新型コロナウイルスの警戒感から、在宅勤務(リモートワーク、テレワーク)が推奨されています。
かつては、自分らしく働ける先進の働き方に憧れた人も多かったものですが、実際に在宅で仕事をしてみると慣れないスタイルに困惑の声も少なくないのが現実です。
「家の中だと、集中力を持続するのが難しい」
「PCを同じ姿勢でずっと見ているので、目と体が疲れる」
「誰とも会話をしないので気が滅入る」
上記のように、実際に慣れるまでは在宅ならではのストレスを感じるものです。
ただ、これらは慣れの問題。慣れれば解消します。
だとするなら、早々に慣れることで、在宅勤務にストレスを感じることなく、集中力を維持する方法を身につけておきたいものです。
今後、在宅勤務が社会に定着することは間違いありません。今回は、そんな在宅勤務で集中力を高めるテクニックを紹介します。
なぜ在宅勤務だと集中できないのか?

在宅だと気が散るといった声は少なくありません。この根本的な要因は2つ。
1つは、「誘惑が多い」こと。もう1つの要因は、「今までの異なるルーティン」によるもの。
まず、1つ目の「誘惑」から説明しましょう。
在宅勤務だと誰からの監視もありせん。なので、テレビをつけることも、スマホでSNSをチェックすることも自由。
この制約のない自由な環境が集中力を阻害する要因となっているのです。
そして、もう1つの「ルーティンが異なる」点も見逃せない要因。
「決まった時間に、決まった行動」をする、そんな習慣的な行動をルーティンと言います。
実はこの「規則的な行動(ルーティン)」こそが、プライベートモードから、仕事のモードにスイッチを切り変える役割を果たしているのです。
たとえば、「いつもの時刻の通勤電車」の「いつもの車両」に乗り、「いつもの駅の出口」から事務所まで行き、その道すがら「いつものコンビニ」で「いつもの銘柄の飲み物」を買う。
そして、「いつも会う同僚」に「いつも通りに挨拶」をする。これこそが実はルーティンで、仕事モードにスイッチを切り替えるプロセスとなっているのです。
しかし、在宅勤務からはそのルーティンが失われてしまいます。
そして、人はルーティンが崩れた時、不安になるとも言われています。
たとえば、「いつものコンビニ」が閉店した、それだけでも落ち着かなくなることもるでしょう。これもルーティンが崩れたためです。
なので、そのルーティンそのものが崩れる在宅勤務だと、当然にしてストレスを感じるものですし、仕事モードのスイッチが入りにくいのです。
在宅勤務で集中力を維持できなきないのは、在宅であることが問題なのではなく、新しいルーティンをつくれていないことが問題なのです。
在宅勤務で集中力を高めるテクニック

では、これらの原因に対してどのようにアプローチをすればよいのかを紹介しましょう。
誘惑を視界に入れない
まず、誘惑に打ち勝つ方法から解説しましょう。
まず、スマホやテレビのリモコンを手に届かない場所に置きましょう。
目に見えるデスクやテーブルではなく、できれば別の部屋、もしくは廊下でもOK。「目に見えないところに置く」ことが誘惑を削ぐ絶対の条件です。
集中力を高めるルーティンをつくる
そして、次は集中力を高めるルーティンづくりです。以下にコツ・例を箇条書きで整理してみました。
- 朝、起きる時間を一定にする(出勤時と同じにし、遅くしない)
- 朝のイベントを決める
たとえば、シャワーを浴びて朝食を食べ、仕事用の服に着替えたらパソコンのスイッチを入れる。この流れを「パターン」に組み込みます。
※普段着や部屋着のままだと、モードを変えにくいもの。仕事着に着替えることもルーティンに組んでおきましょう。
- 始業時に、仕事を終える時間を決めておく
- 今日やるべきToDoリストと所要時間を決める
各タスクごとに締め切りを設けることで集中力を高めることができます。
- 音楽がある方が集中できる人はBGMを入れる
これもモードを切り替えるスイッチになります。
※歌詞付きの曲はNG。集中力を削ぎます。YouTubeなどでBGM用の曲を流したり、FMラジオを音量を小さくして流すなどもルーティンに適しています。
- 休憩の時間をタイマーで設定する
目と体の疲労を予防できます。参考になるのは「ポモドーロテクニック」。
集中を維持する有名な手法で、「作業を25分やったら5分休憩を挟む」ことを繰り返す方法です。
休憩をとる際に、仕事から離れ、外を眺めたり深呼吸をしたり、軽く体操する、といったこともおすすめ。リフレッシュし、集中力をキープすることができます。
***
これらのことを実践することで、集中力を高めることができるでしょう。
ルーティンを定着させる=早く在宅勤務に慣れる

3日坊主となってしまう不安がある方向けに、もう1つの技を紹介します。
それは、ルーティンを行う際に、必ず「小さな目標」を設定すること。目標をクリアするプロセスがルーティン化を強めるのです。
たとえば、「今日はこのToDoリスト必ずやり切る」と決めたとしましょう。それらのタスクを時間内に終えることができれば、それが自信となり、自分なりの在宅勤務の方法の確立につながるのです。
今回は、在宅勤務で集中力を維持するコツを紹介しました。
在宅勤務は自分なりのルーティンが確立できれば、これほど効率的な方法はありません。ぜひ、今回のコツを参考にしてみてください。
きっと、在宅にストレスを感じていても、解消できると確信します。この情報がお役に立てれば幸いです。
伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。 2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。近著に『30歳までに読んでおきたい 会社でエリートになれるビジネスマナー&スキルWiki(徳間書店)』『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」(PHP研究所)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ (PHP研究所)』『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本(かんき出版)』他多数の書籍がある。
※無料メーリングニュース(全8回)
※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート
あわせて読みたい