リモートワークはいまや、起業家やフリーランサーだけのものではなくなりました。最近では一部の企業で、従業員に対して、在宅勤務や、本来のオフィス以外の場所での勤務を許可する方針を打ち出すところが出ています。
こうした風潮は、近場ではなかなか仕事が見つからない地域に住んでいる人や、もっと家に近い場所で働きたいと思っている人に、新たなチャンスをもたらしたと言えるでしょう。
地理的な制約にとらわれず、好きな場所に仕事場を構えられることには、多くのメリットがあります。けれどもその一方で、自分に適したリモート環境をつくり上げるのは難しい場合もあります。
この記事では、リモートワーク環境の構築に苦労している人向けに、悩みの解決に役立つであろうポイントを8つご紹介します。
1. 専用の仕事スペースを用意する
専用の仕事スペースをつくるのは大事です。特に、在宅勤務の場合はとても大切になります。
家で働いていると、テレビやふかふかのベッドなど、家の中にある集中力の妨げになるものに気を取られ、つい脇道にそれてしまいがちです。
それだけに、「ここで仕事をする」という場所をきちんと確保すれば、集中し、モチベーションを保って仕事をするのに役立つでしょう。
また、あなたがビーチやコーヒーショップなど、家以外の場所からリモートで仕事をするタイプであれば、「リモートオフィス・バッグ」を用意するのも良い方法です。

これは、1つのバッグに、リモートで働く際に必要なツールをすべてまとめて入れておく方法です。
たとえば、ノートパソコン、イヤフォン、マイク、キーボード、ノートパソコン用スタンド、マウス、外付けハードディスクなどがあるでしょう。
これさえ用意しておけば、あなた好みのリモートオフィスを、気分次第でどこでも好きな場所に持ち運び、セットアップできます。
2. 家族や友人との間に境界線を設ける
自宅で働いているという理由だけで、個人的な用事をすべてシャットアウトすべきかといえば、そんなことはありません。
とはいえ、生活を共にしている人たちとの間に境界線を設け、「応対できる時」と「仕事中で対応できない時」がいつなのかをわかってもらうことが大事です。
ただし、それが難しいこともあります。特に、あなたがパジャマのまま仕事をしている場合、それを見ている家の人はなかなか区別がつきにくいでしょう。

幸い、ちょっとした工夫で、自分のその時々の状況をわかりやすく伝えることはできます。
たとえば、部屋のドアの外側にプレートを出して、ミーティング中であることを家族に伝えるといったことです。
また、ライトを用意しておき、コンテンツを収録しているので邪魔されたくない時には、これをオンにするという方法もあります。
3. ルーティンを設ける
ルーティンは、集中力を保ち、効率よく仕事をこなす後押しをしてくれるので、在宅勤務の役に立ちます。
可能であれば、毎日同じ時刻に起きるように心がけ、昼食や休憩も決まった時間帯にとるようにしましょう。また、毎日の仕事を切り上げる時間も決めておくと良いでしょう。
リモートワーカーとしてルーティンを管理する手助けとして、ルーティンに従う習慣をつけるためのアプリを試してみるのも1つの方法です。
『Habitify』や『Habitshare』など、計画通りに仕事を進め、1日中働き続けることを避けるのに役立つアプリの選択肢はいくつかあります。
4. テクノロジーを活用する
リモートワークの生産性を高めるためのテックツールは、数多く用意されています。リモートワーカーには、主にオフィスで働いているという人とはまた違ったニーズがあるはずです。
『Asana』や『Trello』などのプロジェクト管理ツール以外でも、仕事と家庭生活の両立を図るのに役立つ、タスク管理アプリを試してみたくなるかもしれません。
職種によっては、共同作業を助けるソフトウェアが追加で必要になることもあるでしょう。3Dクリエーターなら、NVIDIAの『Omniverse』、ユーザー体験(UX)デザイナーなら、『Figma』といったソフトが役立つはずです。

これに加えて、オフィス以外の場所で働く時に、使用しているデバイスを守るのに役立つツールも検討しましょう。パスワードマネージャー、タスク管理アプリ、VPNなどです。
5. 一緒に仕事をするチームとのつながりを保つ
リモートワークは孤独に陥りがちです。特に、一緒に働くチームのメンバーと対面で顔を合わせる場面が全くない場合は、孤独感が募るでしょう。
こうした理由から、利用できるあらゆる手段を使って人とつながっておくことが大事になります。例としては、「ビデオ会議ソフトを使う」「定期的にリモート会議の機会を設ける」、あるいは「『Slack』などのメッセージアプリを使う」といったものがあります。

こうした手段に加えて、井戸端会議専用のチャンネルやチャットグループなど、チームの仲間と自由におしゃべりやチャットができる手段をぜひ設けておきましょう。
つながり合う手段を持つことで、プロジェクトの進捗状況について最新情報が得やすくなり、共同作業もよりスムーズになりますし、必要な時には助けを求めやすくなるはずです。
6. 定期的に休憩をとる
在宅勤務は快適かもしれませんが、1日の中で定期的に休憩を取ることも忘れないでください。
時々は、椅子から立ち上がって歩き回るようにし、休憩時間も設定しましょう。これが良い習慣づけにつながります。
忘れずに休憩を取るための手助けとして、ポモドーロ・テクニックを使うこともできます。これを使うと、仕事の時間を、25分間のセグメントと短い休憩に分けて管理できます。
これに加えて、休憩時間には、リラックスできて楽しめることをするようにすると、より気分転換になるはずです。
7. 集中を妨げる要素に制限をかける
モバイルテクノロジーが広く普及した今の社会では、仕事中(特にリモートワーク中)に周囲のものに気を取られ、集中できなくなることは非常にありがちです。
対策の1つとして、リモートワーク用のスペースをすっきりと整えておくのは有効です。古いレシート、テイクアウトの料理が入っていた容器など、仕事を行なう上で必要のないものはさっさと片づけてしまいましょう。
それ以外にも、仕事中はできるだけ多くの通知をオフにしておくのも有効です。
さらに、スマートフォンにはさまざまな集中モードが用意されているので、これを活用するのもお勧めです。
また、集中を保ちやすくするアプリを試してみるのも良いでしょう。たえば、『Forest』というアプリは、深く集中して作業に取り組むと、それと引き換えにアプリ内で森が育つという仕組みで、仕事中に気が散るという問題の克服を目指しています。
8. 快適な環境づくりに努める
1日の大半を、コンピューターなどの画面を眺めて過ごすのであれば、長い時間を快適に過ごせるように、仕事用のスペースを整えるべきです。
幸い、仕事場の快適性をアップさせるには、さまざまな方法があります。
立って仕事ができるスタンディングデスクやリストレスト、ノートパソコン用のスタンド、照明器具など、デスクまわりのグッズをそろえるのも良いでしょう。
仕事環境が快適になれば、ストレスの軽減に役立ちます。仕事が立て込んでいる時でも、ストレスレベルが減るかもしれません。
フレグランス付きのキャンドルや飾り物など、全般的なホームオフィス体験の向上に役立ちそうな、ちょっとしたグッズを買ってみるのもおすすめです。
ちょっとした喜びや楽しみを感じることは、リモートワーク生活も悪くない、と思えるようになるために大切です。
自分にとって完璧なリモートワーク環境をつくろう
リモート環境で働くことは、時間やお金を節約する素晴らしい方法と言えますが、時として、生産性を保つのが難しい状況に陥ることもあります。
一般的なオフィス勤務と比較して、リモートワーク体験を実りあるものにするためには、検討すべき点がかなり多くあるのです。
それでも、この記事でご紹介した8つのポイントに気をつければ、自分にとって完璧なオフィス環境を整えることができるはずです。
最後に、リモートワーカーになったからといって、休暇を取る資格を失ったわけではありません。
ただし、休みを取る時は、社会人としての作法にのっとった不在通知メールを忘れずに用意しておきましょう。
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