2017年8月8日の記事を再編集のうえ、再掲しています。

こんにちは、料理研究家のオガワチエコです。暑い日が続いていますが、体調はいかがでしょう。

夏はビールの美味しい季節です。仕事帰りに飲む一杯は最高ですよね。そんなビールのおつまみの代表と言ってもいいのが、から揚げです。サクッとジューシーなから揚げをビールで流し込む。喉の渇きが癒され、空腹も満たされ、一日の疲れが吹き飛ぶような気がします。

から揚げを食べる際、レモンを搾るかどうか、ときおり議論されます。搾れば酸味によって油っぽさが中和されて食べやすくなるという人もいれば、味の邪魔になるだけと拒む人もいます。

もしかすると、こうした意見を統一するような、レモンよりもから揚げに搾ると美味しい柑橘類があるのでは。そこで、いくつかの果実を用意して試してみました。

柑橘類
Photo: 大崎えりや

夏場は柑橘系果実の旬ではないので、用意できたのは以上の7つ。左上から時計まわりの順番で、ホワイトグレープフルーツ、ピンクグレープフルーツ、オレンジ、レモン、ライム、みかん、すだち。

どれも色鮮やかで夏らしく、爽やかで涼しげな果実たち。包丁を入れて現れる果肉のみずみずしいこと。から揚げに添えてあれば、間違いなく搾ってしまうでしょう。

それでは、「から揚げにしぼると美味しい柑橘ランキング」の発表です。 評価するのは私、料理研究家のオガワチエコと、この連載のパートナー、料理カメラマンの大崎えりやです。

第7位 オレンジ

から揚げとオレンジ
Photo: 大崎えりや

違和感がなさそうなオレンジが第7位。

オガワ:「酸味がそれほどないからか、搾ってもパンチがないね。なんかぼんやりした感じ。むしろ甘みが加わって、まろやか風味になってる」

大崎:「使ったオレンジが美味しく甘かったからかも。果物としての質の良さが仇となった感じです」 から揚げもオレンジも、別々にそのまま食べるべきでした。

第6位 ホワイトグレープフルーツ

から揚げとホワイトグレープフルーツ
Photo: 大崎えりや

こちらも柑橘系としては定番のホワイトグレープフルーツ。

オガワ:「これ、今回用意したなかでは一番大きなサイズだよ。から揚げよりも主張が強い!」

大崎:「でも、単にレモンを大きくしたような感じに見えなくもないし、案外相性もいいかも……?とにかく食べてみましょう」

オガワ:「なんていうか、レモンが大きくなって、そのぶん味も薄くなった印象だね」

大崎:「酸味に欠け、物足りなさを感じます」

第5位 ピンクグレープフルーツ

から揚げとピンクグレープフルーツ
Photo: 大崎えりや

見た目の大きさとともに、果肉のピンク色が鮮やかに映え、かなりの存在感。から揚げを食べたあとのお口直し用にも見えますが、今回はそうではありません。手に取って搾ってみましょう。

オガワ:「ホワイトに比べて酸味はあるね。でも、まだ弱い。から揚げの味に負けてしまっているのが残念」

大崎:「ほんのり苦みがあって、その点だけは、アクセントとして好ポイントです」

第4位 レモン

から揚げとレモン
Photo: 大崎えりや

王道のレモンが第4位。

オガワ:「強い酸味が舌を刺激します。切れ味抜群。油の重みが減って、肉の味がギュッと引き締まる感じ」

大崎:「さすが長きに渡って親しまれているだけのことはありますね。でも、少し酸味が強すぎる感じも否めません」 オガワ:「ていうかレモン絞るとごはんに合わないよね……」

第3位 ライム

から揚げとライム
Photo: 大崎えりや

オガワ:「レモンよりもややマイルド。主張しすぎず、から揚げの味ともケンカしない! お互いの存在感を打ち消すことなく、よくまとまっています」

大崎:「レモンが若い人向けなら、こちらは落ち着いた大人向けですかね。好き嫌いもあまりなさそう」 これで、レモンをかけるかけない論争も決着か!?

第2位 みかん

から揚げとみかん
Photo: 大崎えりや

ライムとの争いが際どいところですが、見た目の可愛らしさでみかんに軍配が上がりました。

大崎:「小さめのみかんなので、半分に切って使いました。から揚げに添えると陽気な感じでいいですね」

オガワ:「酸味は弱いけど、優しい甘さがあって、日本人好みな感じがします。子どもウケもしそう!」

第1位 すだち

から揚げとすだち
Photo: 大崎えりや

すだちは、天ぷらや焼き魚といった和食料理によく用いられるだけあって、から揚げにかけると和のテイストが加わります。しかも高級感も増し、料理としてワンランクアップの印象。

オガワ:「酸味も強く、少量搾るだけで十分。これなら、から揚げのサクサク感も損なわれずに済みます」

大崎:「緑色も涼しげで夏向き。ビールのおつまみとしてだけじゃなく、ごはんにも合いそう!」 というわけで、すだちが総合評価で、第1位となりました。

総評

大きな果実は酸味が弱く、たっぷり搾らないと味の変化も薄いように感じました。でも、そうすると衣が水分を吸ってしまうので、サクサク感を楽しみたい方にはあまりお勧めはできません。

また、果実の状態による影響も大きいと感じました。今回使用したみかんはハウス栽培もので甘みが強かったので、旬の時期にどうなるかが楽しみ。また冬にでも試してみたいです。

ところで果実は丸ごと使う訳ではないので、切り残した部分が余るかもしれません。柑橘系はビールに入れても合うので、搾って夏らしくアレンジしてみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい

夏の簡単調理をかなえる材料&火を使わないレシピ5選

夏の簡単調理をかなえる材料&火を使わないレシピ5選

トースターで焼くだけ! 超簡単「鶏肉のガイヤーン風」レシピ

トースターで焼くだけ! 超簡単「鶏肉のガイヤーン風」レシピ

レシピ・文/オガワチエコ

料理研究家。ル・コルドン・ブルー、東京會舘クッキングスクールで料理と製菓を学ぶ。著書に『彼の家に作りに行きたい!純愛ごはん』(セブン&アイ出版)、『おにぎらずの本』(泰文堂)など。道具も調味料もない彼の家で、いかに間単に失敗なく美味しい料理を振舞うかに特化したレシピ本になっている。2015年9月11日には新刊『スティックオープンサンドの本』を出版。

Image: 大崎えりや