグストア
- 家電量販店
- コーヒーショップ
- ファミレスなど
このあたりはキャッシュレス化は当然です。
小さなお店でも、ある日突然、キャッシュレス決済対応していることがあります。レジ周りを定期的にチェックしてみることです。
キャッシュレス決済について改めて確認をしておきますが、以下が4大キャッシュレス決済方法です。
- クレジットカード
- デビッドカード(銀行のキャッシュカードを使う)
- プリペイドカード(コーヒーチェーンなど)
- 電子マネー
このうち電子マネーについてはとにかくカードを持たずスマホに入れてしまうことがポイントです。
「Suicaなどおサイフケータイ系」と「QRコード決済」を複数設定しておくことで利用シーンを増やすことができます。
また、クレジットカードの利用を増やしてみるのもいいでしょう。金額が安いからと現金払いするくらいならクレカでまとめて請求をしてもらうスタイルに変えて、ポイントをゲットしかつ小銭をもらわないやり方にするわけです。
小銭を持たない時代の注意点は「肌感覚がないこと」
徹底的にキャッシュレス決済生活に切り替えてみると、「一週間たって、小銭を使う日が1日くらいしかなかったな」と変わってきます。そうすれば自ずと小銭問題は解決することになります。
しかし、「小銭を払わない時代」の注意点もありますので最後に少しだけ。
「財布が軽くなったので、節約モードで給料振り込み日までしのごう」という肌感覚がなくなるのが、キャッシュレス決済時代の怖さです。家計簿アプリなども使いつつ、家計管理を意識していきましょう。
キャッシュレスでも価格チェックは怠らない
またモノの値段が上がりはじめている昨今、値上げがピンとこないのもキャッシュレス決済の難しさです。
「いつもの感覚で買い物をして、おつりが減っている」という実感がないからです。今年は数十年ぶりに物価上昇元年になる可能性があります。これもまた、家計管理をしてしのいでいきましょう。
キャッシュレスの時代へ、流れを止めることは難しいですし、むしろ小銭が割高な時代は始まっています。今さらジャラジャラとATMに小銭を入金する時代ではありませんので、今年は一気に「完全キャッシュレスライフ」を目指してみてください。
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山崎俊輔
フィナンシャルウィズダム代表。ファイナンシャルプランナー。夫婦で共働き、共家事、共育児しながら子どもふたりを育てている。
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Source: Yahoo!ニュース,ゆうちょ銀行, 三井住友銀行/Image: Shutterstock