我が家の9歳の娘は、咳払いを繰り返すことがあり、最高で1分間に33回を記録したことがあります。これが始まると私は何にも集中できず、ただ回数を数えることしかできません。

この癖は6歳のころに始まり、以降ずっと続いています。

当初、妻と私はアレルギーや鼻炎を疑いました。乳製品が大好きだったので、粘液が原因だろうと考えたのです。

でも、注意深く観察していると、発生するタイミングが不思議なことに気づきました。朝起きて、朝食を食べる前。食べている間。夜ベッドに入って、眠りにつく前。

小児科に相談したところ、アレルギーも否定できないが、チック症の可能性が高いと言われました。

その医師にもチック症の子がいて、ストレスがあるときに症状を繰り返すとのこと。念のためしばらくアレルギー治療をしましたが、すぐにチック症であることが明らかになりました。

チック症って何?

チック症は、 トゥレット症候群の症状の1つに分類されます。

現代医学では、無意識に動作や音を繰り返すことを指し、まばたき唇を震わせる鼻にしわを寄せる鼻をすする咳払いうめき声などがこれに該当します。

女児より男児に多く、注意欠陥多動性障害(ADHD)や不安に関連する解放機構または対処機構と考えられています。

米国トゥレット学会によると、チック症は強迫性障害(OCD)から来るルーティンや儀式を助長することがあるそう。

チック症は、その期間をもとに診断されます。ときどきチック症が出る子どもは、暫定的(または一過性)チック症と診断され、通常は1年以内に解決します。

ニューヨーク市にあるChild Mind Instituteの臨床心理士であるJerry Bubrick博士によると、医師はチック症を経験する期間の長さにも注目し、3カ月以上休みなく継続するときは 持続性(慢性)運動または音声チック症と診断することもあるそうです。

同研究所の不安障害センターでチック症患者を多く診ているBubrick博士はこう説明します。

慢性運動または音声チック症とトゥレット症候群の唯一の違いは、後者の場合運動チックと音声チックが同時に現れる点にあります。

我が家の場合、のどを鳴らすような咳払いと咳を繰り返しますが、どちらにも生理学的な意味はなさそうです。

チック症の診断と治療法

その咳払いと咳が、アレルギーかどうかの判断が難しいところでした。

冬に症状が出始め、春が終わりに近づいたころ、私たちはようやく小児科のドアを叩きました。子どもによくある粉塵や花粉などによるアレルギーだと思い込んでいたため、判断が遅れてしまったのです。

チック症が疑われる子を持つ親は、治療変更が必要になる場合があるため、医師に相談してください。特にその子が、OCD、ADHD、不安障害の診断を受けている場合はなおさらです

チックが1年未満見られる場合

運動チックまたは音声チックのどちらかだけが1年未満出ている子どもは、暫定的チック症の診断を受けるでしょう。

Bubrick博士は、あくびのようなチックはその可能性が高いといいます。チックを指摘すると悪化することがあるので、大人は子どものチックを無視したほうが良いでしょう

ただ監視を続け、頻度をチェックするとともに、なんらかの兆候がないかを判断します。

チックが1年以上続く場合

チックが1年以上続くと、診断が持続性チック症に変わります。Bubrick医師は、そうなったら包括的行動的介入(CBIT)と呼ばれる認知行動療法をすすめています。

CBITは、資格を持つ行動専門家(心理士、行動療法士、作業療法士、ソーシャルワーカーなど)による、8から12週間の集中治療です。

子どもは自分のチックやその程度を把握していないため、CBITでは自身のチックへの認識の確立から始めます。チックが出るきっかけを認識させるのが目的ですが、症状の悪化を防ぐため、さらなる不安や当惑を与えないことへの配慮が必要です。

まず、チックが出ているときに鏡をのぞかせ、症状に気づいていたかどうかを話します。次に、チックが出そうだと感じたら手を上げてもらいます。

目的は、チックの衝動が始まるきっかけを見つけること。まばたきのチックの前に肩を回すことがわかったら、肩を回す原因を見つけることに注力します。

認識が確立できたら、次はチックのプロセスの理解を試みます。最初に注目するのは、ストレスと不安の原因です。

チックとストレスは、いわば親友みたいなもの。ですから、ストレスが増えるほど、チックが出やすくなります。

たとえば、算数が苦手でストレスを感じるなら、得意な理科の授業中よりも、算数の授業中のほうがチックが出やすくなります。

続いて弛緩療法に進みます。身心が穏やかでいれば、チックが減るからです。

眠っている間にチックが起こることはありません。つまり、身体が完全にリラックスしているときはチックが出ないのです。ストレスのある授業中は、筋肉を緊張させてもどうにもなりません。

弛緩療法は、深呼吸、ガイド付きの瞑想、漸進的筋弛緩法を組み合わせて行います。漸進的筋弛緩法とは、筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返すことで、2つの状態の違いを学ぶ治療法です。

CBITの最終フェーズは、競合反応の提供です。

これは、ロリポップを口に運んだり出したりする動作がタバコを吸う動作に似ていることを利用して、禁煙のためにロリポップを与えるのと同じアイデアです。

Bubrick博士は、怖い映画を見ているかのように目をきつく閉じる子どもを例に挙げて説明しています。

競合反応として、まぶたの同じ筋肉を反対方向に使わせます。具体的には、衝動が過ぎ去るまで目を大きく見開きます。衝動が消えたら、目を通常どおりに戻して完了です。

シンプルな方法ですが、かなりの練習と忍耐力、そして周囲の大人による理解が必要です。

親は落ち着いて対応して大丈夫

米国トゥレット学会では、親はチックへの対応を完璧にする必要はないと勧告しています。

むしろ、自分の我慢の限界を把握しておかなければなりません。特に、ただでさえストレスの多い日にチックに向き合わなければならないようなときには、これが重要になります。

娘のチックが神経を逆なでするようなときにはどうすればいいか、Bubrick博士に尋ねたところ、博士は子どものチック症は親に向けられたものではないと教えてくれました。

お子さんは、自分にとってつらい神経学的状態に対処するために頑張っています。

ですから親は、少しその場を離れて気持ちを落ち着けるといいでしょう。そして、ニュートラルな場所に戻るのです。

あるいは、一緒に何かをしてもいいかもしれません。たとえば散歩に出るなどして、お互いリラックスするのが効果的です。

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Photo: Shutterstock

Source: Tourette Association of America(1, 2, 3), CDC, Child Mind Institute(1, 2)

Jared Paventi - Lifehacker US[原文