認めるかどうかは人それぞれですが、誰しもがやるべきことを後回しにしています。ただし、後回しにする際には「その間に何か他のことを済ませる」ことが大切です。

私がこのやり方を身につけたのは、デビッド・アレン氏が著書『仕事を成し遂げる技術―ストレスなく生産性を発揮する方法』(原題:Getting Things Done)で提唱した生産性向上システムを実践し始めた時です。

これを知ったのは、米ライフハッカーの記事を読んだ10年前のことでした。アレン氏は、「何もやる気にならない時でも、エネルギーも頭も使わずにできる作業のリスト」をつくっておくようすすめています。

たとえば、いい加減デスクトップ(物理的な机であれ、PCのデスクトップであれ)にある大量のファイルや書類を片づけた方がいい時期かもしれません。

あるいは、メールの受信ボックスを確認して、受け取りたくないニュースレターや広告の受信をすべて解除してみてはどうでしょうか。

もしそうするつもりなら、「受信解除」という単語で受信ボックス内を検索して、見つかったメールのリストを順番に見ていけば、作業がさらに簡単に進むでしょう。

では、頭を使わない作業のリストが必要なのはなぜなのでしょうか? それは、誰でも「作業を後回しにしている間にやること」が必要だからです。

後回しにしてしまうのはなぜ?

実を言うと、ほとんどの人は「怠け者だから」とか「やる気がないから」という理由で、やるべきことを後回しにしているわけではありません。ある種の作業を避けてしまうのには、次の3つの理由があるのです。

  • その作業の始め方がよく分からない。あるいは、その作業を始めることに不安を感じている
  • ミーティングやアポなどがあり、その作業に本格的に取りかかる時間があまりない
  • 厄介な作業をひと通り終えたばかりで、休息を必要としている

あるいは、心理学の教授Devon Price氏は理由をこう説明しています

心理学の研究では数十年前から説明がついているのですが、やるべきことを後回しにするのは、ある種の職務遂行に関する問題が原因です。決して怠けているからではないのです。

気にかけているプロジェクトを始められない時はたいてい、a)やってみても「十分」なものができないかもしれないと不安を感じているか、b)最初に何をやるべきかが分からないかのどちらかです。

それどころか、やるべきことを後回しにするのは、その作業が重要で、上手くやれるだろうかと気にしている場合の方が多いのです。

つまり、終わらせなくてはいけない重要な仕事があって、それを上手くやり遂げたいと思ってはいるものの、先にあげたいずれかの理由で、すぐには取りかれない状態なのです。

そこで私たちは、SNSを見たり、Webサイト上の記事を読んだりしてしまいます(まさに今、読んでいますよね!)。

あるいは、いつからあるのかもわからなくなってしまった、机の片隅にこびりついたままのベタベタした汚れを今こそ何とかしよう、と決めたりします。

「頭を使わない作業」が役に立つ

でも、それでかまいません。むしろ、こういう「頭を使わない」作業が、「取りかからなくてはいけない作業に戻るべき時」が来た際に役に立つのです。

これは、シャワー中や散歩中、あるいは洗濯物を畳んでいる最中に、精神的に大きな突破口を見つけたことのある人なら、誰もが経験してきたことです。

もちろん、勤務中にシャワーを浴びたり、洗濯物を畳んだりできる人はほとんどいません。

けれどもオフィスにいても、やるべきことを後回しにしている最中にその代わりに行う「頭は使わないけれど生産的な作業」はいくらでも見つけられます。

Justin Pot氏は「Fast Company」で次のように述べています

机の上を少しだけ片づけてもいいでしょう。あるいは、休憩室へ行って、お皿を全部洗うのもいいかもしれません。誰も洗い方を知らないのか、汚れた皿が必ず残されたままになっているものですから。

職場の同僚は、みんなのために良いことをしてくれた親切で寛大な人だと感謝してくれることでしょう。

あなたが皿洗いをしたのは、しばらく仕事をサボるためだったことを知っているのは、あなたと私だけなので、心配しなくても大丈夫。誰にも言いませんから。

「後回し」の時間を生産的に過ごすには

Pot氏のリストに載っているその他の選択肢としては、後回しにしている仕事を、取り組みやすい塊に分けるというものがあります。

「仕事をいくつかの作業に細分化して、それぞれをTo Doリストに加えるのは決して楽しいことではありませんが、実際にその仕事をするよりはラク」だというのです。

また、同僚と数分間おしゃべりするのもいいそうです(こうした負担の少ない、前向きな人間関係づくりは、人生に対する満足感をかなり高めてくれるものです)。

Pot氏はさらに、デビッド・アレン氏のやり方も紹介しています。つまり、頭が休息時間を必要とするたびにチェックすべきな「緊急性と難易度の低い」作業リストをつくっておくことです。

なにより、そうしたリストをつくること自体も、「緊急性と難易度の低い」作業の好例です。

やるべきことを後回しにしたいという衝動がまたむくむくとわいてきたら、まずはこのリストづくりから始めてもいいかもしれませんね。

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Image: Marten Bjork (Unsplash)

Source: Medium, Science Direct, International Education Studies, Wiley(1,2), ResearchGate, Fast Company

Nicole Dieker - Lifehacker US[原文