現在の在宅勤務に関しては、改善の余地が多々ありそうです。
なぜなら、新型コロナの感染拡大を防止すべく、多くの企業が急遽在宅勤務を導入せざるを得なかったからです。
残念ながら、在宅勤務にうまく移行できている人ばかりではありません。
VitalSmartsの調査で、管理職の5人に1人がリモートワークのチーム管理がうまくできていないことがわかりました。
組織とリーダーシップに関するコンサルタント会社Careerstone Groupの社長であり、『Managing Up: How to Move Up, Win at Work, and Succeed with Any Type of Boss』の著者であるMary Abbajayさんは、「チームをリモートで管理するには、これまでとは違うスキルセット、感性、考え方が必要です」と言います。
社員が何をしているかでなく、社員が出す仕事の成果とアウトプットに基づいて管理する方法を学ぶ必要があります。
多くのマネージャーは、社員をオフィスの席に座っている時間の長さで管理したり、仕事に対する倫理観を評価しています。
もう、そのアプローチではうまくいきません。
部下の立場から見ると、リモートで部下を管理できない上司の下で働くと、仕事の成果にも精神衛生にも悪影響を被る危険性があります。
しかし、現状を改善するためにできることがいくつかあります。
1. 積極的にコミュニケーションを取る
リモートワーク中のチームを管理することは、オンサイトのチームを管理するより難易度が高いわけではありませんが、管理の仕方が異なるとAbbajayさんは言います。
ですから、部下は上司がバーチャルでどのように仕事をしたいのか理解して、それに適応する必要があります。そのためには、上司の好み、何を大事にしているか、どんなことで気分を害するかを見極めることです。
コミュニケーションが苦手な上司なら、部下の方から積極的に上司とコミュニケーションを取るようにします。
たとえば、上司のスケジュールにWeb会議を入れて、こちらが何をしているのか上司に把握してもらいましょう。
また、毎日メールで、「現在の私の優先事項は○○です。何か私が見逃していることはありますか?」と連絡しましょう。
さらに、上司に他のチームメンバーと会議をしたり定期的に連絡を取ることをすすめてください。こうすれば、上司を下からリードすることも可能です。
2. 上司の弱点を進んでカバーする
企業研修会社Professionalism Mattersの設立者であり、『The Unwritten Rules of Managing Up: Project Management Techniques from the Trenches』の著者でもあるDana Brownleeさんは、「上司が何かで苦労していることに気づいたら、進んで手を貸しましょう」と言います。
上司にこんなふうに言ってみましょう。
クライアントをしっかり取り込んでいらっしゃいますね。でも、その先の道を探していらっしゃるようですね。
私でよければ、クライアントとのコミュニケーションに使用できるプラットフォームを探しましょうか?
上司の弱点がわかっている場合は、上司を助けて問題を解決することでWin-Winの関係を築けます。
「ほとんどの上司は、部下がそうしてくれるのを喜びます。心配事が減って仕事がしやすくなるからです」とBrownleeさんは言います。
3. チームメンバーのまとめ役になる
権力欲やこだわりが強すぎる上司でない限り、上司がチームをまとめる手助けをする絶好の機会だとAbbajayさんは言います。
チームメンバーに連絡して、リモートワークの期間中どうすればチームが一丸となって上司を最大限にサポートできるか、チームメンバー同士も助け合えるか聞いてみましょう。
チームメンバーと繋がりを保ちながら生産性も維持する方法をブレインストーミングしてください。
ポジティブな姿勢を保ち、士気を高める方法を話し合いましょう。
4. ベストプラクティスを見つけて提案する
今はリモートワークに関して多くの情報が手に入るので、Abbajayさんは、社員がベストプラクティスを見つけてチームに推奨することをすすめています。
アイデアや戦略を練り、実験する絶好のチャンスです。すべてがうまくいくわけではありません。
毎日Web会議などで通話することを提案して、新しいことを試しながらベストなやり方を見つけましょう。
Brownleeさんは、何事も提案の形にすると言い出しやすくなると言います。
たとえば、「今はこれまでとは状況がちょっと違うかもしれません。以前私がいたチームでは○○が役に立ちました。」とか「面白い記事を見つけたので、読んでみてください。役に立つかもしれません」というように持ちかけてみましょう。
しかし、上司が問題を認識していないと感じるときは、もっと明確に主張すべきだとBrownleeさんは言います。
上司と良い関係を築くには、社内の階級差を意識した見方が必要です。役職が上になるほど、現場の日常業務から遠くなります。
そのため、上司は、何がうまくいっていないか知りようがなくて、教えてくれる人が必要かもしれません。
上司のスパイになれという意味ではなくて、上司が入手しにくい情報を提供することで上司を助けるという意味です。
そうすれば、上司は不意打ちをくらって困ることはなくなるでしょう。
5. 連絡する時間を予め取り決める
在宅勤務は、仕事と家庭生活との両立が課題になります。
ですから、仕事の連絡がつく時間帯に関しては、多少交渉する必要があるかもしれないとAbbajayさんは言います。
「私は常に生産性を保ち、自分の目標も組織の目標も達成し、やるべき仕事をきちんと片づけることを約束しますが、勤務時間に関してはある程度の柔軟性が必要です」と上司に言ってみましょう。
Brownleeさんは、基本ルールを決めた方が良いと言います。
以前は朝のミーティングがあったかもしれませんが、今は家に子どもがいて、私が子どもの勉強を見る必要があります。
今は自宅で仕事をしているので、何もかも以前と同じというわけにはいきません。
皆の生活がすっかり変わってしまったことを認めた上で話し合いましょう。
Abbajayさんは、各人が自分の現状をチームとシェアしてリクエストを出し合うべきだと言います。
具体的に何をやり遂げる予定なのか、締切りをどうやって守るのかを明確にすべきです。
1週間自分でスケジュールを管理してうまくいくかどうか確認したいと提案してみましょう。
上司がある程度柔軟に受け入れる余裕がないなら、間違った人を上司にしている証拠ですから、転職先を探した方が良いかもしれません。
それから、メールやチャットの返信速度について取り組む必要があるとBrownleeさんは言います。
以前の環境では、上司は2~3時間以内に部下から返事が来ることを期待できたはずですが、現在はどうでしょう?
チームできめ細かく取り決めをする必要があります。
たとえば、緊急の場合は、メールの件名に「緊急」と書くようにリクエストしましょう。
「その手間を惜しむと、その先の進捗が遅くなるかもしれません」とBrownleeさんは言います。
6. 上司も不慣れで大変なことを理解する
マネージャーの肩書きを持っている人が万能とは限らないとBrownleeさんは言います。
優れたリーダーシップのスキルがあっても、分散環境では上司の弱点が悪く出てしまうことがあります。
その場合は、ステップアップのチャンスだと思って、上司がさまざまなプロセスやチームのインフラを決めるのを積極的に助けましょう。
毎日顔を合わせることがなくなると、チームをリードするのは10倍も難しくなるからです。
上司もストレスにさらされながら新しいスキルの習得を余儀なくされています。「ポジティブでいることの重要性は、いくら強調しても足りません」とAbbajayさんは言います。
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Originally published by Fast Company [原文]
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