新しい人と会う時は、できるだけいい印象を持ってもらいたいと願うもの。
でも、自分の魅力がわからないというあなたのために、初対面の人を惹きつけるコツをお伝えしましょう。
「惹きつける」と「操る」は違う
まず、「惹きつける」と「操る」は同義ではありません。相手をだまして好きにさせるのではなく、自分の持つ魅力を最大限に発揮して、相手に認めてもらうのです。
もっと詳しく言うなら、「操る」とは、相手の心理的な弱みを見つけ、そこにつけ込む行為です。嘘を言ったり、あえて誤解を招いたりといった、自分のやり方を押し通す方法なのです。
多少の効果は発揮するかもしれませんが、きわめてネガティブな行為であり、長期的に良好な関係が築けるとは思えません。
いっぽう、「惹きつける」は、良好な関係を築くのに適した行為です。
自分をよく見せるために、相手をだますようなことはしません。ただ自分の強みを強調しながら、社交術というツールを使って、効果を最大にするのです。
この方法は、新しい仕事を始める時・初対面の人と話す時・初めてのデートなど、さまざまなシーンで活用できます。
相手を惹きつけることにより、自分をよく見せると同時に、健全な人間関係を構築できます。
いっぽう、他人を操ると、短期的には欲しい結果が手に入るかもしれませんが、あとでツケが回ってくるでしょう。
「自分には人を惹きつけるなんて無理」と思ったあなた。それは違います。
やるべきことを知って、きちんと練習をすれば、誰でも人を惹きつけることができるのです。
1. 状況を把握する
会話の輪に飛び込む前に、自分が何をすべきかを考えましょう。
「話している人たちのボディランゲージを読む」「知っている人がいないか確認する」「その輪に入ろうとしている理由を自分で再確認する」など、事前にすべきことはたくさんあります。
飛行機の着陸のように、角度と速度を正しくとる必要があるのです。自分に着陸許可を出すための条件を、あらかじめ決めておきましょう。
まず、その人たちは誰なのか? わからなければ、しばし偵察をしても構いません。
人脈づくりがうまい人は、イベントに誰が来るのかを事前にリサーチしています。名前を覚えたり、相手の仕事を知っておくことで、適切な質問を挟むことができ、会話がうまく運ぶでしょう。
プールに飛び込むには、先に深さを知っておいた方がいいのです。
次に、彼らのボディランゲージを読みます。
会話に割って入ったり、1人でいたい人を邪魔するのは好ましくありません。会話にあまり興味がない人を見つけるのは、さほど難しくないでしょう。
誰かと話しているところに加わるなら、足の向きを見れば歓迎されるかどうかがわかります。
また、1人で座って電話をいじっていたり、ヘッドホンをしていたり、明らかにつまらなそうな人には、話しかけない方が無難かもしれません。
最後に、なぜその輪に自分が入ろうとしているのかを考えてください。難しいことではありませんが、滑走路に近づく角度を修正するうえで、非常に重要な確認です。
仕事のチャンスのため? 気の合う仲間を見つけるため? なんとなく惹かれるから?
できるだけ具体的な目標を定めることで、話題を事前に用意しておけるので、あの気まずい沈黙は避けられるでしょう。
先ほどのたとえを流用するなら、目的をはっきりさせてから、プールに飛び込むのです。
2. 自信に満ちた笑顔で

輪に近づく時は、彼らの視線があなたに注がれる可能性が高まります。
ちょっと考えてみてください。あなたに近づいてくる人には、どのような表情でいてほしいですか? 自信に満ちた笑顔? それとも、緊張した無表情な顔?
笑顔は、相手にとって自分が脅威ではないことと、この場を楽しんでいることを示せるので、とても重要です。人は、楽しそうな人のそばに集まるのです。
自信のある人も同じで、人を惹きつけます。笑顔は、今の状況に対する自信を証明するものでもあるのです。
でも、笑い方を間違っては逆効果。あやしい笑顔は禁物です。できるだけフレンドリーな、心からの笑顔を見せてください。
心からの笑顔がわからなければ、「デュシェンヌ・スマイル」を試してください。頬を上げ、目を軽く細めるだけで、本物の笑顔に見えるようになります。
本物の笑顔を習得したら、できるだけたくさん笑うようにしましょう。会話が終わったあと、「あのニコニコ笑ってたやつ、近寄りたくないよな」と思う人はあまりいないはずです。
3. 自己紹介は礼儀正しく、質問とともに
挨拶の準備が整ったら、非常に礼儀正しく会話を始めましょう。
相手を知るには、質問をすること。それは同時に、あなたの魅力にもなります。自分のことを話し、他人の話にも耳を傾ける人は、人を惹きつけます。
だから、遠回りをせずに、最初から相手のことをどんどん聞いてしまいましょう。たとえば、こんな風に。
- あなた:こんにちは! 私は○○です。
- 相手:どうも、ジョーと言います。
- あなた:初めましてジョーさん。今日はどうしてここに来てるんですか?
あまりにも個人的なことでなければ、何を質問しても構いません。
「どんな仕事をしてるんですか?」「何を飲んでますか?」「この場所、どう思いますか?」「どこから来たんですか?」など、できるだけ広くて、答えやすい話題を選んでください。
もっと立ち入った話は、あとに取っておきましょう。そうすることで、やりすぎることなく、好印象を与えることができるのです。
4. 相手の名前はすぐに覚える
名前を忘れてしまっては、相手を惹きつけることができません。
「あのー」とか「あなた」ではなく、名前をすぐに覚えて、頻繁に呼びましょう。そのためのコツは、いくつかあります。
- 視覚と関連づける:名前を抽象的なイメージに変換して、相手の顔の特徴と結びつけます。
- 会話の間、何度も繰り返す:声に出すほど、記憶に残ります。
- 相手の名前で会話を終わらせる:会話の最初と同様、最後にも相手の名前を言うことで、覚えやすくなります。
名前を覚えるのは難しいので、練習が必要です。
でも、会ったばかりの人にあなたの名前を覚えてもらえたら、嬉しくないですか? それぐらい、名前を覚えることは重要なのです。
オプション:相手を別の誰かに紹介する
マストではありませんが、相手を別の誰かに紹介することで、名前を覚えると同時に、好印象を与えることができます。
その際、会ったばかりの人でも友達として紹介すると、非常に効果的です。たとえば、先ほどのジョーと話しているなら、こんな風に。
- あなた:やあ、サリー。こちらは新しい友達のジョー。前にお会いしたことある?
ジョーと親友でないことは明らかですが、「友達」という言葉を使うことで、ぐっと親近感が高まります。
また、ジョーの存在のおかげで、同時にサリーを惹きつけることもできるでしょう。
5. 相手の関心事と「ラッチワード」を知る

話し始めたら、共通の関心事を探しましょう。どんな2人でも、たいてい1つぐらいは共通の話題があるものです。
その際、「ラッチ(かんぬき)ワード」を見つけるようにしてください。ラッチワードとは、あなた自身も興味がある言葉であって、会話を弾ませることができるもの。
あなたが旅行好きなら、相手がバケーションについて話し始めた時、その「バケーション」という言葉を使って、話を深めていくのです。
すでに会話が弾んでいる場合、そこに割って入るのではなく、耳を傾けながら、ラッチワードを頭にしまっておきましょう。
頭の中で、トピックスの箇条書きリストを作るのです。それさえあれば、気まずい沈黙を心配する必要はありません。
6. あなたが相手を「理解している」と思わせる
自分のことを理解してもらえたら、そんなに嬉しいことはありません。誰もが、他人から認めてもらいたいのです。
ですから、相手の経験にできるだけ共感を示しましょう。
「Dr. Nerdlove」によれば、心のつながりを築くためのカギは、共通点を見出すこと。
魅力的な人は、出会って30分しかたっていなくても、「初めて会った気がしない」と感じさせる何かがあります。
他人にはなかなか感じることのない、親しみやすさを感じさせてくれるのです。
それがあまりにも自然なので、出会ったばかりということを忘れてしまいます。
できるだけ早く共通点を見出して、親しみやすさをかもし出しましょう。
人を惹きつけるためには、相手のトレーディングカードの裏に書いてある「スタッツ」(スポーツ選手の打率などの成績をまとめた統計情報)を知ることが必要なのです。
そのためにも、質問をしてください。
特定の何かに対する考えを聞いたり、人生で何を大切にしているかを聞いたり。必要に応じて、声のトーンを変えるといいでしょう。
自分のことも、できるだけオープンにしましょう。普段はベールに隠していることでも、さらけ出すのです。その際、謙虚な気持ちを忘れずに。また、自分の信念を曲げない範囲で、感じをよくする努力を怠らないでください。
7. マナーを守り、自己中心的にならず、親切であれ
話しかける時は、マナーを忘れずに。最近では、礼儀正しいだけで、かなりのポイントアップになるようです。
自分だけが話すのではなく、積極的に相手の話を聴き、相手が話している間は割って入らないこと。
心の声をオフにして、次に何を言おうか考えるのを止めること。とにかく耳を傾け、聞くこと集中してください。
質問をされたら、もちろん答えても構いませんが、そのまま自分の話にしてしまわないように。
礼儀正しく、かつ正直に質問に答え、余計な情報を付け足さないことです。自分について話す時は、謙虚な気持ちで、事実を誇張しないように気をつけましょう。
質問に答えたら、別の質問で返すのも1つの方法です。テニスのように、会話というボールを交互に打ち合うのです。
会話が進むにつれて、どんどん深い質問をしてもいいでしょう。
でも、押しつけがましくならないように。「聞いてもいいなら」「答えたくなかったらいいんだけど」のように、質問は常にオープンにして、相手が安心できるようにしておきましょう。
相手の話題がなんであれ、常に優しさを忘れないでください。第三者の話をするのは楽ですが、ゴシップは好ましくありません。
たとえ相手がゴシップを始めても、できるだけ会話をポジティブに保ってください。
相手をほめる言葉を見つけて会話をずらすのもいいでしょう。節度を守れば相手のお世辞を言うこともあなたの魅力になります。
服装のセンスや知識の高さ、ユーモアのセンスなど、相手が自分でコントロールできることをほめるといいでしょう。
そうすれば、相手は自分の努力が報われたと思うことができます。
生まれつきのもの、たとえば容姿や笑い方をほめるのは、状況によってはOKですが、できるだけ避けた方が無難です。
8. ユーモアをはき違えない

人を惹きつけるうえで、ユーモアは大きな役割を果たします。でも、ユーモアの使い方を間違えないようにしましょう。
ジョークを言うのは構いませんが、できるだけ広く受け入れられるものにすることです。不適切なジョークほど、場を白けさせるものはありません。
特に、初対面ならなおさらです。安全なユーモアを見つける方法について、「The Shrubbery」のJessica Brandtさんが、こんなことを書いています。
できるだけウィットに富んだジョークを選びましょう。そのためには、努力が必要です。
ジョークを言い続ければ、すぐにうっとうしいと思われるでしょう。ドライすぎれば、恐怖感を与えてしまうでしょう。
機知に富んだ端的なコメントを会話に挟むことで、雰囲気を和らげ、長期的に相手を惹きつけることができるのです。
ウィットに富んだジョークを言うことで、ユーモアを押しつけることなく、知性を示すことができます。あなた自身の話や、勘違いのジョークは不要です。
9. 軽快かつスイートに。締めはユニークに
会話の快適さを保ちながら、ある程度のペースは維持しましょう。
流れを止めないようにしつつ、気まずい沈黙に陥らないようにするには、「手短かつスイートに」ではなく「軽快かつスイートに」することが必要です。
ペースが落ちてきたら、そろそろ会話を終えるタイミングかもしれません。
会話を終えてその場を去る時は、相手に忘れられないような工夫が必要です。どんなに魅力的な会話をしても、それを覚えておいてもらえなければ意味がないのです。
会話を交わした人全員が魅力的だったら、誰一人として思い出せないこともあるかもしれません。
ですから、会話で好印象を与えたあとは、より深く相手の印象に残るようにユニークなことを言ってその場を去りましょう。
「お話しできてよかったです」のような社交辞令もいいのですが、さっきまで話していた内容にちなんだジョークで終わらせたり、握手をしながら楽しかったという気持ちを伝えたりするのも有効です。
あまりにも突拍子もないことでなければ、ユニークであるのはプラスになります。
10. 自分を見失わず、拒絶されてもめげない
人を惹きつけるために、自分を変える必要はありません。あなたはあなたなのであって、いちばん魅力的な自分を見せればいいのです。
ですから、自分の人となりをさらけ出すことを恐れないで。相手の好きなところを見つけたら、それを伝えてください。
嫌いなところがあったら、賛同できないと優しく伝えてください。でも、本当に嫌なことは、内に秘めておいた方がいいかもしれません。
以上、いろいろな方法を紹介しましたが、どれもうまく行くという保証はありません。
魅力があるからといって、世界中の誰とでも仲良くなれるわけではないのです。楽しい会話をすることで、健全な人間関係につながることもあれば、そうならないこともあります。
あなた自身が相手への関心を持てないこともあれば、性格が合わないこともあるでしょう。どんな結果になっても、少なくともあなたのポジティブな印象は変わりません。
友達になったり、仕事をくれたり、デートをしてくれることはないかもしれませんが、振り返った時にあなたのことを悪く思うことはないでしょう。
そんな彼らが、後々あなたにピッタリの人を連れて来ることだってあるかもしれません。
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Image: Voyagerix, Josep Suria, Dean Drobot, Monkey Business Images/Shutterstock
Source: Psychology Today, Dr. Nerdlove, The Shrubbery,
Patrick Allan - Lifehacekr US[原文]