「練習が完璧をつくる(Practice makes perfect)」という言葉がありますが、あまり適切とは思えません。
というのも、私は子どものころ、クラリネットを猛練習していて、10代の頃にはよりいっそう練習したのに、私の腕前は「完璧」から程遠いものだったからです。
とはいえ、「何事も、練習することでしか上達しない」というのは、本当にそのとおりです。ただ、もう少しうまく説明するなら、人は練習によって、頭の中に「ブレインチェーン(脳の鎖)」をつくっているのです。
脳内に鎖の連なりがゆっくりと形成されていく
米オークランド大学工学教授のバーバラ・オークリー氏は、「元・数学オンチ」で、その後エンジニアとなり、大人と子どもの学習プロセスを研究しています。
人が新しいスキルを練習したり、新しい科目を学んだりするときに、オークリー氏が好んで思い浮かべるのは、その人の脳内に新しい鎖の連なりがゆっくりと形成されていくイメージです。ワシントン・ポスト紙はこの「ブレインチェーン」をこんなふうに説明しています。
あるスキル(例えば、ある数学の問題を解くなど)を練習すればするほど、この鎖は太くなる。そしていつしか、そのタスクを無意識にこなせるようになる。
何かの曲を初めてピアノで覚えようとするとき、最初はなかなか先に進まない。ひとつひとつの音に意識が集中する。
けれどもしばらくすると、ピアノの前に座れば、その曲をすらすらと間違えずに弾けるようになる。その曲のブレインチェーンができ上がったからだ。
どんな新しいスキルでも、習い始めが一番難しい。子どもが「できない!」と叫んで、あきらめそうになるのもこの段階だ。そんなときは子どもに対して、「できない!」ではなく、「今はまだできない」と言い直すように促そう。
オークリー氏は、サンフランシスコの放送局KQEDで、車のバックの仕方を覚えるときなどを例に挙げながら、今では簡単で当たり前に思える日々の活動にも、それをマスターするには、慎重に一歩ずつ学習と練習を重ねることが必要だったと指摘しています。
「何を習得する際にも、手続き的な流暢さ(procedural fluency)に関する鎖が形成されます。それが形成されると、さらに複雑な流暢さの領域に入っていけるようになります」と、オークリー氏は説明しています。
子どもが自転車に乗っていて転んだり、曲を演奏していて音を間違えたり、自分ひとりで算数の問題が解けなかったりして、いらだった様子を見せたら、今はまだ「脳の鎖」をつくっている途中なのだということを思い出させてあげましょう。
その鎖が完璧にでき上がることはないかもしれませんが、時間とともに太く、強くなっていくはずです。
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Source: Barbara Oakley, The Washington Post, KQED
Meghan Moravcik Walbert - Lifehacker US[原文]