困難で、時間がかかり、おまけに退屈なタスクを抱えていると、つい先延ばししたくなりますよね。
でもこれからは、先延ばしするかわりに、「このタスクは困難で時間がかかり、退屈なのだ」と、はっきりと認めてみてください。
すると不思議なことに、タスクに取り組む意欲が湧いてくるかもしれません。
何故、先延ばししてしまうのか?
David J. Hardisty氏とElke U. Weber氏(それぞれブリティッシュコロンビア大学、プリンストン大学)による最近の研究で、人はポジティブな体験はできるだけ早く完了し、ネガティブな体験はできるだけ先延ばししようとする傾向があることがわかりました。
このこと自体はとくに意外ではありませんが、この話には興味深い続きがあります。両氏の論文 「Impatience and Savoring Vs. Dread」から少し引用してみます。
ポジティブな出来事への期待には、セイバリングのポジティブな感情と、待つじれったさのネガティブな感情が含まれています。
ネガティブな出来事への期待には、気の重さというネガティブな感情と、待つじれったさのネガティブな感情が含まれています。
(セイバリング:ポジティブな出来事を心に浮かべ、心地よさを味わうこと)
つまり、現時点からポジティブな出来事を体験をするまでの時間は、良い感情と悪い感情で満たされるということです。
一方、現時点からネガティブな出来事を体験するまでの時間は、悪い感情だけで満たされることになります。
たとえば、キッチンカウンターに積まれた書類の山を見るとき、あなたは気が重いというネガティブな感情と、困難で時間がかかり退屈なタスクを先延ばししていることの自覚から来るネガティブな感情を経験します。
ネガティブな心理を利用してみる
ここで、「不快な心理を利用する」というアイデアが浮かびます。これをFast Companyは次のように説明しています。
ToDoリストを片付ける鍵は、気が重いという不快な心理を利用することです。
気の重さは、ネガティブで嬉しくない感情です。つまり、誰もが早く取り去りたいと願う感情です。
これはHardisty氏とWeber氏のアイデアを延長したものですが、興味深いコンセプトです。
たとえば、バスルームの壊れた蛇口からポタポタと滴り落ちてくる水の音を聞くたびに感じる、ポタポタと滴り落ちてくるようなネガティブな感情を味わい続けるかわりに、ネガティブな感情の束(ストレス、退屈、混乱)を一度に引き受ける覚悟をしてみるのです。
10分で終わってほしいタスクが、実際は半日かかることを認めることから来る感情…。タスクに取り組んでいる間、とてつもない気の重さを味わうことになるという事実をはっきりと認めれば(もっとも、そのタスクについて考えるたびに気が重い感情を味わっているわけですが)、ToDoリストからさっさと削除する意欲が湧いてくるかもしれません。
気が重い話も先延ばししない方が良い
Fast Companyは、このことは「気が重い会話」にも当てはまると言っています。
私の個人的な経験でも(私だけではないはず)、いつかしなければならない気が重い会話のことを頭の中で繰り返し思い浮かべるときに味わう苦痛よりも、実際に気が重い会話をしている最中に味わう苦痛のほうが、ずっと軽いことがほとんどです。
タフな会話はタフですが、あれこれと想像を膨らませているよりも、実行に移してしまう方がはるかに楽なことが多いのではないでしょうか。
今度、自分が書類の山を見つめている、水漏れのする蛇口で手を洗っている、永遠に先延ばししたい会話のことを考えているのに気づいたら、もうこれ以上先延ばしにはしないと自分に言い聞かせてください。
可能であればすぐに取り掛かりましょう。もちろん、嫌な気持ちを味わうでしょう。しかし、始めれば確実に終わります。そのときには、気が重いという感情も消えているのです。
今すぐは取り掛かれない場合は、予定を決めてカレンダーに記入しておきます。
そうすれば、その気が重いタスクを達成したときに感じるであろうポジティブな感情を、今から予感し、味わい始めることができます。
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Image: Shutterstock
Source: Impatience and Savoring Vs. Dread,Fast Company
Nicole Dieker - Lifehacker US[原文]