よく見かける安い粉チーズは、「パルメザンチーズ」と呼ばれることもありますが、実は、イタリアで生産される高級チーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」を粉にしたものではありません。
本物のパルミジャーノ・レッジャーノには、木の実のような風味と、ほのかなフルーティさがあります。そして、風味と歯ごたえを生む結晶体がたくさん詰まっています。おしゃれ男子のようなチーズで、極上パスタの上にふんわりたっぷりと乗せて楽しむべきチーズなのです。
よく見かける、緑色のボトルに入った粉チーズは、「パルメザンチーズ」ではありますが、中身はパルミジャーノ・レッジャーノではありません。でも、だからと言って、常備しておくに値しないわけではありません。これはむしろ、日常的な料理に使いやすい、優れたチーズなのです。
一般的な粉チーズの正しい楽しみ方は?

「シュレッドされたパルメザンチーズ」と、安い料理キット「クラフトディナー」のパウチに入っているような「チーズパウダー」の間に、ちょうどいい感じの粉チーズがあります。
振り出し容器のシェイカーに入っているので、わが家のあたりでは「シェイカーパーム」と呼ばれています(パームは、パルメザンの略)。これは、料理にふたつの風味を加えてくれます。
塩気と、「一般的なチーズの味」というふたつです。
洗練されてはいませんが、そういうものだと割り切ってしまえば、料理をおいしくしてくれるチーズです。
いわば、舞台のうしろでいい仕事をするコーラスガールのような存在なのです(もちろん、パルミジャーノ・レッジャーノはディーバですが)。
シェイカーパームを使うメリットのうちで、一番わかりやすいのは「コスト」です。
シェイカーパームであれば、高価すぎてたっぷり使えない、という心配はありません。押しが強いほかの材料と混ぜてしまうと、大事な風味がぼやけてしまうと心配する必要もありません。
とはいえ、安いチーズパウダーに高級チーズなみの料金を支払うなんてことがないように、ラベルと値札は必ず確認しましょう。安いからこそのシェイカーパームなのですから。
こうした、塊になりにくいチーズパウダーは、私の大好物の中の3つに、まさにぴったり。つまり、ポップコーンとサラダドレッシング、パスタです。ただ、注意点もいくつかありますので、以下でご説明していきましょう。
チーズポップコーン
私が住んでいるオレゴン州ポートランドでは、おいしいポップコーンが食べられます。ワインバーでも楽しみますし、遊び心のあるアペタイザーとしてテーブルに出てくることもあります。
細かくシュレッドされた本物のパルミジャーノ・レッジャーノがたっぷりとかかった山盛りのポップコーンを初体験したときは、私は感動しました。
そのお皿が、テイスティング用のローカルワインのとなりに並べられたとき、「なんて贅沢なんだろう」と思ったのです。
けれども実際に食べてみると、これは何も考えずにボウルからムシャムシャ食べられるポップコーンではなく、かなりの集中力が要求されるポップコーンであることに気づきました。
細かな粉チーズでコーティングされたポップコーンだったら手づかみできるのですが、シュレッドチーズの小さな山が上に乗ったポップコーンを、気を使いながら少しずつ口に運ばなければならなかったのです。もちろん、味はおいしかったのですが、テーブルの上はちょっとした惨事になってしまいました。
シェイカーパームの場合は、ふわふわした軽い質感のおかげで、ポップコーンにうまくくっつきます。そして、チーズのうま味と塩気をそこに加えてくれます。
私はここ最近、シェイカーパームにニュートリショナル・イースト(出芽酵母から作ったスーパーフード)とグルタミン酸ナトリウム(うま味調味料)を加えたものを、ポップコーンにかけて食べています。
ポップコーンに最高に合う調味料が完成したと、自分では思っています。
チーズ風味のサラダドレッシング
ドレッシングの中にはいろいろな物が入っています。そこには少なくとも、油に酸味と糖分が入ります。マスタードが加わることもしばしばです。
競争が激しいこの環境は、1ポンドあたり15ドルもするチーズをお披露目するのには適していません。
でも、シェイカーパームなら、こんな場所でもうまくやっていけます。ドレッシングの中で見事に広がり、チーズの風味と、さらにはほんのりとした深みをそこに加えます。
シェイカーパームを使った私のお気に入りドレッシングは、このメープル・ビネグレットです。刻んだ芽キャベツにぴったりのドレッシングです。
チーズパスタ
シェイカーパームで、カチョエペペ(ローマの名物パスタ料理)を作ろう……なんてことを言うつもりはありません。怒鳴られたくはありませんからね。
このパスタに必要な材料が4つだけですが(パスタとペコリーノチーズ、胡椒、オリーブオイル)、その理由は、この4つの材料の中のひとつであるチーズがとてもおいしいので、ほかのものはほとんどいらないからです。
とはいえ、本物のチーズを使うと、問題もあります。それは、熱々のパスタに混ぜ入れると、妙に糸を引いてしまうおそれがあるということです。
とくに、マイクロプレイン(目の細かいチーズおろし)などを使って、時間をかけてチーズを粉にしなかったような場合です。
「食料倉庫のおそうじ」的な食事を作るときや、塩とチーズがたっぷり入った温かいものが食べたいときには、シェイカーパームを使うと、おいしくてコクのあるソースができます(そして、糸は引きません)。
私の相棒のジェフ(みなさん、覚えてますよね?)なんて、パスタに使うのなら、値の張るチーズよりもシェイカーパームのほうが好きなぐらいです。
彼に話を聞くと、こんなふうに話してくれました。
「パスタだったら、ニンニクとオリーブオイル、トウガラシ、シェイカーパーム。それにパスタのゆで汁を少々。僕に必要なのはこれだけさ」
パスタ1ポンド(約450g)に対して、粉チーズは180グラムほどあれば十分でしょう。均等に分散するように、もし塊があれば、ふりかける前に砕いてておきます。そして、パッケージに書かれている指示にしたがってパスタをゆでます。
次に、大きめの鍋にオリーブオイルを入れ、ニンニクとコショウ(お好みでほかのものも)を加えます。
ジュージューと音がしてきたら、そこにパスタのゆで汁240ccほどを加えます。そのまま2~3分、グツグツ煮立てたら、パスタを加えます。そして最後にチーズを加え、何度も鍋をゆすって全体にチーズをからめます。
安くて満足感が得られる、チーズたっぷりパスタのできあがりです。日一日と寒さが増してくる秋に、ぴったりの一品です。
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Photo: Claire Lower
Image: Shutterstock.com
Claire Lower - Lifehacker US[原文]