「何かを続けよう」「やめよう」と思った時、世の中にはさまざまなテクニックがあります。
何が一番効き目があるのか、情報が散在しているのでまとめて知りたい!という方のために、私のコンサルティングと自分の経験から7つの極意として王道の手法を紹介したいと思います。
本質や原則はシンプルなもの。あとは、実践できるかどうかが肝です。ご自身の習慣化したいことに当てはめてみてくださいね。
目次
1. ベビーステップ(小さな一歩)から始める

「動く前が一番やりたくない、動き始めたらやる気は後からついてくる」。こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
ベビーステップで始めるという極意は、7つの中でも圧倒的に重要なコツです。
習慣化が成功するか否かは、言い訳もしようがないほど、やる気がなくても絶対にできる一歩を設定して、とにかく行動ゼロにしないことです。コンスタントにやり続けると抵抗感がなくなっていきます。
また、残業などで疲れている時でも実行し続けるためには、ハードルを徹底的に下げた行動設定ができていることが重要です。
たとえば、次のようなものが挙げられます。
【ハードルを下げた行動設定(例)】
- 英語の勉強をする:15分だけ通勤時間にポッドキャストの英語番組を聞く
- ストレッチする:会社のコピーを取るときに、ストレッチをする
- 早起きをする:朝、いつもより15分だけ早く起きる
- ブログを書く:お気に入りの記事をリブログする
2. 自分をうまく乗せる方法を模索する
「好きなことは続く、嫌いなことは続かない」。
この原則で言うならば、そもそも自分の好きなこと・自分にあったやり方を模索することはその後の行動を継続する上でとても重要です。
運動1つでも、ジョギング・ウォーキング・ストレッチがいいか、あるいは朝・夜がいいか、友達と一緒にやるのがいいのかなど、「自分の乗る方法」を探ることをおすすめします。
微妙な違いでも自分の気分が乗らなければ、その行動を継続するのはとても困難になります。
3. 記録して現状を確認する

ウォーキングを例にあげるなら、万歩計があれば4300歩の日と7000歩の日の違いを実感することができます。数字による記録があると、私たちの脳は明確に現状を認識し、心に改善スイッチが入ります。
毎日体重計に乗る習慣をつけておくと、嫌な現実と向き合うことになりますが、現実から目をそらすよりも圧倒的に対策しなければいけないという意識は高まります。私たちはフォーカスを向けたものだけを手に入れることができるのです。
習慣化で一番難しいのは「決意した日」の意識を続けることです。モチベーションはアップダウンするものですが、記録を取れば少なくとも習慣を毎日確認すること、意識することができます。続けることができていなくてもです。
これは数値だけに限りません。日々の放電・充電日記をつけてもらいますが、毎日それぞれをリストアップするだけで習慣化への意識は継続できます。
無自覚なことは変えられず、自覚していることのみが変えられます。日々の煩わしさ、忙殺の中にあると、習慣化を決めても意識するタイミングがないことが多いものです。
「記録する」という行為によって思い出し、かつ積み重ねを感じることができるでしょう。
4. 「If-Thenプランニング」で行動を条件づけする
行動の条件づけで一番分かりやすく有名な手法が「If-Thenプラニング」。Columbia Business SchoolののHeidi Grant教授が提唱している手法です。
簡単にいうと「もし○○したら△△する」と決めておくだけ。行動を日常生活に条件づけするためには、発動タイミングを決めてしまうのがスムーズなのです。
習慣化の例でいうと、以下のようなものが挙げられます。
【If-Thenプランニングの例】
- 会社で大量のコピーを取っている最中はストレッチして待つ
- 移動時間は音声学習をする
- 朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴びる
- 仕事を始めるときは、まず15分間メールを見ずに考える仕事に集中する
- 家に帰ったら浴室で服を脱いでお風呂に入る(そこからゆっくりする)
- 22時になったらスマホの電源を落とす
- 晩酌をするときは「ビール1本→ノンアルコール・ビール1本→ビール1本」のルールで飲む
脳が行動を認識しやすいのはタイミングを決めた時、条件づけが明確な時です。この公式を使って創造的な行動条件づけをしてみてください。
5. 他者からのフィードバックを糧にする
私たち「習慣化コミュニティ」では、仲間からの反応が継続のパワーとなっています。
毎日習慣の投稿をして、いいねが返ってきたり、コメントが返ってくると盛り上がりますが、反応がないとトーンダウンしてしまいます。Facebookのコミュニティで考えると分かりやすいのではないでしょうか?
上司が部下に、親が子に、医者が患者に良い習慣を身につけてもらうためには、どうしたらよいのか?という相談をよく耳にしますが、1つの鍵はフィードバックにあります。
関わる頻度が高いほど、関心を向けてくれている度合いが高いほど、行動は増進されます。
もちろん、褒めるばかりがフィードバックではありません。自分が考えたり、行動したことに反応があることが次の行動を生み出すのです。
自分の習慣化に応用するならば、Facebookへの投稿やLINEグループで仲間をつくれば一気にフィードバックを得る仕組みが出来上がります。
6. 未来に強いゴールをつくる(発表の場・試験など)

勉強にしても、運動にしても、3カ月後・半年後などに明確なゴールがあるほど、日々の行動への意欲は維持できます。
たとえば、日々ジョギングをしている人ほどハーフマラソンなどのイベントを定期的に入れてやる気を高めているものです。
学期末試験の直前だけ勉強するというようなモチベーションでは意味がありませんが、やはり「試験があるから勉強する」というのは、明確な結果を迫られる場があるからこそ日々の行動も積み上げることができると言えるでしょう。
7. 周囲と約束して自分を追い込む
性格タイプによって差があるものの、宣言効果は抜群です。ただし自分の前向きな習慣化行動でなければ、単に辛いだけなので、使い方には十分注意が必要です。
自分との約束と他人との約束では後者の方がはるかに守りやすくなります。最近私の習慣化コミュニティで始めたのが7月までに腹筋を割るプロジェクト。
もちろん、言い出した私は逃げることはできませんが、手を上げて参加を決めた人はこの日に証明しなければならないので、これから5カ月間頑張る必要があります。
極意6のゴール設定でもありますが、そこにプラスして極意7の他人との約束を加えることで強烈なモチベーションになります。当然目標というのは1カ月そこらでなんとかなる話ではないので、習慣化しなければ到達できません。
個人によって好き嫌いが別れるので、乗るか乗らないかで判断する必要がありますが、乗るならば「追い込む宣言」は爆発力が凄まじいものです。
どれも王道の手法ですが、知っているかどうかではなく、実践できるかどうかです。ご自身の習慣化したいことに当てはめて試してみてくださいね。
古川武士(ふるかわ・たけし) 習慣化コンサルタント

約5万人のビジネスパーソンの育成と約1000人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。「続ける習慣」「やめる習慣」など著書は全20冊、計80万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。公式サイト
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