私が初めて1人で飛行機に乗ったのは10才の時でした。不安でいっぱいで、隣の席の人とも目を合わせないようにして、地上のクルーが忙しそうに行き来するのを窓から眺めていました。そうしているうちに機体は離陸し、二重窓の外の景色はすっかり変わっていきました。

高度が上がるにつれ、はっきりと見えていたはずの道路や屋根がどんどん小さくなり、次第に緑色の広がりや青や褐色の河川、水平線に沿って見えるまばゆいオレンジの線に変わっていきました。

地上にいたと思ったら、次の瞬間には地球から離れて空高く舞い上がっていました。と同時に、見える景色、さらにそこから想像できるものがぐんと広がったのでした。

大人になるにつれ、雑念や忙しさ、ものの考え方が邪魔をして多少色褪せてきたとは言え、フライトに乗るたびにいつもこの感動を味わいます。

突然やってくるこの視点の転換は、絶好のチャンスなのです。

こうした視点の転換や俯瞰(ふかん)は、単なる物理的な体験には留まりません。転職や昇進、引っ越し、車や旅行、家電などの大きな買い物をする時、従業員を雇用・解雇する時など、多種多様な大きな決断をする時に役立ってくれます

現場に立って日々の生活に追われていると、本当に心から望んでいるものやそこへ行きつくための手段を明確に打ち出すのはなかなか難しいものです。

選択肢やそれらのメリットデメリットを巡って何カ月も(時には何年も)悩んでしまうこともあります。分析麻痺と呼ばれるこの概念は、よく使われる言葉でありながらあまり理解されていないようです。

優柔不断さは隠れたい気持ちの顕れ

決断を先延ばしにするのは、決断後に感じるかもしれない落胆や後悔、怒りやフラストレーションの感情から逃れたいがためで、できれば避けたいと思うのが人情です。

私自身、職場で次の昇進へ向けて動くか決めかねて立ち止まってしまったことがあります。

自身の野心とワーク・ライフ・バランスを天秤にかけて何カ月も逡巡していたところ、ある日迷う必要もなくなってしまいました。目当てのポストは、私より先に動くことのできた別の人間に決まってしまったのです。

迷っているあいだにも世界は回っていく

そう、これがリスクなのです。状況が刻々と変化していくなかで、自分が本当に望んでいることがわからずに決めかねているうちに、だんだんと選択肢が狭まり、やがて選択する機会すらなくなってしまうのです。

でも、機会はきっとまた訪れます。その時こそは、ぜひ別のやり方でアプローチしてみましょう。

「10・10・10の方法」で視点を変えよう

冒頭のフライトの場合と同様、視点を変えることで何が一番大事なのか見えることがあります。スージー・ウェルチ(Suzy Welch)氏の考案した「10・10・10の方法」はシンプルでありながら効果的なので試してみてください。

すなわち、いま決断しようとしていることを10分後や10カ月後、さらには10年後にどう感じるか想像してみるのです。

「Thinking In Bets」の著者、アニー・デューク(Annie Duke)氏によると、この決断を過去にしていたらと想像することでさらに鋭い洞察力を発揮することもできるそうです。

前述の昇進の例に当てはめると、昇進に向けて動くことを10分前に決断していたら、今頃不安をおぼえながらも新しい仕事のことを考えてワクワクしていたことでしょう。

10カ月前に決断していたら、今頃は目一杯働いて疲労困憊、フラストレーションをためながらも進歩が見えてきて、自分自身もキャリア的にも成長の真っ只中にいたことでしょう。

10年前に決断していたら、今頃まったく異なる状況にいて、自分の人生もキャリアのポストも、そしてそれによって広がっている選択肢も想像もつかないものになっていたでしょう。

最重要事項を見極めて前進しよう

大きな決断に直面したら何が何でも前進を、と促しているわけではありません。そうではなく、空間と時間の視点を変えることで一番大事なことは何かを突き止めるチャンスだということです。

このテクニックを使うことで、自分にとって一番ワクワクしてやる気が出るのはどんなことか、本当になりたい自分に近づくには何をすればいいのかを自身に問いかけるのです。

高度3万フィートの高さから窓の外を眺めると、今現在直面していることよりも私たちの人生のほうがはるかに大きく長いことに思い至ることでしょう。

顔を上げて視線を遠くに移すとかたちや河川、水平線が見えてくるように、ものごとの全体像が浮き彫りになり、次の1歩を確信できるかもしれません。

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