Jenna Gensicさんは、息子が自閉症スペクトラムと診断されたのをきっかけに、詳細なリサーチを始めました。
まずは、医師やセラピストといった専門家のアドバイスを集めましたが、まだ重要な視点が欠けていると感じていました。
自分がまだ当たっていなかった情報源。その1つが、自閉症コミュニティだと気づきました。
成長していくうえで、どんなことが役に立ち、どんなことに傷つくのか。そういったことについて、自閉症の人たちの考えやアドバイスをもっと知りたいと思ったのです。
自閉症の子どもが本当に必要なものは?
そこからGensicさんが学んだのは、予想とはまったく違うこと。そしてそれは、息子を育てる助けになることでもありました。
そこで、Gensicさんは自身のリサーチを、同じような子を持つほかの親のために1冊の本にまとめました。
それが、『What Your Child on the Spectrum Really Needs: Advice from 12 Autistic Adults(自閉症の子どもが本当に必要としているもの:自閉症のおとな12人からのアドバイス)』です。
ありのままを受け入れる
取材を始めたときのGensicさんは、これまでに試した治療法や戦略、その中で役に立ったものやうまくいったもの、そうでなかったものが話題になるのだろうと予想していました。
しかし、ほとんどの人が話したがったのは、自分がどう扱われたかということでした。
自閉症の子どもが成長する中で出会う専門家の多くは、自閉症の人たちにとって難しいことについて話す傾向があります。
自閉症の人たちは常に、こうした症状を克服しようとしながら生活を送っています。
(略)けれども、彼らの望みは受け入れてもらうことであり、自閉症としての前向きなアイデンティティを持って生きていくことでした。
目立たないようにするために、自閉症であることを隠しながら生きることを彼らは望んでいなかったのです。
親は、自分の子どもが(目立ち)いじめられたくないと思うものです。そのため、身体をゆすったり、手をひらひらさせたりなどの症状や行動にフォーカスすることがあります。
しかし、Gensicさんが話を聞いた人の多くは、そうした行動は自分を制御する上で役立つものであり、逆にその行動を絶えず隠そうとすることはとても疲れるのだと語っています。
良し悪しで区別しない
問題は、「目立たないようにすること」と「うまく生きること」が同一視されていることにある、とGensicさんは気づきました。
私は、息子がとても幼い頃から、下された診断について彼に話してきました。(自閉症は)悪いと見なされるようなものではなく、「息子がどんな人間なのか」「どんなふうに生きているのか」ということにすぎないのです。
私たち親子は、自閉症をさまざまな考え方の集合として捉えて話をしています。
息子は自閉症の脳を持っていて、私は定型発達の脳を持っている。良いとか悪いとかの話ではないのです。
必要なサポートは個人によって違う
Gensicさんが取材した人の多くは、治療について語り、そうしたタイプのサポートの必要性を口にしていました。
しかし、もっと情報がほしいとも話していました。特に、「自分自身が目標にしたいこと」に関する情報です。
ある取材協力者が、「誰もが社交的なスキルのことしか話したがらない」と言っていたのを覚えています。けれども彼女自身は、それを重視したいとは少しも思っていなかったのです。
自分のことは自分で決めさせる
どんな戦略をとるのか、何を重視するのか。
その点については、とりわけ子どもが小さいうちは、親や専門家が手を貸して導く必要がありますが、本人に発言権を与え、会話に参加できるようにすることも大切です。
小さい子でも、青少年でも、若年成人でも、自分の目標や取り組みたいことは自分で決めることができます。
それに、そのほうがずっと効果があります。自分のしたいことをするわけですから。
取材協力者の多くは、セラピストと患者の関係も重要だと語りました。子どもに必要なのは、「理解されている」「受け入れられている」と感じることなのです。
Gensicさんは、著書を執筆して以来、自閉症のおとなの取材を続けています。これまでに100人を超える人へのインタビューをブログに掲載し(その数は増え続けています)、自閉症の子を持つ親たちに、さらなるヒントを提供しています。
あわせて読みたい
Image: Shutterstock.com
Source: AAPC Publishing, Learn From Autistics(1, 2)
Meghan Moravcik Walbert - Lifehacker US[原文]