Crew Blog:疲れが溜まると、いろいろなことが雑になります。お皿を割ってしまったり、デスクにヒザをぶつけたり、ドアを開けたら顔にぶつかったりといったヘマは、だいたい疲れすぎのサインです。
私はそんなときは、自分が許せず「もう寝なきゃいけない」と実感します。でも、疲労による影響はほかにもたくさんあります。それらを理解したからと言って克服できるわけではありませんが、影響を知っておくことで、睡眠不足をできるだけ避けようと思えるようになるでしょう。
リスクを取らなくなる
疲れた状態で重要な判断を下すのは悪いことだと思うかもしれません。でも、それは場合によります。
研究によると、疲れているときほど安全な選択肢を選ぶ傾向が高まります。たとえば、ギャンブルをしなくなったり、結果が保証されていないことにリスクを負う可能性が低下します。ある一連の研究では、疲れた被験者はリスキーな行動に関与せず、安全性を強化した製品を選び、健康診断などの予防措置に積極的になることを発見しました。
健康やお金に関する決断を下そうとしているなら、これはいい傾向ではないでしょうか。疲れたときに買い物に行けば、衝動買いも減るはずです。ぜひ、試しにやってみてください。
一方で、新しい人に会ったり、新しい経験をするような選択は避けるようになります。上述の研究では、疲れているときほど自分を弱いと感じる傾向があり、慎重な選択をすることがわかっています。つまり、人脈作りイベントや旅先といった、小さなリスクを取ってでも経験を深めたほうがいいシチュエーションでは、疲れているのは問題です。
疲労が選択に影響を及ぼすことを知っておけば、社交イベント前に昼寝をしたり、旅先でのスケジュール管理のために十分な睡眠を取ったりといった対策を、事前に取ることができるでしょう。
古い習慣に戻りやすい
先日、ジャンクフードに関する記事を書くためにリサーチしていて驚いたのは、人は疲れていると必ずしも不健康な食事を選択するわけではないということでした。実際は、人は疲れると通常の習慣に戻るのです。それは筆者の場合は不健康なファーストフードを食べることを意味しますが、健康な食習慣を築いている人であれば、疲れたときに戻るのもその食習慣なのです。
このことは、人生のあらゆる側面で利用できます。たとえば、毎晩寝る前の短い散歩が習慣になっているなら、疲れているときほど散歩に出ようと思うようになります。健康不健康を問わず、習慣になっている行動に抵抗することのほうが、よっぽどエネルギーを消費するのです。
これはいいニュースです。日頃から強固な健康習慣を築いておけば、疲れていてもそれを難なく続けることができるのですから。
逆に、そのような新しい習慣を築くプロセスにおいては、疲れていると古い習慣が出てきてしまうので注意が必要です。私が発見した対策の1つは、あらかじめリストを作っておくこと。Vlad Dolezal氏が、ブログで紹介していた方法です。
我が家の壁には、「Foods of Vladdyland」というタイトルの紙が貼ってあります。
そこには、私が定期的に好きで作っている料理とその材料が書かれています。
このリストは、疲れて何を作ればいいかわからないときの救世主です。リストを眺めながらそれぞれの料理を想像し、「これ食べたい!」と思ったものを作ればいいのですから。こうしておくと、疲れているときに深く考える必要がないのです。
Dolezal氏は、仕事関連でも同様のリストを作っています。必要なエネルギー順にタスクが書かれており、先延ばししがちなときに生産性を維持するのに役立っているそうです。
このリストを作る前は、ほかに何をすべきか思い出せずに、先延ばししてしまうことがありました。
身体が本来の力を発揮できない
疲労の影響を受けるのは思考だけではありません。睡眠が不十分だと、身体もそれなりの調子しか出せなくなります。
疲れた運動選手は、通常時よりもパフォーマンスが落ちることが研究で明らかにされています。また、疲れているときの反応時間や強度は悪化し、身体の力を出し切るのに苦労します。また、運動選手は定期的に十分な睡眠を取ることでパフォーマンスが改善することが、多くの研究でわかっています。これらの結果は、水泳、テニス、バスケットボール、フットボールなどの種目を問わず一貫しています。
運動やトレーニング後の身体を適切に回復するためにも、睡眠が必要です。筋肉の回復のために十分な睡眠をとらないと、翌日の筋肉のパフォーマンスも悪化します。さらに、ケガの確率も高まります。つまり、長期的に睡眠不足が続くと、影響が蓄積され、いっそう危険度が高まるのです。
プロスポーツ選手の選手寿命と睡眠時間の間にも相関があることが知られています。ある研究では、カレッジフットボールからNFLに進んだ無作為抽出の55人の選手のうち、ドラフト入団したチームに残る選手の割合は、"眠さ指数"の高い選手で38%、低い選手で56%でした。同様に、プロ野球選手40人の減少率を調べたところ、眠い選手の減少率は57%から86%と、MLB平均よりも30-35%高い結果となりました。
このように、睡眠は認知的なメリットだけでなく、身体的パフォーマンスにも影響します。つまり、長くて質の高い眠りを毎晩とることが、何においても重要だと言えるでしょう。
Here's what happens if you work when you're tired | Crew Blog
Belle Beth Cooper(訳:堀込泰三)
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