年度末のバタバタに向けて残業時間の抑制のマネジメントはますます強くなるばかりです。しかし、それが返ってプレッシャーになっていることはないでしょうか?
残業が禁止されたところで、相変わらず現場は忙しいもの。最近では、「こんなことなら残業を許してほしい」といった声まで聞くことも少なくありません。
そこで、今回は、時間効率を上げる技として「隙間時間」を有効活用する方法を紹介したいと思います。
ただ単に「スキマ時間を活用しましょう」ということではありません。隙間時間を増やす方法をはじめ、誰もが見向きもしない、ミクロな隙間時間すらも仕事に充てる方法もお届けします。
「隙間時間」は“できる”ものでなく、“つくる”もの

とはいえ、「そんなに隙間時間なんてない!」と思われたかもしれません。
しかし、隙間時間は“ほんの少し”の工夫で、つくることができるのです。概ね、1日に2時間ほどの隙間時間はつくることができるでしょう。
隙間時間のつくり方①:「前倒し行動」をする
たとえば商談のアポイントが11時に予定されていたとします。この時、 「前倒し」をして現地に到着することを考え、10時40分に到着するように予定を組みます。
そうすることで、20分程度の余裕(隙間)をつくること出来ます。この20分を使って、残務になりそうな報告書等の作業に充てるのです。
ほかの前倒し行動のバリエーションを紹介します。
- 2本早い電車に乗る(早く現地に到着すれば、それが隙間時間になる)
- 5~10分前までには、会議室で待機しておく
- 60分の打ち合わせなら、40~50分で終わらせるようにする
- 早めに同僚との雑談を切り上げる
こうした些細なことにトライするだけでも、隙間時間を増やすことはできるのです。
仮に、15分の隙間時間を1日に4回つくれば、1時間の余裕をつくることができると考えると、やらない手はありません。
隙間時間のつくり方②:あえて時間のかかる方を選ぶ
▼コンビニで
たとえば、あなたがコンビニのレジに並ぶとき、列の短い方に並んでいませんか?
普通はそうだと思いますが、あえて長い列に並んでみてください。その間にメールを2通は打てるはずですよ。
▼電車などの移動で
電車での移動時も、急行や特急電車に乗るのではなく、あえて時間のかかる各駅停車を選ぶのもその1つです。
私は京都から大阪梅田、品川から横浜に行く際も各駅を選びます。すると、座ってパソコンを開けてゆっくり作業をすることができます。特急に飛び乗って早く目的地に着くことが効率的とは必ずしも言えないのです。
▼駅からオフィスまでの道のりで
駅からオフィスまでの道のりもそうです。少し回り道をすると、歩きながらスマホの音声入力を駆使すれば文章が打てるので、信号待ちで1通のメールや報告書の下書きくらいならできるでしょう。
▼ランチで
ランチもそうです。早く料理が出される店よりも、ゆっくりと出てくる店の方が隙間時間をつくりやすいものです。
注文後、料理が出てくるまでの時間も隙間時間です。この場合も、2~3通のメールをスマホから打つこともできますよ。
隙間時間のつくり方③:待ち時間を活用する
みなさんは、エレベーターの待ち時間についイライラしてしまいませんか? でも、その時間も仕事中だと考えてみてください。すると、「もう少し待ちたい」という気分にすらなるものです。
また、エスカレーターで1階から2階に昇るまでの30秒でも仕事をします。大通りの交差点での赤信号は、大チャンス。企画書の下書きができるでしょう。
「待っている」と思った瞬間、「今この時間に仕事ができるのでは?」と自問するようにしてみてください。
時間別「できること」リスト

あらかじめ、1分・5分・10分あれば何ができるか?を決めておくとことをおすすめします。以下に一例をご紹介します。
1分でできること
- スマホの音声入力を使って、メールの返信や企画書・レポートの下書き
- 予定・メールのチェック
- ニュースなどの情報収集
- 会議室の予約 など
5分でできること
- クライアントへの電話
- 軽い打ち合わせ(立ち話)
- 休憩(コーヒーを飲む、景色を眺めるなど)
- デスクの片付け
- 文具などの消耗品の注文
- 店の予約 など
10分でできること
- パソコンを使った作業
- 打ち合わせ(座った状態で)
- 軽食をとる
- お手洗いをすませる など
以上のように、あらかじめできることを考えておくと、不意に隙間時間ができた時に「今何ができるか?」と自問した時の判断が早くなります。
今回は、隙間時間を有効に活用する方法を紹介しました。
1日に1~2時間の隙間時間を増やすことができたら、普段の残業をなくすことは十分に可能です。なかなか業務量を減らすことができない方にとっては、もはや隙間時間を活かすことが残業をなくすための切り札だと確信しています。
1日の実働時間は限られています。残業して対応する時代ではありません。「業務量を減らすにも限界がある」と思われたなら、活路は隙間時間にしかないでしょう。
日常の中に使える隙間時間は意外と多いものです。隙間時間を増やし、スマホの音声入力機能など便利な機能を組み合わせれば、飛躍的に生産性をあげることができますよ。
「今度こそ残業レスに挑戦するぞ!」と決めている方にはぜひトライしていただきたいコツです。
伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。2011年、株式会社らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。近著、『できるリーダーは、「これ」しかやらない: メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)』『数字を上げる人のセールストーク・営業のキホン(すばる舎)』等多数。
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※YouTube「研修トレーナー伊庭正康のビジネスメソッド」もスタート
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