家計簿ソフトは多々あれど、サードパーティー製のサービスはいまいち便利じゃないし、銀行口座やクレジットカードの情報を知られるのが不安…というあなた。

安心してください。複数の金融口座を直接Microsoft Excelに接続できる、「Money」テンプレートが発表されました。

とはいえ、MintYNABなどのサービスに比べると注意事項が多く、実用性に欠ける部分があります。

まず、有料です。すでにYNABなどの有料サービスを使っている人には問題ではないかもしれませんが、Mintのような無料サービスを使用中の人には面白くないと思います。

Money in Excel」機能は、Microsoft 365 Family または Personalを契約している人しかダウンロードできないプレミアムテンプレートです。つまり、Microsoft 365 Enterprise版では使えません。

もっとも安い365 Personalは月額7ドルまたは年間70ドル。すべてのMicrosoft officeアプリにアクセスできることを考えると悪くはありませんが、それでもタダより高いのは間違いありません。

それに、これは私だけかもしれませんが、自分のお金を管理するためにお金を払うというのは、何だか変な感じがしてしまいます。

「Money in Excel」では何ができる?

とはいえ、すでにMicrosoft 365を契約しているなら、プレミアムテンプレート「Money in Excel」のウェブサイトを訪問してみてください。

そこで、「ブラウザ内で編集」と「ダウンロード」の2つのオプションが選べます。前者はウェブ版、後者はデスクトップ版のExcelアプリが立ち上がります。

テンプレートを立ち上げると、ランディングページが開きます。一連のタブを順に見ていくことで、このスプレッドシートの概要がわかるようになっています。

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Screenshot: David Murphy

トップにある「Enable Editing」をクリックすると、通常のエクセル画面が開き、「このアドインを信頼しますか?」のメッセージが表示されます。Microsoftの公式ページからダウンロードしたのであれば、信頼するを選択しましょう。

アドイン確認のポップアップ画面
Screenshot: David Murphy

続いて、再びMicrosoft 365アカウントへのサインインを求められます。

これは、このスプレッドシートまたはアドインが友達から送られたものだとしても、そのままでは使えないようにするためです。いつものMicrosoftのやり方ですね。

次に、Plaidを使用して金融口座に接続しましょう。筆者が試したところ、Capital Oneの口座情報はまったくインポートできませんでした。

(米Lifehackerでファイナンス記事を書いているLisa Rowanに確認したところ、サードパーティの金融サービスでもこの問題はよく起こるのだそうです。)

一方、各種クレジットカードの情報はうまくインポートでき、すべてのトランザクションがスプレッドシートに表示されました。

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Screenshot: David Murphy

ところが、残念ながらスプレッドシートの「Snapshot」タブがうまく動きませんでした。ドロップダウンメニューに何も表示されず、取引月を選ぶことができないのです。

この機能、まともに使えたらさぞかし便利だろうなと想像します。自分の浪費癖が一目瞭然になるからです。

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Screenshot: David Murphy
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Screenshot: David Murphy

Snapshot以外にも、自分の消費習慣を知るためのテンプレートが2つ用意されています。

1つは、全口座をまとめた純資産の自動計算。これは、Excelにあらゆる口座を接続している場合に便利です。

もう1つは、繰り返し発生している出費の計算。自分のサブスクリプションの状況を把握できていない人はここで管理しましょう。

出費と直接関係のない確定拠出年金などの口座も接続できますが、Excelを使ってできることはほとんどありません。口座残高がサイドバーのポップアップに表示されるだけで、この情報はスプレッドシート内のどこにも使われないのです。

他の家計簿サービスであれば、口座の種類を問わず何らかのパフォーマンス指標が表示されるので、ちょっと不思議な感じがします。

また、一部の人から、同じ金融業者の複数の口座に接続できないという意見が出ているようです。たとえば、夫婦で同じ銀行の別々の口座を持っているような場合です。

残念ながら、私には銀行口座情報を明かしてくれるような友人がいないので確認する術がありませんが、Excelへの移行を考えている人は、このことも考慮したほうがいいかもしれません。


とにかく、すでにMicrosoft 365を契約しているのであれば、Excel向けのMicrosoftのMoneyを試さない理由はありません。

まだ完ぺきにはほど遠い状態ですが、通常のウェブアプリに比べてスプレッドシートがあるおかげで整理しやすくなっています

それほど機能にこだわりがないのであれば、支出と予算を管理するには、それだけで十分ではないでしょうか。

そうそう、予算といえば。Moneyにはなぜか、予算を組み立てるためのツールが一切用意されていません

なので、エクセルのスプレッドシートを用いて自作する必要があります。支出を管理したい人は予算と照らし合わせながら見たいと思うのが普通だと思うので、これは非常に残念なことだと思います。

手動で予算を作成するのは対して難しい話ではありませんが、Excelを使い慣れていない人には骨が折れるかもしれません。

いずれMicrosoftが予算機能を追加してくれるとは思いますが、とにかく今はそれがありません。

これは、Money全般に対して私が抱いている感情と一致します。便利なんだけど、十分な分析や管理をするには、どこか物足りないんですよね。

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Screenshot: David Murphy (Microsoft)

Source: Mint, YNAB, Microsoft, Plaid

David Murphy - Lifehacker US[原文