新年あけましておめでとうございます。タシケント在住の重村です。今回は、「ライフハッカー[日本版]が注目する2016年に移住したい世界22都市」として、ソビエト連邦時代の面影が残る街タシケントについてご紹介します。
タシケントはどんな都市ですか?
タシケントはウズベキスタン共和国の首都です。
ウズベキスタンはソ連崩壊後にできた国ですが、ソ連時代は、モスクワ、レニングラード、キエフに続く、4番目に大きな都市でした。ウズベキスタンの人口は全土で約3千万人、その中で在留邦人は2014年10月1日のデータで、わずか110人です。在留邦人の大半は、青年海外協力隊や、JICA、JETRO、大使館等の政府派遣の人で、日本企業の駐在員や留学生が数名です。という状況なので、日本人がほとんどいないので、日本語を話す機会は少ないです。
公用語はロシア語ですが、最近は少しずつ英語ができる人が増えてきたので、英語をある程度使えれば、なんとか暮らせます。
治安はおおむね良く、若い女性が夜1人で歩く姿に違和感は感じませんし、幸いなことに、自分もこれまで危険な目に会ったことはありません。
タシケントで暮らす人々はソ連時代の名残か、純朴でとても優しく、フレンドリー過ぎるほどです。見ず知らずの日本人である私に向かって、今日は夕食を家に食べに来いだとか、泊まりに来いだとか、遊びに行こう、などと初対面で言ってきます。
タシケントの近くには、巨大な世界遺産「レギスタン広場」があります。
※在留邦人数の出所:外務省「海外在留邦人数調査統計(平成27年要約版)」

タシケントに住むことになったきっかけは何ですか?
私は学歴もなく、就職もしたこともなく、ネット通販で細々と生計を立てている身で、30代半ばに差しかかろうという頃には、結婚などできないのではないかと考えていました。大学を卒業して一度も働いたことがない30代半ばの、何の肩書もない自分と付き合ってくれる日本人女性はいないだろうと、若干悲観していたのです。
そこで、外国の女性であれば、日本の学歴や職歴がどうであっても分かりませんし、誰も年齢など気にしないので、海外で婚活をしようと考え、日本を出ました。旅を続けた先にたどり着いたウズベキスタン、とりわけタシケントには美女が多く、この街で婚活を行おうと決意し、美女と結婚したかったので、モデル事務所を作り、結果、妻と知り合い、結婚しました。
タシケント出身の妻と結婚したことが、この地に住むことになったきっかけです。ビザは妻の実家から紹介状を書いてもらい、3カ月の招待ビザを取得し、それを延長して半年間滞在できるようにして生活しています。婚活をするならタシケントを強くお勧めします。

タシケントで気に入っているところはどこですか?
まず、1年を通じて快晴の日が多く、春から秋にかけてはほぼ毎日雲ひとつないことです。中央アジアの真ん中という土地で、砂漠気候なので、夏でもとても乾燥しています。春から秋までのタシケントは最高だと思います。
次に、とても便利で、生活費も安く、暮らしやすいことです。たとえば、タシケントの市内を走っている車の8割以上は白タクです。移動したければ道路に行って手を挙げます。そうすると車が停まってくれて、行き先と価格を伝え、OKならそこまで連れて行ってくれます。しかも、1キロあたり20円~30円程度の激安価格なのです。

安いのは移動だけじゃなく、食料品も同じで、たとえばイチゴ1kgが100~200円です。レストランで食事すると500円~1000円程度かかりますが、バザールで食料品を買えばとても安く生活できます。

私はインターネット通販の事業で生計を立てており、収入は少ないですが、妻の実家に住んでいることもあり、タシケントの物価ならば、月々5万円もあれば余裕を持って生活できます。アパートを借りるにしても、月々10万円もあれば大丈夫でしょう。
逆にもっとこうだったらなぁと思うところは?
夏暑くなり過ぎることと、冬寒くなり過ぎることがつらいです。夏は気温が50度近くまで上がる日もあり、冬はマイナス20度くらいまで下がる日があります。冬は寒過ぎるので、タシケントを離れ、普段はタイのバンコクで過ごしています。タシケントがもうちょっと温暖であればなと思います。
それから、輸入品が高いことも残念です。海がないので貿易は陸送か空輸が一般的です。港にコンテナをつけて大規模に配送、ということができないため、輸入品がやや高く、日本のほうが値段が安いものも数多くあります。
どんな人ならうまくやっていける都市だと思いますか?
ウズベキスタンのホスピタリティーはこれまで訪れた国の中でもトップクラスです。現地の人々はとてもフレンドリーなので、友達もすぐにできます。
日本で忙しく過ごす日々に疲れたら、タシケントのような気候も人も温かな街でしばらく過ごしてみるのは良いと思います。
ストレスの多い生活を送っている人は、自分を見つめ直せる、精神休養の地になりますよ!
【著者プロフィール】
重村俊雄(しげむらとしお)
1974年、山口県生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業後、上海行きの乗船券を購入し、上海から西進。数カ月後にロンドンに到着。帰国後、アルバイトやヤフオクでの商品転売等でお金を稼ぎつつ、旅行を続ける。30歳のときに父親の事業を手伝い始め、独立してインターネットでの通販事業を始める。現在は主にネット通販でオゾン発生器や自動ドアを販売しているのと、ウズベクフレンズというインターネットサービスを行っている。春から秋にかけてウズベキスタンで暮らし、冬の間はタイで暮らしている。