先日、生まれて初めてパニック発作を経験しました。
一番怖かったのは、どうしようもないほど自分が何をすればいいのかわからなかったことです。同じような目に遭ったことがある人は、今回はパニック発作が起こった時の対処法や用例を紹介しますので、今後のために心の準備をしてください。
経験のない人も、身の回りの人にパニック発作が起こった時の参考になると思います。
パニック発作が始まった時、私はかなり混乱しました。
急に心拍数が速くなり、いつもより呼吸も短く浅くなりました。痛みはなかったので、心臓発作だとは思いませんでしたが、どこかがおかしいことはわかりました。
完全にパニック状態で、その瞬間は自分が誰で、ここがどこかもわかりませんでした。自宅の仕事部屋に1人でいたにもかかわらず、子どもみたいに手で目を覆い隠したらすべてが消えてなくなって欲しような感覚に襲われました。
私はそれまでパニック発作になったこともなければ、そのようなことをセラピストと話したこともなかったので、どうすればいいのかまったくわかりませんでした。
幸いなことに、私の"ライフハッカー的"直感で、床からなんとか起き上がってキーボードにたどり着き、対処法をグーグルで検索してみました。
いくつか事例を見つけ、そのお陰で落ち着くことができました。でも、文書化されていない無作為な情報もたくさん見受けられました。そんな経緯があって、同じような状況になった人のために、臨床心理学者のJeffrey DeGroat博士の信頼できる対処法を紹介しようと決めました。
このガイドは、パニック発作の対処法が必要な人には間違いなく役に立つものです。知識というのは力になります。この情報を知っていれば、自分や周囲の人がパニック発作になった時に、適切な対処ができます。
【対処法】パニック発作が起こったらどうする?
今まさにパニック発作が起こっているという時や、将来身の回りの人がそうなった時に準備したい場合、この情報がかならず役に立つはずです。
何も考えずにすぐに落ち着くことはできませんが、自分をコントロールできるように訓練することはできます。
1.呼吸に意識を向ける
パニック発作の最中は、呼吸が短く浅くなります。
落ち着くためには、呼吸を長く深くするために、ゆっくりと呼吸しなければなりません。
DeGroat博士は、4秒間吸って6秒間で吐く、簡単な呼吸の練習をすすめています。パニック発作の症状が治まるまで、このパターンで呼吸を続けてみましょう。
自分がこれまで知っていた別の呼吸法でも、効果があった場合はそれを使ってもいいです。何らかの方法でリラックスしたいのであれば、呼吸の練習を始めるといいです。
パニック発作が起こっている時、私は呼吸が短く浅くなったのが一番怖かったです。呼吸がコントロールできれば、発作が起こっても徐々に治まります。
2.いつかは終わると言い聞かせる
呼吸がゆっくりになってきたら、パニック発作はすぐに終わるものだと自分に言い聞かせましょう。
ほとんどのパニック発作は数分しか続きません。永遠に続くものではないと気づくことで、トンネルの先に明かりが見えてきます。
しかし、自分がどういう気分か、なぜそのような気分なのかを考え過ぎてはいけません。DeGroat博士はこのように言っています。
自分が不安や恐怖を感じていることを意識するのは、火に油を注ぐようなものなのでやめましょう。
「意識がなくなりそう」「心臓発作になるかも」「恥ずかしい」というようなことを考えていると、不安やパニック症状がさらにひどくなるだけです。
リラックスする方法を試したり、パニックのきっかけになったものを取り除いたりすれば、すぐに発作は終わると信じましょう。
私がパニック発作になった時にこのことを知っていたら、もう少し速く症状が治まっていたのではないかと思います。
3.自分の気を紛らわす
冷静さを少し取り戻し始めたら、パニック発作が終わるまで自分の気を紛らわせるのが有効です。私の場合は、答えを探すという行為だけでもかなり助けになりました。
人間の頭は簡単に気が紛れるものなので、パニック発作の時はそれが役に立ちます。自分の気を紛らわす方法が思いつかない場合、DeGroat博士は目の前にある物を定義したり、その場所でそれが最終的にどうなるかという物語をつくって妄想することを勧めています。
「それはどのようにして作られたのか?」「どこでつくられたのか?」「前の所有者は誰か?」というようなことを考えるのです。物語を細かなところまで作りこめば作り込むほどいいです。
周りに人がいる場合は、躊躇せずにその人に話しかけ、会話をすることで自分の気を紛らわしましょう。自分がその人にどんなことをするか(妙なことをしないか)心配であれば、その人に状況を説明します。
パニック発作を起こしていることが、必要以上に恥ずかしいと思うこともあるかもしれませんが、人に知ってもらうことで恥ずかしさを打ち消しましょう。おそらく周囲の人は、喜んであなたの気を紛らわすのに協力してくれるはずです。
4.逃げ場を確認する
何をしてもダメな場合は、その場から完全に離れましょう。
パニック発作が始まったと思ったら、コントロールできないほどパニック症状がひどくなった時に使えそうな『逃げ場』を確認しておきましょう。
頻繁に起こる場合は、パニック発作になりそうな場所に行ったり、そういう物がある時は常に、出口や逃げ場となりそうな場所を確認するようにしましょう。
これは最後の頼みの綱なので、まずは呼吸や気を紛らわすテクニックを試しましょう。必要であればいつでも逃げられる、というプランを持っていることが大事です。
そのような知識があるだけで、パニック発作を切り抜けることができます。
パニック発作が起こった時に運転中だった場合は、路肩など安全な場所に車を停めることが、その状況での逃げ場になります。パニック発作が始まったと思ったら、できるだけすぐに路肩に停車し、呼吸法や気を紛らわすテクニックを試します。
症状が治まるまでは運転を再開してはいけません。誰かと一緒にドライブしている場合は、運転を代わってもらいましょう。
周囲の人がパニック発作になったらどうするか?
一緒にいる人がパニック発作になったり、パニック発作を起こしやすい人だと知っている場合は、以下の対処法を知っていると落ち着かせるのに役立ちます。
しかし、いきなり相手に助け舟を出す前に、自分が勘違いしてないか確かめましょう。相手がパニック発作を起こしてるかもしれないと思っても、決めつけるのは性急です。
「パニック発作を起こしているのでは?」と率直に聞くことで、問題が悪化することもあります。
パニック発作というのは恐怖なので、発作が起こっている人は、あなたに助けを求めることすらできないかもしれません。つまり、相手があなたと一緒にいて安心していられるように、できるだけ冷静でいなければなりません。
まずは「気分はどう?」と尋ねることから始めます。相手が体のひどい不調や痛みを訴えたら、治療が受けられるところを探した方がいいでしょう。
パニック発作と心臓発作の違い
難しいことに、パニック発作と心臓発作には同じ症状がいくつかあり、端から見ているだけで正しく判断するのは難しいです。
どちらも胸の痛みや、チクチクするような感じがあり、たいてい身のすくむような恐怖を感じています。David Katerndahl博士は、相手が話すことができれば、パニック発作か心臓発作かを確認する方法がいくつかあると言っています。
パニック発作と心臓発作の違い
心臓発作の場合は、胸部に強烈な圧迫感をともなう、うずくような痛みが続きます。その後、痛みが腹部や左腕に広がります。
パニック発作の場合は、刺すような痛みがあってすぐに消えます。痛みがあると言う場合は、どのような痛みかを聞きましょう。
心臓発作は、通常身体的な負荷がかかったことで起こりますが、パニック発作は(安静時でも)いつでも起こる可能性があります。
発作が始まった時に、何をしていたかを聞きましょう。
相手がパニック発作とわかったらしたいこと
治療が受けられる場所があるかどうかわからない場合は、常に安全な場所にいることを優先しましょう。
しかし、相手があまりにもストレスや不安が強すぎて、どんな感じかを説明できない場合や、パニック発作だとわかっている(以前もなったことがある)場合は、先ほど自分がなった時と同じようなやり方が役に立ちます。
- 呼吸をさせる:呼吸を教え、穏やかな声で数を数えてあげる。
- すぐに治まると言う:相手に共感しながら、すぐに治まると言い聞かせる。
- 気を紛らわす:今起こっていることを忘れるような、何か面白い話をする。
- 一緒にその場を離れる:逃げ場を与えるために、環境を変え、一緒にどこかに行こうと言う。
- 運転を代わる:相手が車の運転中だった場合は、運転を代わるよう申し出る。相手は落ち着くだけの時間ができる。
何度も言いますが、どんな感じがするかとか、不安になった潜在的な原因は何かというような話はしてはいけません。
相手の状況に共感し、すぐに治まるということに意識を向けるようにしましょう。
次にパニック発作が起こった時のために準備をする
パニック発作は一般的なものではありませんが、だからといって吹き飛ばせるようなものではありません。
パニック発作が起こるのは、身体的、精神的な健康に関連しているかもしれない、あらゆる原因が考えられるので、助けてくれる人を見つけましょう。
私のように、たとえ初めて起こった時に1人でいたとしても、DeGroat博士が勧めるように誰かに助けを求めましょう。
生まれて初めてパニック発作が起きたら、あなたの症状を引き起こした医学的条件が何かを判断できるような医師(もしくは治療者)に会うことをおすすめします。
不安な状態が続いたり、何度もパニック発作が起こったりしたら、専門的なサポートを求めてください。心理療法と投薬治療は、どちらも不安をコントロールすることに効果があると証明された治療法です。
とりあえず、自分の身にもパニック発作が起こるかもしれないと考えて、損することはありません。パニック発作が起きた時のために、このガイドや対処法をしっかりと覚えておきましょう。
パニック発作が起きたら、身の回りの人に話し、常に逃げ場となりそうな場所を確保しておきましょう。実際には、このように準備や心構えをすることで、一般的にはパニック発作が起こる可能性や強度(もしくはどちらも)が下がると言われています。
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Image: Shutterstock
Patrick Allan(原文)