現代においては、肥満は飢餓よりも致命的。
必要なエネルギー以上に食べることによる代謝ストレスの悪影響についてもわかってきています。
とはいっても、世の中にあふれるおいしいものの刺激から逃れるのも、ストレスからの食べ癖を断つのも、そう簡単にはいかないものです。
もし自然に食欲が抑えられのたら、健康的な体形を維持できそうですよね。
そこで今回は、「早期時間制限摂食(eTRF:early time restricted feeding)」が食欲を抑え、脂肪の燃焼を助けてくれるかもしれないとの研究結果をご紹介します。
eTRFとは
eTRFをザックリ説明すると、夕食の時間を早める食事法です。
食事する時間を制限する間欠的断食の一種ですが、サーカディアンリズム(体内時計)に合わせて食事を摂るのが特徴です。
もともとeTRFは、エネルギー源を炭水化物を脂肪能力を向上させるのに役立つといわれてきましたが、肥満協会が実施した研究により脂肪燃焼効果が示唆されました。
14時までに夕食を済ませば食欲が抑制
被験者は、肥満傾向のある(体重68~100kg)20~45歳の男女11名です。
eTRFを実施したグループでは午前8時に朝食を午後2時夕食を、対照群では午前8:00に朝食を午後8:00に夕食を摂りました。
昼食はその間に摂られ、1日の摂取カロリーは同じに設定されています。
夕食以降は食事は摂りませんので、それぞれ18時間、12時間の絶食時間が設けられたことになります。
4日間連続で食事タイミングを調整し、結果を見たところ、eTRFを実施したグループについて以下のようなことがわかったようです。
・カロリー消費量への大きな影響は見られなかった
・炭水化物、脂肪、タンパク質の燃焼量を測定したところ、24時間での脂肪の燃焼量が増加していた
・起きている間、3時間ごとに参加者の食欲レベルを調べたところ、食欲が抑制されていた
・朝晩に空腹ホルモンを測定したところ、空腹ホルモン「グレリン」のレベルが下がっていた
長期的な効果については今後の研究に期待
研究結果を見ると、eTRFで無理なくダイエットできるかもしれない…と考えますよね。
ただし、落とし穴もありますので注意が必要です。
ダイエットしたことある方なら、継続するうちに体重が落ちにくくなるのを実感済みかと思います。
このように、体は環境に合わせて体は代謝を調整しますので、eTRFを継続した場合に同じ効果が得られるかどうかはこの研究からは不明です。
これに関しては研究者も、”脂肪燃焼に関する結果は副次的なもので、より長期間の調査が必要”とコメントしています。
また、ただでさえ食欲が落ちがちな暑い時期ですし、必要以上に食欲を落とすこともリスクがあると留意したいです。
14時間以上の断食でも恩恵あり
食事のタイミングをサーカディアンリズムに合わせることによる効果は理解できても、午後2時の夕食は多くの方にとって現実的でないかもしれません。
研究では他のタイプの間欠的断食との比較はありませんが、1日の食事の時間を固めて(たとえば、正午~午後8時)、14時間以上食事の時間を空ける方法でも代謝が上がるといった効果が確認されています。
効果と実践法を解説した以前の記事などを参考に、ご自身で試してみて効果を見るのも良いでしょう。
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Image: Shutterstock.com
Source: MedicalXpress