習慣が続くか、続かないのかは、最初の行動習慣のつくり方で8割決まるといっても過言ではありません。
「どういう行動を続けるのか」という定義に無理があったり、気がのらないものであれば継続するのが俄然難しくなります。
今日は、「自分をやる気にさせる習慣行動のつくり方」を紹介したいと思います。
習慣行動を『超行動化』で具体化する
勉強、ストレッチ、英語の勉強、片づけ、早起き、禁酒…。これらは具体的にどのような行動をつくるかですべてやる気が変わります。
まず、漠然と「早起きする」「お酒をやめる」「運動する」という曖昧な行動は続けることができません。
たとえば、「英語の勉強をする」という行動目標では不十分すぎるのは明らかです。そこで、私が『超行動化』と呼んでいる5つの変数(「何をする」「いつ・どの場面で」「どこで」「どれくらい」「どのように」)で具体化してみます。
- 何をする:英語のリスニングの練習
- いつ・どの場面で:朝
- どこで:会社近くのカフェ
- どれくらい:30分間
- どのように:TOEIC対策用の参考書に付属したCDを聞く
以上のように当てはめてみました。これでまずは具体化することができます。
そのほか、「片付け」「運動」のテーマでも試してみましょう。
▼片付け
- 何をする:片付け
- いつ・どの場面で:朝
- どこで:自宅
- どれくらい:15分間
- どのように:タイマーをつける
▼運動
- 何をする:ジョギング
- いつ・どの場面で:夜、会社帰り
- どこで:ジム
- どれくらい:30分間
- どのように:ランニングマシーンを使う
このように、曖昧さを排除して具体的にするためには5つの変数を決めてみることです。
こうして具体化した習慣行動は脳が命令として受け取りやすくなり、日常生活の場面でどう習慣化するのか、イメージが明確になります。
5つの行動変数を決めて、やる気を探る

習慣化したい行動(「何をする」)を具体化できたら、行動の変数を変えて、やる気が最大化するところを探っていきましょう。
いつ・どの場面で?
「いつ・どの場面で」という観点であれば、朝にやるのか、夜にやるのかでも全く違います。
朝はまだ集中力があっても夜は残業などでヘトヘトになって集中できない可能性もあります。
「If-Thenプランニング」という有名な方法がありますが、「いつ」というタイミングを決めるたけで300%行動結果が高まったという結果もあるぐらいです。
どこで?
「どこで」やるかについてもあわせて考えるといいでしょう。通勤電車でやるのか、自宅でやるのか、カフェでやるのか、図書館でやるのか。全くやる気が変わるはずです。
どれくらい?
「どれくらい」の変数はさらに重要です。1時間を「最低でも15分」などハードルを下げておくことで、やる気にならないときにでも始動することができます。
どのように?
習慣化の原則は「好きなことは続く、辛いことは続かない」「小さくてもいいのでコンスタントに継続する」です。
次の習慣行動を比較してみてください。
- 「夜1時間、自宅で仕事が終わった後にTOEIC対策の参考書を題材にリスニングの練習をする」
- 「朝15分間、通勤電車でYouTubeを使って好きなTEDの講演を聞き、リスニングの練習をする」
同じ英語の勉強でも、何を題材にやるかで全くやる気が変わるのではないでしょうか?
TOEIC対策の参考書が悪いわけではありませんが、習慣を始めるとき、なるべく楽しくする工夫として、洋画・洋楽・好きな動画など、好きなものを題材にするのはモチベーションを左右します。
確実に習慣化するためには、初動が肝心
不思議なことに、私たちのモチベーションは動き出すとさらに増幅していくので、初動をどう切り出すかが重要になってきます。
どうすれば初めの一歩を踏み出しやすくできるか、「片付け」「早起き」を例に見ていきましょう。
片付け
片付けは、「何をするか」を細かく砕いてみるという方法が1つのカギとなります。
たとえば、習慣化コンサルティングのメンバーの1人が、年末の大掃除を「何をする」に着目して小さい行動に落とし込み、チェックリスト化してくれていました。

このように、年末の大掃除という大きな行動も小さくすることで取り組みやすくなることもあります。
また、「どれくらい」という変数をいじってみると、最も効果的だったのが、5分間の片付け、もしくは15分間の片付けです。
朝に5分間片付けを行なうだけで、気持ちがスッキリしてスタートできるという声も習慣化している人からあがってきます。
私も朝、15分間の片付けを行ないますが、環境が綺麗になる以上に心に充足感を与えている感覚がメリットだと感じています。
早起き
早起きも、小さな一歩から成功体験を積み重ねることは効果的です。
「朝、いつもより15分だけ早く起きる」という目標であれば、まずは1週間ぐらい達成できるのではないでしょうか。
徐々にハードルを上げていくとして、最初に「どれくらい」の変数のハードルを下げておくことで、いきなり「5時に起きる」という無理な計画から離れることができます。
「いつ・どの場面で」の例として、ある事務職の女性は、会社でコピーを取っている間(5分ほどかかる印刷を待つ間)にストレッチをすると決めているそうですが、こういう着眼点は変数をいじってみなければ発想しにくいものです。
このように、5つの変数「何をする」「いつ・どの場面で」「どこで」「どれくらい」「どのように」を変えて、「これならやれる!」「やりたくなる!」という習慣行動に変えてみてください。
古川武士(ふるかわ たけし) 習慣化コンサルタント

約5万人のビジネスパーソンの育成と約1000人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。「続ける習慣」「やめる習慣」など著書は全20冊、計80万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。公式サイト
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Image: 習慣化コンサルティング(画像提供), KieferPix, Sergey Tinyakov/Shutterstock.com
約5万人のビジネスパーソンの育成と約1000人の個人コンサルティングの現場から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、オリジナルの習慣化理論・技術をもとに個人向けコンサルティング、習慣化講座、企業への行動定着支援を行っている。「続ける習慣」「やめる習慣」など著書は全20冊、計80万部を超え、中国・韓国・台湾など海外でも広く翻訳され読まれている。公式サイト /Shutterstock.com