この記事は、Empact社の共同創業者Michael Simmonsの投稿を元にしたものです。

ベンジャミン・フランクリンは、父親の仕事を手伝うために10歳の時に小学校に行くのをやめました。10代の頃は、本が好きな以外は突出した才能や能力は無さそうに見えました。それから約50年後、フランクリンが亡くなる時には、アメリカで最も尊敬される政治家であり、最も有名な発明家であり、多くの作品を遺した作家であり、成功した起業家となっていました。

その間に一体どんなことがあって、そのような華々しいことが起こったのでしょう?

この質問に対する答えには、どんな人でも使える、使いたくなる、成功戦略のヒントが隠れています。

5時間ルールとは

フランクリンは、大人になってからも常に1日約1時間は勉強をする時間を取っていました。平日毎日1時間の勉強時間を取ることを、私は「フランクリンの5時間ルール」と呼んでいます。

フランクリンは勉強時間にこのようなことをやっています。

  • 早起きして読んだり書いたりする。
  • 個人的な成長目標を設定し、結果を記録する。
  • コミュニティを育みながら、自身も成長することを望む作家や商売人を目指すような人のためのクラブをつくる。
  • アイデアを実際に試してみる。
  • 朝と夜に振り返る質問をする。

フランクリンは、忙しい日も毎日5時間ルールを守るために、少なくとも1時間はこのような勉強に時間を当てていたので、その日にやる仕事は減っていました。しかし、長い目で見れば、おそらく間違いなくベストな時間の使い方だったと言えるでしょう。

フランクリンの5時間ルールは、長い時間を経て、賢く成功している人は常に勉強をし続けている人だという、非常にシンプルな考えの表れだというのがわかります。

世界的な投資家であるウォーレン・バフェットは、新聞5紙、企業の報告書500ページを読むのに、1日5〜6時間かけています。ビル・ゲイツは年間500冊の本を読みます。マーク・ザッカーバーグは2週間に最低1冊は本を読みます。イーロン・マスクは子どもの頃に1日2冊の本を読んでいたと、マスクの兄は言っています。オプラ・ウィンフリーは、自身の成功は本による影響が大きく「本は私自身が自由になるための手段だった」と語っています。Home Depot社の共同創業者アーサー・ブランクは1日2時間、一代で億万長者となったNBAクリーブランド・キャバリアーズのオーナーのダン・ギルバートは1日1〜2時間本を読みます。

では、5時間ルールを取り入れた生活はどのようなものになるのでしょう?

5時間ルールの基本コンセプト:何もしない時間

チェスのグランドマスターであり、武道の世界チャンピオンでもあるジョシュア・ウェイツキンの生活を見てみましょう。彼は生産性を最大にするために1日にいくつも詰め込むのではなく、まったく逆のことをしています。『The Art of Learning』の著者でもあるウェイツキンは、1日の中であえて"何もしない時間"をつくり、勉強をしたり、創作活動をしたり、その時優先したいことをやったりしています。

1日の中にゆとりの時間があると、このようなことができます。

  1. 勉強の計画を練る

    自分が学びたいことに関して、慎重に考えることができます。達成したいことのためだけに目標を設定してはいけません。学びたいことのために目標を設定した方がいいです。

  2. 意識して実践する

    何も考えずに何かをやっても向上しません。意識して実践するからこそ向上し続けられるのだというのは、すでに証明されている原則です。仕事や向上させたい特定のスキルの練習に対して、正直な意見を聞く時間を取るということです。

  3. 反芻する

    学んだことに対して色々な見方をすることができたり、新しいアイデアを取り込んだりすることができます。また、クリエイティブなひらめきを得るための直感を磨くことにもなります。このような内省をするには歩くのが最適です。ベートーベンやダーウィンから、スティーブ・ジョブズにジャック・ドーシーまで、散歩が好きな偉大な人たちが証明しています。人と話すこともパワフルな反芻の方法です。

  4. 勉強のための時間を取る

    勉強には、何かを読んだり、人と話をしたり、クラスを受けたり、他の人を観察したりすることも含みます。

  5. 問題を解決する

    ほとんどの人は毎日何かしら問題があると思いますが、それを見ないようにしていると、ToDoリストにいつまでも残ることになります。何もしない時間をつくることで、小さな問題が大きな問題に発展する前に解消することができます。

  6. 大きくなりそうなアイデアを小さく実験する

    実験的なことかどうかはさておき、アイデアを試したり、そこから学んだりする良い機会になります。

5時間ルールを取り入れて起こること

仕事のある日は、どれだけ仕事を終わらせたかで測られることが多いです。その結果、1日はすごいスピードで過ぎていき、成長や向上のスピードは遅くなります。5時間ルールは、最初に学ぶことに力を入れることで、その法則を逆転させます。

このことを理解するために、「売り込みの電話」の例を見てみましょう。(「売り込みの電話」を自分が何度も繰り返しやっていることに置き換えて読んでみてください)

ほとんどの場合、営業職の人は電話をかける前に少し下調べをし、それから電話をかけ、メモを取り、次にいきます。

熱心な人の場合、電話をかける練習をし、実際に電話をかけ、そこで学んだことを反映させていきます。さらに、本当にもっとレベルを上げたいを思っている人は、同じ営業の同僚を呼び、電話をかけた後で正直な意見を聞くでしょう。

勉強するライフスタイルを取り入れるというのは、売り込みの電話をする度に、売り込みの電話がうまくなっていくということです。同じ行動を無意識的に(自動的に)やらないように学習することに力を入れているので、頭打ちにならずに向上し続けられるのです。毎回成長するチャンスなのです。

ライフスタイルとして勉強することに力を入れることで、長い目で見るとより多くのことを成し遂げることができます。

5時間ルールを取り入れてみる

では、週に1冊本を読むことから始めてみてはどうでしょう? どんな先生でもコンサルタントでも雇うことができる世界一の金持ちのビル・ゲイツでも、いまだに週1冊は本を読んでいます。2016年の『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタビューで「読書は今でも、新しいことを学んだり、自分の理解を試したりする一番の方法です」と言っています。

Why Constant Learners All Embrace the 5-Hour Rule|Inc.

(訳:的野裕子)

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