長引く梅雨も終盤、本格的な夏はすぐそこ。30度を超える日も増えてきました。
例年だと窓は閉め切ってエアコンをかけている方も多いかと思いますが、今年はコロナ対策として、「換気」も重要です。
今回は空気のプロ、ダイキン工業が開催したWEBセミナーより、コロナ禍における熱中症対策や上手な換気、エアコンの節電方法など、役立つ情報を2回に分けてご紹介したいと思います。
熱中症死亡数は多い年で約1600名
今回セミナーの第1部には、帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長を務める三宅康史先生が登壇。
まずは環境省などのデータを元に熱中症の発生状況についての解説がありました。
何より驚いたのは、2007年〜2018年(6〜9月)の熱中症死亡数の推移データを見ると熱中症で約1600名の方が亡くなっている年が2回もあること。

もちろん単純比較はできませんが、コロナウイルス感染による死者数が約1000人(7月24日時点)と考えると、1600人という数字の大きさには驚かされます。
熱中症対策は「FIRE」で応急処置を!
これまで熱中症対策についてはなんとなく知った気になっていました。
しかし「いざ自分が、また目の前で人が突然倒れたら」パニックになってしまいそう。
今回、三宅先生は、覚えておくと緊急時にも使える熱中症の応急処置方法「FIRE」を教えてくれました。
FIRE、とは英単語の頭文字で、
- Fluid:適切な水分補給
- Icing:身体を冷やす
- Rest : 安静
- Emergency:救急搬送/119番
の4つを表すもの(ちょうどFIRE=火を表す単語で分かりやすいです)。

三宅先生によれば、めまいや大量の発汗など、熱中症を疑う症状がある場合には意識確認をし意識があり水分補給ができる場合は、このFIREを試してみて欲しいとのこと。
もちろん意識がない場合は、自分たちで何とかしようとせず、すぐに救急車を呼ぶ、医療機関にかかることが重要です。
マスク着用で特に注意したいこと
さて、ここからが今年特に注意したいコロナ禍での熱中症対策のポイントです。
三宅先生によれば、
マスクをした状態での呼吸は「ついたてを通して呼吸筋を余計に働かせている」ため、身体に負荷がかかっている状態
とのこと。
着用時はマスク内で暖まった外気を吸い、これを吐くときにさらにマスクが暖めてしまい、これが体温の上昇に繋がっているため、熱中症のリスクも高まりやすいようです。まさに自分で自分に熱風を送り込んでいる状態。
少し前から厚労省も「屋外で他人と十分な距離が確保できる場合はマスクをはずす」ように、と注意を促していますが、先生も同様に真夏下でのマスク着用には注意が必要と警鐘を鳴らしていました。
「通気性が高い」マスクにも要注意
こうなってくると少しでも涼しいマスクはないものか…誰もがこう思ってしまいますが、三宅先生は、ただ「通気性が高い」ことを売りにしているマスクにも注意を呼びかけていました。
それは、花粉、ホコリなどの粒子が体内に侵入するのを抑制できなかったり、咳やクシャミの飛沫の飛散を抑制することができかったりする可能性があるため。
マスクとしての役割を果たしているものの指標として、全国マスク工業会マーク(以下画像参照)のついたものを選ぶと安心だと三宅先生は言います。

全国マスク工業会マークとは
「医療用マスク」「家庭用マスク」は、雑貨扱いとなり性能についての検定規格が設けられていない。
それに対して、誤った表記や過剰な広告表現などが防ぐべく、2006年に全国マスク工業会が「表示・広告自主基準」を策定・施行したもの。
その基準をクリアした製品のみ全国マスク工業会マークを表示のうえ販売されている。>>基準・表記の詳細はこちら
今はマスクの流通も落ち着き始めていますから、これから購入する際にはマークも注意しておきたいですね。
エアコンに換気機能はない
次に、今年特に気をつけたいのがエアコンと換気についての注意点です。
いきなりですが皆さん、エアコンに「換気」機能はあると思いますか?(セミナーでも実際にこのクイズが出題されました)
答えは…NO、そうです。ほとんどのエアコンに換気機能はありません。
エアコンとは、そもそも部屋の暖かい(冷たい)空気を吸い込んで冷たい(暖かい)空気にして出す、空気の循環を行なっているもの。

つまり、外気を取り入れるという機能はないため、エアコンを稼働させていても別の方法で換気が必要になるとのこと。
「空気が循環している=換気」だと思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。この夏は熱中症に気をつけながら上手に空気を入れ替える方法を知っておく必要がありそうです。
では、室内の換気はどのように行うと効率が良いのでしょうか?
また換気の際にエアコンを稼働させている場合はどのようなことに注意しなければならないのでしょうか?
気になる続きは、次回お伝えします。
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Image: かくれ脱水JOURNAL, 一般社団法人 全国衛生材料工業連合会, ダイキン工業株式会社
Source: かくれ脱水JOURNAL, ダイキン工業株式会社, 厚生労働省