プロギャンブラーのぶきです。これまで15年間、世界82カ国をギャンブルしながら旅してきた経験からずばり言えることは、「運」は引き寄せられないということです。運を引き寄せるとは、運を理解していない人の考えです。ギャンブルとは運のファクターが多くを占めています。ギャンブルをし続けることは、運の波にもまれ続け、運と共生することを意味します。

僕は15年間、カジノで稼いで生活してきました。15年もの間、ギャンブルをし続けることは、運を凌駕して、必勝の域へ達します。その結果、たどりついた答えが「運は引き寄せられない」という結論でした。

ということで今回、プロギャンブラーの僕が15年間で悟った「運についての8つの概念」をご紹介します。

1. 「運」とは流れているもの

「運の波」という言葉が存在する通り、「運」と「波」はリンクします。波打ち際をイメージしてください。波打ち際を総括すると、「寄せては返す」ですよね。でも、寄せる波が続くときもあれば、引く波もありますよね。

そして、運はランダムに生じるものなので、仮に「-10~+10」まで起こり得るものと考えてください。波打ち際でいえば、一番引いたときを-10、一番寄せたときを+10とイメージしてください。今、±0の運だとしたら、次の波は-10~+10のどのレベルで来るかはわかりません。また、運は総計していくと、平均値である±0へ収束していきます。

2. 「運」は誰も読めない

「運」が一番大きいファクターとなるギャンブルといえば、宝くじです。世界で宝くじはギャンブルと認知されています。運を引き寄せられるなら、その引き寄せで宝くじを全部当てまくる人が生じます。僕は世界50カ国で宝くじを見かけましたけど、宝くじで食べているプロは存在しませんでした。世界で誰ひとりとして運は読めないし、運を引き寄せることもできない。それが、15年間の世界周遊とギャンブルを通じ、宝くじから学んだ事実です。

3. 「運は実力のうち」は嘘!

もし、「運も実力のうち」なら、宝くじで大当たりした人は実力者です。実力者なら本来は何度も当てられます。でも、宝くじで大当たりし続ける人は世界のどこにもいません。よって、運と実力は無関係となります。つまり、運は運です。ここをはき違えると「運」頼りの負けグセがついてしまうのです。

4. 過去の「運」と未来の「運」は無関係

「運」は、常にゼロにリセットされます。運は記憶を持ちません。ですから、運が良い人、悪い人なんて存在しません。運が良かった人、悪かった人だけが存在します。過去の運について、語られるだけです。

運が悪いとされる人は、効率的に動く努力を怠っていた結果、悪運を招いている可能性もあります。たとえば、ネガティブな言葉を発する人の周りには、ポジティブな人が離れてしまうため、ポジティブなことが起こりにくくなります。

逆に運が良いとされている人は、実際に実力があるだけです。実力とは原則として努力によって積み上げるモノです。でも、例外として、努力なしでも実力を持っている場合もあります。生まれ持って外見が良かったり、親がすごい人だったり、家がお金持ちだったりと、努力なしで実力を得ている場合がこれにあたります。

5. 「縁起担ぎ」へのこだわりが敗因につながる

縁起を担ぐのも、敗因のひとつです。引き寄せられない運に固執してしまい、心と思考を使ってしまうことが敗因となります。「○○をしたからラッキーなことが起きたのかな?」といった思考回路が敗因なのです。赤いパンツを履き続けて勝てるなら、全人類が赤いパンツを履いています。理論づけできる要因を探すのが、真の勝因なのです。

6. 「運」の量は不公平

「あっ、もったいない。こんなところで運を使っちゃった」とよく言う人がいますが、そんなことはありません。これもみんなが勘違いしている運の側面。運は自分が死なない限り、使い切ることなどありません。運の量は、生まれながらにして不公平で、多い人も少ない人もいます。5歳未満の幼児死亡率は日本だと、333人に1人に対し、アフリカのアンゴラでは6人に1人です。日本に生まれるだけで50倍以上ラッキーだとも言えるのです。自分や自分の周辺だけの小さな視点で見るから、運が悪いのかなと錯覚するだけのことです。世界的な見地からみれば、日本の運が悪い人の過半数は、世界の平均的な運の量以上はあるのではないでしょうか。

7. 勝負の前に「運」を気にするな

運に頼る人は、勝ったときは実力と誇示し、負けた時は運が悪かったせいにします。勝負の前に「言い訳」を用意してしまうと、すでに負けを受け入れる体勢が整ってしまいます。負けグセとなり、勝負する前にすでに負けているようなものです。勝利を貪欲に追う姿勢が、勝利を導くのです。

8. プロとしての「運」

1で述べたように、運には最低~最高までを示す「-10~+10」の幅があります。だからこそ、プロギャンブラーの場合、運が良いとき、悪いときなど、何%で何が起こりそうか、その生じるケースに対し各対策をプラニングしていきます。これをポーカーのプロは「レンジ」と呼びます。特に運が最低なときの改善策を練っておくことで、大損害を回避します。

「扉を開ける前に勝負を決めよ」というのが僕のモットーです。ブラックジャックのプロは、運の波を時間軸と金額幅とでグラフ化して把握し、マネジメントしていきます。最大落ち幅の統計を出して、たとえば「最大軍資金の57.8%まで落ちる」と把握してから勝負に入ります。仮に軍資金100万円が60万になろうが、「運はそろそろ上がる頃だな」と感じるだけで、メンタルや勝負方法はブレません。

絶え間ない努力により、情報収集と判断し続ける経験で、運を凌駕して運を超えていきます。プロは運を気にしません。

いかがでしたでしょうか。以上がプロギャンブラーの僕が15年間で感じ、悟った「運の概念8つ」です。

運を引き寄せる。実はそのスタンスがすでに負けグセなのです。たしかに運はとても重要な要素です。けれども、そもそも読むのが不可能なものを「操れるかもしれない」という洗脳から脱してください。運はコントロールできません。運にとらわれすぎるほど、敗因が大きくなっていきます。運から解き放たれることが、運と共存し、勝ち続けるための勝因です。

【著者プロフィール】994984_748707041823899_1725450472_n-003.jpg

プロギャンブラーのぶき

1971年東京生まれ。旅を愛するプロギャンブラー。25歳のとき、「勝負で勝ちながら、世界を旅する」と決意し、軍資金として1000万円を貯める。以後、ギャンブルをしながら15年間で82カ国を制覇。著書に『勝率9割の選択』『ギャンブルだけで世界6周』がある。12/16、東京・八芳園で、著名人の集まるクリスマスパーティー「超一流の仕事術セミナー&豪華クリスマスパーティー」が開催され、プロギャンブラーのぶきさんが登壇します。残席わずか!

Photo by Shutterstock.