瞑想を日々実践することで、ストレス軽減や生産性向上などが達成できることはすでにご存知かと思います。
ただ、こうした瞑想の効果に至る心理的メカニズムについては、あまり知られていないのではないでしょうか。
このほど、スペインの教皇庁立大学による研究で、瞑想者の備える3つの基本スペックが、瞑想から得られるメリットに関連している可能性が示されました。
これを知っておけば、言葉での説明が難しい瞑想のコツを体得するためのヒントになりそうです。
3つのパラメーターとは
研究者は、マインドフルネス瞑想によるポジティブな効果(メンタルヘルスの向上など)には、以下の3つのパラメーターが重要に絡んでいるとの仮説を立てました。
これは、マインドフルネス瞑想に関する過去の心理学研究のレビューと、心理学者のクリスティーン・ネフ氏らが提唱する「セルフコンパッション(自身への思いやりの能力)」理論をベースに導き出されたものです。
【マインドフルネス瞑想の効果に関連した3つのパラメーター】
- セルフコンパッション能力
- 人生に意味があるとの信念
- 不快な出来事を避ける頻度(低いほどプラス)
セルフコンパッション能力とは?
この研究の肝であり、Well-beingにも深く関わるセルフコンパッションについて少し解説します。
人生には失敗やハードな局面がつきものですが、セルフコンパッション能力は、そうしたとき自分自身にどう接するかを左右します。
クリスティーン・ネフ氏のWebサイトでは、セルフコンパッションについて、“ホームレスを見かけたとき”のシチュエーションを例に説明してくれています。
まずは、素通りするのではなく、そのハードな状況に気づき想いを巡らすことから始めます。
(中略)本当に共感を抱いたときには単なる同情と違い、相手の痛みを体感し、なんとかして手を差しのべたくなるはずです。
そして今度はその能力を、自分のどうしようもないと感じる部分に対して、あるいは、やらかしてしまったときに発揮するのです。
ちょっと注意が必要なのは、セルフコンパッションは自分を甘やかすのとは違うということ(ネフ氏が取り上げている例が、身内ではなく路上生活者だったことを思い出してください)。
欠点や失敗が誰にでもあることを客観的に認識し、自身に対する過度な批判や後悔からの悪影響を取り除くのが目的です。
続けるにつれて各能力が向上する結果も
研究では、心理学の調査手法である「質問紙法」を利用して414人の瞑想者と414人の非瞑想者を比較・分析しています。
その結果、仮説として挙げた3つのパラメーターすべてがマインドフルネス瞑想から得られるポジティブな効果に関連していたようです。
さらには、これらの能力はマインドフルネス瞑想を続けるにつれて向上することがわかりました。
言い換えれば、マインドフルネス瞑想を実践していくうえで、意識的に自身への思いやりを深め、人生の目的を強化し、逃げたいと感じる出来事に向き合うようにすれば、メリットをより実感しやすくなると言えるでしょう。
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Image: maxpetrov/Shutterstock.com
Source: Wiley Online Library, Self-Compassion