夫婦喧嘩ってほんとに些細なことからはじまることが多いんですよね。
ちょっとイライラしているときに言われてカチンときた一言。何度もお願いしていることをやってくれなかったとき。2人で決めたルールや約束が守られなかったとき。
「喧嘩するほど仲がいい」なんてよく言われたりもしますが、お互い引っ込みがつかなかったり、感情的に相手を攻撃してしまい、最悪の場合それがきっかけで離婚にまで至るケースも。
できれば喧嘩なんてせずに、夫婦いつまでも仲良しな関係でいたいと思う人がほとんどではないでしょうか。
「Science Daily」に夫婦関係を長く継続できている夫婦と、離婚に至ってしまう夫婦の違いについて面白い研究結果が掲載されていました。
両者の違いはずばり、“普段どのような話し合いの仕方をしているか”という点にあるというのです。
「問題の解決」を前提にした話し合いをする
テネシー大学で、子どもや家族関係を専門とするRauer氏がある研究を行ないました。
それは、自らを良い関係性を築けていると回答した夫婦を対象に、2人の間で最も深刻な問題だと認識していることと、最も深刻でない問題だと認識していることをそれぞれランクづけしてもらうものでした。
すると被験者は、余暇の過ごし方・家事・コミュニケーションのとり方・お金、また年齢の高い夫婦は健康がそれぞれ深刻な問題であると回答し、宗教問題や家族問題を深刻でないと回答しました。
研究者チームが被験者の夫婦間の問題についての話し合いを観察したところ、全てのカップルは、家事の分担や余暇の過ごし方など、明確な解決策が見出しやすい、問題の解決を前提とした上での話し合いのテーマを選択していたというのです。
信頼関係を築くための話し合いのステップ
この研究結果についてRauer氏は以下のように述べています。
人生を通じて長く付き合い続けていかなければならない、解決の難しい問題ばかりにフォーカスしてしまうと、結果的にパートナーの自信を喪失させてしまう恐れがあります。
「Science Daily」より翻訳引用
たしかに、なかなか解決策が見出しづらい問題についてばかり話し合ってしまうと、解決の糸口が見当たらないイライラから、感情的に不満や愚痴をぶちまけるだけで相手を傷つけて終わってしまうのかも。
毎回そんな話し合いだと、相手の言っていることを素直に聞き入れるのも難しくなりますよね。
結果、2人の間の信頼関係がどんどん薄れてしまい、ほかの些細な問題でさえもスムーズに解決することが難しくなるでしょう。まるで負のループです。
Rauer氏は、かといって、2人にとって重要なトピックにおける話し合いを避けるべき、というわけではないと強調しています。
まずは解決策を見出しやすい問題について話し合い、2人で一緒に問題を解決し、壁を乗り越えるという経験を積むことが大切だとのこと。
そうした経験をすることで、より大きな問題に立ち向かうための自信がつくということです。
自分でコントロールできることに目を向けよう

これは、私が普段意識していることと少し考え方が似ているなと感じました。
それはコントロールできないことではなく、コントロールできることに着目する、ということです。
たとえば、人間関係で悩んだりする場合「他人よりも自分を変えたほうが早い」なんてアドバイスがあったりしますよね。
これは、他人は自分でコントロールする(変える)ことができないからなのです。
嫌なことを言ってくる人に対して、「なんでこんなことを言うんだろう?」とイライラしたところで、相手を変えられるわけではありません。(もちろん相手が変わってくれる場合もあるかもしれませんが)
「なんで私が変わらなきゃいけないの?」と思う人もいるかもしれませんが、変わらないものに対してずっとイライラしているよりマシだと思いませんか?
この考えを持つようになってから、私は色んなことについて悩んだり、落ち込んだり、イライラすることがほぼなくなりました。
夫婦間の話し合いでも、なかなか自分(達)の力ではどうしようもないこと、変えることが難しい・変えられないことに囚われないようにしています。
時間が解決してくれることもありますから、自分のなかでうまく折り合いをつけたり、受け流すことでコントロールできると良いのかもしれません。
話し合い中にやってはいけないNG行動
また、夫婦関係や結婚生活に関する研究で知られるアメリカの心理学者・ゴットマン氏は、The Gottman Instituteで「良い関係を続けられる夫婦と離婚に至る夫婦は、会話が始まってからおよそ3分で見分けがつく」と述べています。
まず、会話の出だしが具体的な内容ではなく、人格や性格を批判するような言い方から会話をはじめること。
たとえば、「昨日頼んでたゴミ出しやってくれてなかったね」と伝えるべきところを、「あなたはいつも怠けてばかりで家のことなんてなんにもやってくれてない」と伝えてしまうようなケース。
一言目がこんな出だしだと、すでに黄色信号が点滅している状態だそう。
また、会話の最中に、アイコンタクトや頷きなどのポジティブな感情表現ではなく、ネガティブな感情表現ばかりをとってしまうこと。これもさらに喧嘩を炎上させる火種になるそうです。
この研究で6年に渡って被験者の夫婦の会話や関係性を観察してきたゴットマン氏はこう述べています。
何か問題があるときにそのカップルがどのようにして話し合いをスタートさせるかー。
どのように問題を相手に提示し、それに対してパートナーがどのように反応するのかが最も重要なのです。
「The Gottman Institute」より引用翻訳
これは、夫婦関係以外にも、ほかの人と何かネガティブな内容について話し合いをする際に役立ちそうですね。
「最初で全て決まる」とは言いすぎかもしれませんが、出だしが肝心であるということは間違いなさそうです。
日頃から喧嘩をせずに言いたいことを我慢してしまうのはよくありませんが、避けられる衝突は避けたいもの。
話し合う内容の順番や、会話の出だしを少し工夫することで、上手く言い争いの場をコントロールできるようになりましょう。
あわせて読みたい
Image: Antonio Guillem, BOKEH STOCK/Shutterstock.com
Source: Science Daily, The Gottman Institute