日本では手帳ブームが続いていますが、ついに今年も書店や文具店に手帳がずらりと並ぶ時期が来ました。

一説には、およそ7千万冊もの手帳が販売されているそうで、「来年はどの手帳を使おうか」と迷う人も多いでしょう。

ところで、もしあなたが「来年こそはTOEICで700点以上を狙いたい」「海外で一人旅ができる英会話力を身につけたい」など英語学習に意欲があるなら、「手帳を使って英語力を上げるコツ」を知りたくはありませんか?

そんな意外な英語学習法を提唱するのは、これまで何冊もの英語関連の著書を出してきた有子山博美さんです。

有子山さんは、『英語で手帳をつけてみました』(IBCパブリッシング)の著者でもあり、『英語手帳』という専門手帳の制作にも携わる、この学習法の第一人者。

今回は、有子山さんおすすめの手帳を使った英語力向上法を紹介しましょう。

まずはスケジュールを英語で書いてみる

最初のステップで取り組みやすいのは、定期的なスケジュールを英語で書くことだそうです。

日本語では「15:00 上司とミーティング」など、いたってシンプルに記述しますが、英語でもそれは同じ。基本的に数語の英単語を羅列するだけなので、習得は早いです。

いくつか例をあげましょう。

  • Dentist @ 3pm(歯医者、午後3時)
  • Meeting w/ Mr. Jones @ 10am(ジョーンズ氏と会議、午前10時)
  • Dinner w/ Chris in Shibuya @ 8pm (クリスと渋谷でディナー、午後8時)
  • Go to IKEA w/ Sachi(サチとIKEAへ)

動詞は原形とします。時間の前につける前置詞atは@、「~と一緒に」を意味する前置詞withはw/と略語で書き、場所の前につける前置詞はin(広い範囲の場所)at(店など特定の場所)にします。

そして時刻表記は、英語圏では(24時間表記より)12時間表記が一般的です。

次はTo doリストにチャレンジ

スケジュールの次はTo doリスト。有子山さんは、日々の細かいタスクばかりでなく、「毎日の習慣にしたいことや週ごとに達成したい目標」も含め、英語で書きつけることをすすめています。

これについてもいくつか例をあげましょう。

Write a Thank-you-letter. (お礼の手紙を書く)

Pick the dry cleaning up. (クリーニングを取りに行く)

Return Sue’s e-mail. (スーのメールに返信する)

Copy reports before meeting. (ミーティングの前にレポートをコピーする)

To doリストに入れる英訳例を見つけるのに、有子山さんがおすすめするのは、オンライン辞書の「英辞郎」です。

そして、自分で1から英作文する苦労と時間をかける代わりに、手本となる英文をもとに単語の入れ替えなどする「英借文」をします。

英借文のトレーニングを積むことで自然な英語の構文が身につき、次第に自分でも英語らしい文をつくれるようになっていきます。

「行動予定+自分の気持ち」を書く

次の段階は、ウィークリー欄よりも余白の大きいデイリー欄に、行動予定とそれにプラスしてひと言を1文ずつ書くというもの。たとえば、次のようなものです。

I’m going to make a presentation at the next meeting. I have to prepare for it this weekend.

(会議でプレゼンをすることになった。今週末に準備しなきゃ)

I’m taking the TOEIC test next Sunday. I gotta study for it!

(来週の日曜日はTOEICを受ける。勉強しなきゃ!)

「~する予定」の意味を出すのに、be going to~be -ing(現在進行形)を使います。現在進行形を使うと、「予定がすぐそこに迫っている感じ」がより出るそうです。

有子山さんは、プラスのひと言として「自分の気持ち」を記すと、知っている形容詞が増えるメリットがあるとアドバイスしています。

気持ちを表す基本形は、〈I’m + 形容詞〉または〈I feel + 形容詞〉「(今)~です、~という気持ちです」という意味になります。

また、〈I’m getting + 形容詞〉で「(だんだん)~になってきた」という気持ちを表せます。

たとえば、I’m getting excited.で「ワクワクしてきた」、その反対がI’m getting depressed.で「気が重くなってきた」の意味になります。

日記をつけてさらに英語力アップ

さらなるステップアップとなるのが、1日の終わりの就寝前に「英語日記タイム」をもうけることだそうです。

日記といっても、手帳のデイリー欄の余白に書ける1~2文でOK。今日起きたことで印象的だったことなどを過去形で書きます。たとえば次のようのものです。

I watched “映画名” with my family today.

(今日は家族で『映画名』を見た)

I went shopping for a new one-piece dress in Shibuya today.

(今日は渋谷に新しいワンピースを買いに行った)

また、罫線で仕切っていないフリースペースには、「watch + 映画名(家で見るとき)、go see + 映画名(映画館)」というふうに、関連して覚えておきたいフレーズや文法事項などをメモしておくとよいでしょう。

英語学習の目標管理にも手帳を活用しよう

横欄が月、縦欄が日のバーチカル形式の手帳があると、目標を記して日々の学習にはずみをつけるのに使えます。

有子山さんは次のようにアドバイスしています。

資格試験やイベントがあるなら、その本番を“ゴール”に設定し、その日までの予定をおおまかに書き込みます。

問題集や単語集を“〇ページやる”といった細かい予定を書き込むのではなく、“この日までにこの問題を終わらせる”というざっくりした予定を書くのがおすすめ。

目標を達成できたら、その日の欄に〇をつけたり、シールを貼ったりして達成感を高め、翌日のモチベーションにつなげられます

また、フリースペースに週単位での目標を定めておき、達成できたらご褒美を自分にあげるのもよい方法。目標だけでなく、ご褒美の内容も記しておきましょう。

本格的に取り組みたい人には『英語手帳』がおすすめ

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2020年用の最新『英語手帳』(通常版、白)
Photo: 鈴木拓也

上記のメソッドは、通常の手帳を使っても実践可能ですが、より本格的に取り組みたいのであれば、有子山さんが手がけた『英語手帳』がおすすめです。

『英語手帳』は、ほぼ単行本サイズの通常版(197×130×20mm、税込2640円)と、文庫サイズのミニ版(152×110×17mm、税込1980円)があります。

基本的なフォーマットは、Year Planner(バーチカル年間予定)、マンスリー、ウィークリー(左ページが週間予定、右ページがフリースペース)となっています。

これには、通常の手帳にはない特徴がいくつかあります。

まず、月ごと(各マンスリー欄の直前)に英語に関連したエッセイが見開きで書かれていること。

『英語手帳 2020』の1月なら「新しい時代の始まり」というタイトルで、元号にちなんだ話が英文をまじえて説かれていたり、7月は東京オリンピックの開催月ということで、「アスリートを応援するフレーズ」や選手の名言集が載っています。

マンスリーのページには、日米英の祝祭日が英語で記され、右側はTo-Do Listになっています。

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『英語手帳』のマンスリーの記入例
Image: IBCパブリッシング

ウィークリーのページは、各曜日に「今日の英単語」が〈emphasize 強調する〉というふうに発音記号とともにあり、隣のフリースペースには、「Useful Phrases」として文例があります。

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『英語手帳』のウィークリーの記入例
Image: IBCパブリッシング

最終週の次のページは、この月に達成したことを英語で記す「Done List」となっています。

そのほか、手帳づけに役立つ英単語・例文集などがあって、とても便利。


英語で手帳をつけることは、最小限の投資と時間で、想像以上の英語力が身につくコストパフォーマンスの高い学習メソッドだと言えそうです。

手帳をつける習慣のある方は、新年から始めてみてはいかがでしょうか?

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Source: IBCパブリッシング, アルク