この数カ月、家計が苦しくなったという声を多く聞くようになりました。
未曾有の事態の中、仕事に出られなくなった人は、収入減少が直撃しています。会社員でもテレワークに移行したため残業代が出なくなったという人もいるでしょう。
家計が苦しい! でも借金はできるだけ回避したい
しかし、借金はできるだけ避けるべきです。
銀行系カードローンなどは、あなたのスマホにアプリをインストールすれば銀行口座に即日振り込みをしてくれますが(無人店舗はついにあなたの自宅に進出したというわけ!)、これはとても高金利! 気軽に始めてはいけません。
今月1万円足りなくて借りた人は、来月は2万円借りることになり…1万円は返済したつもりになっていても金利があるので借金残高は減りません。
では、どうしたら良いのでしょうか? 借金をする前にまずできることを考えてみましょう。
目次
1. 酒代と菓子代を削る(日常生活費の削減)
第1の削減対象は、日常生活費。
といっても、自宅にいる時間は増えますし、ストレスもたまりますから、むやみに削るよりは「無理なく削る」を心がけてみましょう。
私がカギだと思うのは「酒代」と「菓子代」。
家に長くいて、手元にお菓子があるとつい手を出すタイプの人は「そもそも買わない」が一案です。私もついついせんべいに手が出るタイプなので、なるべく家に菓子を持ち込まないことにしました。
酒代もそうです。zoom飲みを軽く楽しむくらいならいいですが、家にいる「夜」が長くなったのでアルコール消費量が増えている人がいるよう。
人の目がないからと、エンドレスに飲んでしまう人は要注意。アルコール依存症とまでいかなくても、外出自粛のストレスから飲酒量が増えているという人は「買いだめ」はやめて、必要なときだけ必要な量を買うように改めてみてください。
2. サブスクやスマホ代を削る(固定費の削減)
「巣ごもり消費」と言われますが、自宅にいる時間が長くなると、外食費や外での遊興費(映画や娯楽施設の利用費)は減少します。その見合いとして自宅での支出を増やしすぎていないかがポイントになります。
たとえばカラオケボックスより、プレステやSwitchでカラオケソフトの利用権を購入するほうが安くつきます。また、居酒屋で2時間以上ねばるならば、zoom飲み会で缶ビールのほうがが安くつくと思います。
使わないサブスクの断捨離を
雑誌読み放題、KindleUnlimited、音楽聴き放題、動画見放題などのサブスクは、低コストで自宅生活のQOLを高めることができる便利な仕組み。
しかし、いくつも契約しすぎている状態には、注意が必要です。
年に3回も映画に行かない人が、NetflixとdTV、huluに毎月課金していたとすれば、むしろコストは上がっています。
お試し期間を経て、それほど利用頻度は高くないものは「サブスクの断捨離」をしておきましょう。
格安スマホの導入、インフラ契約の見直し
同様に、格安スマホへの切り替えや電気やガスの自由化での切り替えなども固定費削減としてはアリです。
特に、格安スマホへの切り替えはオンラインで完結させることもでき、月額料金を引き下げるチャンスです(MNPの予約番号もオンラインで取得可能)。
ただし、2年縛りのペナルティが残っている人はタイミングを考えたほうがいいでしょう。長い目では解約ペナルティを払っても割安ですが、この時期に追加料金が発生するのは痛手になります。
その他、習い事やスポーツジムなど、利用が停止している固定費について、きちんと会費も止まっているか確認をしておきましょう(多くの場合、利用できない状態であれば月会費も徴収されませんが)。
3. 不用品を売る(臨時収入の獲得)
今あるモノを手放して、お金にする、というのはこういう苦しい時期には有効です。
今はメルカリやヤフオク!の出品数が増えている、なんて話をネットでは見かけます(問題のある転売行動もしばしば見受けられますが)。
モノの売り方としては、メルカリ、ヤフオク!に代表される「個人対個人」での取引と、買い取り業者に査定を依頼し買い取ってもらう「個人対会社」の取引に大別できます。
スマホのカメラの高機能化と、コンビニなどで匿名発送が可能になったことによりメルカリなどの便利さは高まりました。手始めに不用品から、この機にチャレンジしてみることをおすすめします。
とはいえ値付けと発送の手間がかかるのがオークション形式の悩み。
その手間も省きたいなら、ソフマップ、ゲオ、ハードオフなどの中古買い取りショップが提供するアプリを使って自宅から買い取り依頼をしてみてはいかがでしょうか。
ラクウル(ソフマップ系)、ゲオスグ(ゲオ)、ハードオフなどは、それぞれのアプリを提供しています。
これ以外にもCASH、ブランディア、楽天買取などのアプリでも宅配で買い取りができます。
基本的には、アプリで商品を登録し宅配サービスで発送、査定が確定して了承したら振り込みという手順。(振り込みタイミングが早めのアプリも)
また、それぞれ得意分野(ファッション系が得意、ハード系が得意など)がありますので、使い分けてみてください。
4. 子どものおこづかいを下げる(一時的対策として)
苦しいとき、何かを削るとしたら、子どものおこづかいを下げる、という選択肢もあります。
子どものおこづかいを渡さないのは、苦しい選択ですが、家計が厳しい状況だからこそ、家族がみんなで乗り越えることも大切です。
夫婦で働いていて、パートの仕事がゼロになった場合、合計収入が毎月5万円以上ダウンすることもあるはず。こうした危機については、中高生の子どもであれば話し合ってみましょう。
子どもも外出を控えている場合、おこづかいをセーブする余地があるはずです(おやつなどは家計で出してあげるなど配慮する)。
なお、すでに述べた、メルカリやヤフオク!について、子どもにチャレンジをさせてみる、というのもいい手だと思います。うまくいけば減ったおこづかい分を稼ぐことも可能です。
個人情報の管理については留意して、自宅で過ごす時間を使った「おこづかい稼ぎ」をさせてみてはどうでしょうか。
5. 給付金や免除できるものを探す
ここまでの方法では、月に数万円の出費削減はできますが、完全に無収入になったときのやりくりは困難です。
アルバイトがまったくできない、あるいは会社を辞めることになった場合などは、ためらわずに給付金や免除のサービスを探しましょう。
雇用保険の求職者給付(いわゆる失業給付)がもらえるなら、すぐにハローワークに行きましょう。
正社員だった人はもちろんですが、バイトでも正社員なみに働いている場合、会社が雇用保険を適用していることがあります。
家賃については補助金をもらえる住居確保給付金制度があります。
無職になっていなくても、収入の大幅減であれば給付対象となります。地元の生活困窮者自立相談支援機関が窓口です。
フリーランスやパート、アルバイト、無職者の場合、国民年金保険料、国民健康保険料は免除の制度があります。年収の大幅減について市区町村役場で相談してください。
もちろん、今回スタートするひとり10万円の定額給付金についても、市区町村から書類が届いたらすぐに手続きをしておきましょう。
ただし「猶予」についてはご注意を。
スマホ代や、電気代、ガス代などは猶予ができますが、これは一時しのぎにしかなりません。結局のところ来月か再来月、支払うことには変わらないので注意してください。
6. 親に頭を下げる(無金利の借金を優先)
ここまでの5つの方法をもってしても、まだ家計が厳しい場合も、「親からの借金」という選択肢を検討してから。金融機関からの借金は最後の選択肢です。
あなたの親がある程度経済的に余裕があって、一時的にお金を借りられるのなら、頼ってみてください。あなたの親も、あなたが借金にハマって苦しむくらいなら支援をしてくれるはずです。
きちんと「借りた金額」「返済予定」「利息(つけるなら)」を覚え書きとして残しておくことをおすすめします。
兄弟姉妹がいる場合、親にもしものことがあったら相続財産から相殺する必要があるからです。
もし親が「返さなくてもいいから受け取っておきなさい」と言ってくれた場合、年110万円の範囲であれば非課税で贈与を受けることができます。
7. 今ある返済は待ってもらう
あなたがもし住宅ローンを返済中で返済が苦しくなったら、銀行にすぐ相談に行きましょう。
すでに返済中の住宅ローンについては、返済計画を見直してもらうこともできます。金融庁は銀行に柔軟に対応するよう要請しています(PDF)。
ボーナス返済額が払えないからと年10%以上の借金をして充ててはいけません。
家を担保としているために、年数%で借りられる住宅ローンの返済を遅らせる方がいいのです。
苦しいときこそ、知恵を絞って
いくつかの「借金を避けるための選択肢」を紹介してみました。
いきなり収入が下がってしまう事態は本当に苦しいこと。ひとつでもできるところからはじめて、苦しい時期を乗り越える参考としてください。
それがいつかは、まだ分かりませんが、いつかこうした苦しい時期は過ぎていくはずです。そのときまで、知恵を絞っていきましょう。
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Source: 金融庁(PDF)
Image: Shutterstock