「英語を話せますか?」と聞かれたとしたら、「話せません」と答える人が圧倒的に多いはず。

しかし、中学校時代に英語の授業を受けた社会人には、すでに英語を話せる力がある。

英語を話したいなら、まずは日本語の話し方を変えなさい!』(西澤ロイ 著、SBクリエイティブ)の著者は、そう断言しています。

その力を効率的に引き出せるのが、「“英語を使わない”英会話トレーニング」なのだそう。

英単語や英文法の暗記に力を入れる必要はなく、そもそも英語を使わないので、挫折せずに英語を習得できるというのです。

“英語を使わない”英会話トレーニングは、具体的には、次の3つのステップから成り立っています。

(STEP 1)“英語の語順”で日本語を話す

(STEP 2)“英語にしやすい”日本語を話す

(STEP 3)日本語を英語に“ラク”に置き換える

(「はじめに 単語や英文法なんてわからなくても、英語は2時間で話せるようになる!」より)

ちなみに「“英語の語順”で話す」とは、I like sake very much.であれば「私は、好きです、日本酒が」という順序で話すということ。

著者は実際の研修や講座で、この3ステップを約2時間で行っていくのだとか。しかも英語を使う時間は全体の1割程度で、残りの9割は「日本語を話す練習」に費やすというのです。

「英語にしやすい日本語」を頭に思い浮かべるトレーニングをするだけで、英語が本当に2時間で話せるというのですから驚き。

具体的な方法を確認してみるために、STEP 1「日本語で『大げさ』に話せ」に目を向けてみましょう。

英語の「語順」が“勝手に”身につく話し方

もしも「私、食べたんです」と言われたとしたら、「なにかすごいものを食べたのかな?」と、続きのことばが気になるのではないでしょうか?

でも、続いて相手が「私、食べたんです。(2秒後……)サンドイッチを」と言ったとしたら、「サンドイッチを食べたくらいで大げさな」と感じるかもしれません。

しかし考えてみれば、このような話し方が英語では“普通”です。

I ate a sandwich. この英文を前から順に、日本語に訳してみましょう。 私、食べたんです、サンドイッチを。

(18ページより)

「私、食べたんです」「僕、思うんです」という「主語+動詞」の形は、日本語では「倒置法」となります。

なにかを強調したいときに使う、“大げさな”表現であるわけです。つまり、日本語で「大げさな話し方」(著者はこれを「大げさトーク」と表現しています)をすると、“結果的に”英語の語順に近くなるということ。

「英語の語順を覚えましょう」と言われると、難しいことのように感じるかもしれません。

しかし「英語は日本語に置き換えれば、大げさにしゃべるようなもの」だと考えれば、「だったら、自分にもできるかもしれない」と思えるわけです。

「大げさな話し方」は英語と語順が同じ

【日本語の“普通”の語順】 私は、サンドイッチを食べたんです。

【日本語の“倒置法”による強調】 私、食べたんです、サンドイッチを。

【英語の語順】 I ate a sandwich.

(18ページより)

このように、【日本語の“倒置法”による強調】と【英語の語順】は語順が同じだということ。(18ページより)

英語では「なにを?」「どこで?」「いつ?」

では、「私、食べたんです、サンドイッチを」の次は、どのようにことばを続ければいいのでしょうか?

日本語の場合は、「いつ」「どこで」「なにを」という順に答えていくのが一般的。しかし「大げさトーク」をするときは「なにを?」「どこで?」「いつ?」の順に答えていくもの。

「サンドイッチを」「カフェで」「昨日」と続けてみましょう。

私、食べたんです

 ↓(……なにを?)

サンドイッチを

 ↓(……どこで?)

カフェで

 ↓(……いつ?)

昨日

(20ページより)

これを英語に置き換えると、次のとおり。

I ate

 ↓(……なにを?)

a sandwich

 ↓(……どこで?)

at a cafe

 ↓(……いつ?)

yesterday.

(21ページより)

まとめると、次のようになるわけです。

I ate a sandwich at a cafe yesterday.

(21ページより)

このように、ちゃんとした英文ができあがるのです。つまり著者のいう「英語の語順を身につける」とはこういうことで、まったく難しく考える必要はないわけです。(20ページより)

こうした驚くほどシンプルな考え方を軸に、以後は具体的な解説がなされていきます。

簡潔にまとめられているので、実践しやすいはず。そのため、無理なく「“英語の語順”で話す」コツを身につけられそうです。

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Source: SBクリエイティブ

Photo: 印南敦史