あなたは、誰にもできない(やりたがらない)仕事をたくさん任されている、職場の「頼れる人」なのかもしれません。
そうであるならば、日々、自分が必要不可欠な人間であると感じられていることでしょう。
その一方で、長期休暇がまったくとれない、なんて事態になっているのでは?
今回は、このジレンマから抜け出す方法、あるいは、そもそもそうした状況に陥らないためにどうすればいいかをお話します。
読者からのお便り
誰もやりたがらない(あるいはできない)厄介な仕事をぜんぶ任される「頼りになる人」をやめるにはどうすればいいでしょうか?
私は数年前に、いま働いている非営利団体に、管理アシスタントとして雇われました。
その後、何度かのレイオフやスタッフの退職、組織の再編成などを経るうちに、たくさんの役割を任せられるようになりました。
オフィスマネージャー、技術サポート、人事部、ウェブマスター、 施設管理、イベントマネージャー、外部賃貸人との交渉窓口など、実にさまざまな業務をこなしています。
職務記述書が書き換えられるたびに、増えた役割の分だけ責任も増えます。
そして、8カ月間にわたって何度も話し合い、交渉した結果、ようやく、公正な賃金をもらえるようになり、アシスタントを雇うことが許されたという経緯があります。
それでも、「君ならできる!」が、この組織のモットーであることに変わりはありません。
もちろん、必要とされるのは悪いことではありません。
必要不可欠な人間であるということは、それだけ雇用の安全が守られているということでもあるからです。
しかしその反面、私はもう2年以上、長期休暇をとれていません。
私にしかできない仕事があり、その業務は毎週欠かさずこなさなければならないものだからです。
最近、燃え尽き症候群になりかけた私は、職務記述書の範囲を超えた仕事は、丁寧に断るようにしていました。
その結果、軽いノイローゼになってしまいました。
共同マネージャ兼スーパーバイザーから、仕事に対する姿勢が悪い、病気休暇を取りすぎている(有給休暇の範囲で休んでるだけなのですが)と責められています。
いまでは転職を視野にいれて、私がいなくなっても職場がパニックにならないように、アシスタントに少しずつ自分の仕事の基本的な部分を教えているところです。
そして、新しい仕事を任されそうになっても、それが自分じゃなくてもできる仕事なら、「ノー」と言うようにしています。
でもその一方で、「必要不可欠な人間」でなくなるのが怖いという気持ちもあります。
こうした状況のなかでどうバランスをとればいいでしょうか?
どうすれば事態を改善できるでしょうか?
また、こうした状況のとき、上司側にはどんなアドバイスをするのかも聞いてみたいです。
私のケースのように問題が大きくなる前に事態を改善するには、管理職の立場にある人はどうすべきなのでしょうか。
最後に、管理職へのアドバイスを求めているのは興味深いところですが、あなたは、あなたと上司との間にどんなやりとりがあったのか、ほとんど語っていません。
あなたは、苦労して交渉したこと、自分が限界に達したこと、「共同マネージャ」から非難されていることしか話していません。
重要なのは、こうしたドラマチックな状況のなかで、どのようなコミュニケーションがなされたか、あるいはなされなかったか、なのです。
おそらく、職場の「必要不可欠な」スーパーヒーローでいたいという気持ちと、他の人たちと同じように長期休暇をとりたいという気持ちがせめぎ合うことで、あなたのなかで問題がさらに複雑になってしまっているのでしょう。
形はさまざまですが、この種の問題は一般的によく見られるものです。
以下に解決方法(または、そもそも問題を避ける方法)を示したいと思います。
あなたはスーパーヒーローではない
まず第一に、必要不可欠な人間などまずいないと覚えておいてください。
また、そんな風に自分のことを考えるのもよくありません。
そうした考えは、病的な自信過剰をもたらすか、あなたのケースのように搾取の温床となるだけです。
あなたの同僚たちはおそらく、あなたを利用しているという自覚はないでしょう。
仕事ができて、かつ断らずにやってくれそうな人がいたら、「君ならできる!」と言って丸投げしたくなるのが人間の性(さが)です。
私だって、あなたがやってくれると言うなら、喜んでこのコラムの執筆を任せて、苦しみから解放されたいですから。
しかし真実はこうです。
もしあなたが突然、宇宙人にさらわれたとしても、あなたの組織が回らなくなることはありません。
もし、明日ドリュー・ブリーズが引退したとしても、ニューオーリンズ・セインツが解散することがないのと同じです。
成績が振るわなくなるでしょうが、でもそれだけです。それでも世界は回っていくというわけです。
あなたが目指すべきなのは、必要不可欠な人間だと言われることではなく、そばにいると助かる、ポジティブな人だという評価をもらうことです。
そう考えるほうが、心が自由になり、勇気も湧き、本当に役に立つスキルである「誰かに任せる」ことを身に付けられるようにもなります。
積極的にコミュニケーションをとる

世の中には、部下のジレンマを見抜き、問題を鮮やかに解決してくれる優秀で懐の深いマネージャもいるでしょうが、いつも当たりを引けるとは限らないのもまぎれもない真実です。
あなたが抱えている問題を、あなたより理解している人はどこにもいません。
ですので、不満が溜まりに溜まって、上司に怒りをぶつけてしまう前に行動を起こすようにしてください。積極的に動いてください。
そして、上司に相談を持ちかけるときは、ダラダラと文句を言うかわりに、解決策を示すようにします。
「私が業務X、Y、Zを抱えてしまっているところがボトルネックになっていると思います。しかし、私としても作業量が限界にきています。この問題は、私の代わりにXを任せられる人を見つけてトレーニングすることで解決できると思います。それが組織全体の効率アップにもつながるはずです。」
当然ながら、上司やほかの人の考えにも耳を貸してください。むしろ、積極的に求めてください。
おそらく、「あなたにしかできない」仕事は、あなたが着任する前は、ほかの誰かがやっていたはずです。
その人はいまどこにいますか? 連絡をとり、助言を仰ぐことはできませんか?
少なくとも、あなたが来る前は、X、Y、Zの業務をどうやって回していたのか上司に尋ねてみてはどうでしょう。
もちろん、できることとできないことがあるでしょう。
いずれにせよ重要なのは、上司と積極的にコミュニケーションをとり、あなたが限界に達してしまう前に、問題について話し合うことです。
どっしりと構えて休暇をとろう

もちろん、休暇をあきらめる必要はありません。
むしろ、長期休暇がとれないという、この非常に不公平な問題を利用して、コミュニケーションのチャネルを開くことができます。
いくら憤りを感じていても、怒りをぶつける場にしてはいけません。
あくまで現実的な問題を話し合う機会にしてください。
「秋に2週間の休暇をとりたいんですが、私が休んでいる間も、業務がきちんと回るようにしておきたいと思っています。そのために力を貸していただけませんか?」
態度はへりくだっていますが、事実として提示している点に注目してください。
あなたは休暇を「とる」のです。
そして、その結果として生じる問題を最小化することは、組織全体の利益であることは言うまでもありません。
「自分は有能で、職務をきちんとこなしていて、組織全体の利益を考えている」という基本的なトーンを確立すべしということです。
そうすれば、必然的に、あなたがスーパーヒーローになろうとして燃え尽きてしまうのを防ぐことが、上司の責務となるはずです。
あわせて読みたい
Image: Angelica Alzona/Lifehacker,Shutterstock.com
Rob Walker - Lifehacker US[原文:Stop Trying to Be the Office Superhero]