私はこれまで、会社役員補佐として、その後はフリーランスのライターとして、さまざまなキャリアを積んできました。

キャリアの初期には、とにかく期待以上の成果を出すことだけを考えていました。

価値ある社員になるための秘訣は、いつも少しだけ速く仕事を片づけ、少しだけ期待を上回ることだと教えるビジネス書も何冊か読みました。

古くさい言い方をしてもよければ、要するに「より一層の努力をする」ということです。

価値のある仕事に必要なものは?

そして私は、実際に価値ある社員になりました。そしてその後には、価値あるフリーランサーになりました。良い仕事を速くできる人、という評判を手に入れたわけです。

それは、知識がものを言う、ペースの速い現代の仕事環境では必要なこと。

けれども、そこに至ってもまだ、私はできるかぎり期待以上の成果を出そうとしていました。

フリーランスの仕事を、予定よりも前に片づけたり、締切直前の記事を引き受けたり、といったことを続けていたのです。

ただし、そうこうしているうちに、何かが変わりました。

期待以上から期待どおりの成果に切り替える

厳密に言うと、ふたつのことが変わりました。

まずは、フリーランスの仕事でスケジュールが埋まるようになったせいで、事実上、以前のように予定の「前に」仕事を終わらせることができなくなりました。

締切はまだすべて守っていましたが、3日早く原稿を編集者に送ることはできなくなりました。

ふたつめは、私のキャリアが、向こうから求めてもらえる段階に入ったこと。

売り込みをかけてひとつひとつの仕事を自分から取りに行くかわりに、新しいクライアントの仕事を引き受けてもらえないかという打診のメールが届くようになりました。

おそらく、こうした段階こそが、「期待以上の」成果を出すのをやめ、「期待どおりの」成果を出す方針に切り替えられるタイミングなのだと思います。

常に期待以上を目指すには代償を伴う

元臨床心理学者で『The Healthy Mind Toolkit and The Anxiety Toolkit』の著者でもあるAlice Boyes博士は「ハーバード・ビジネス・レビュー」の記事のなかで、「期待以上の成果を出すスキル」は、キャリアのある時点では役に立つものの、期待以上の成果を永久に出し続けることには代償が伴う、と述べています。

つねに期待以上の成果を目指すことで、自分がどんな代償を払っているのかを理解しましょう。

時間やエネルギー、注意力、意志の力を注げていないことが、ほかに何かありませんか?

もしかしたら代償は、自分の健康や、人生の大きな目標、家族かもしれません。

その代償が大きいと思うなら、どんなときに期待以上の成果をめざすのか、そのおおまかな原則を決めてみましょう。

たとえば、「期待以上の成果を出さなければいけない」という衝動に駆られる状況が10回あるとしたら、そのうちの3回はそれを実行して、残りの7回はそうしない、と決めてもいいでしょう。

Boyes博士がすすめているのは、頭を切り替えることです。

つまり、雇用主やクライアントと話し合って、決めた期限までに、要求どおりの成果を提供するという方針に変えることです。なんといってもそれこそが、双方の合意していることなのですから。

余分な報酬をもらわずに余分な仕事をしたとしても、あなたが思うほどキャリアの助けにはなりません。プロとしての評価やスキルをすでに確立した段階に達しているのなら、なおさらです。

つまり、一緒に働く人全員が、あなたがどんな成果を出せるのかを知るようになったあとは、もう「期待以上の成果を出さなくては」と心配しなくてもいい、ということなのです。

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Source: ハーバード・ビジネス・レビュー

Nicole Dieker - Lifehacker US[原文