高度1万メートルの上空で用を足すのは、なかなかに落ち着かない体験です。どのタイミングで、どうやって行くのか。そのプロセス全体に、ルールやエチケットが絡んでくるのです。
搭乗前に
機内のトイレエチケットは、搭乗前から始まっています。
その日は普段より早起きで、カフェイン摂取量が多いかもしれません。しかも、飛行機は「空の砂漠」というイメージから、事前に水分を大量に取る人が多いでしょう。
それはいいのですが、とにかく搭乗前にはトイレに行ってください。
空港で搭乗グループの呼び出しを待ち、呼ばれたらあの非効率な列に並び、少しずつ前進しなければなりません。
いえ、わかってます。今はトイレに行きたくないんですよね。
うちの8歳の息子もそう。「今はおしっこ出ない」。ええ、気持ちはわかります。でも、どうかトイレに行って試してみてください。
なにがしかは出るはずですから。
短いフライトなら、それだけでトイレに行かずに済むかもしれません。機内でトイレに並ばざるをえない人々は、そんなあなたをヒーローと崇めることでしょう。
離着陸時に機内トイレは使えない
離着陸の前後は、どうあがいても無理です。我慢するしかありません。法律で、トイレに人がいるときは離陸できないと決められているのです。
Business Insiderの記事で、それが危険な理由が説明されていました。
フライトには2回、危険な時間帯があります。それは離着陸。その間、乗客は着席していなければなりません。そして、避難経路に障害物があってはなりません。
やむを得ず落下着陸となったときは、トイレに人がいてはいけません。なぜなら、化粧室内には鋭利な部分が多数あるにもかかわらず、席に乗客を固定するためのシートベルトなどの安全装備が何もないからです。それに、非常脱出となったとき、トイレに閉じ込められた乗客は逃げることができません。
シートベルト着用サイン点灯時は…
シートベルト着用サインは飾りではありません。
乱気流が想定されており、座ってベルトをしておく必要があるという、れっきとした理由があって点灯しているのです。トイレに行きたくても、サインが消えるまでは待たなければなりません。
ときどき、サインを消し渋るパイロットがいます。
永遠につきっぱなしのように思えて、それほどの危険がないと思えるときは、勝手に行ってしまいましょう。
ルールに厳格な人は、そこでつい乗務員に許しを請いたくなるかもしれません。
でも、それはやめてください。乗務員は、Noと言うしか選択肢がありません。
責任問題に発展する可能性があるからです。
黙って立ち上がったとしても、サインがついていると乗務員から声をかけられるでしょう。それが彼らの仕事ですから。
そんなときは、パニックをにおわせる視線を浮かべながら、ルールは理解していてずっとチャンスをうかがっていたのだけれど、残念ながら限界であることを伝えましょう。
乱気流がひどいときでなければ、黙認してくれるはずです。それでも座るように言われたら、黙って従うしかありません。
状況を理解しているのは、彼らなのですから。
隣の人が寝ている!
ようやく離陸して、おつまみが配られ、幸いシートベルトサインが消えました。やっとトイレに行けると横を見たら、隣席の人が安らかな寝息をたてています。
そんなとき、あなたならどうしますか?
トイレに行くために起こされて怒る人は、おそらくあまりいないでしょう。
でも、深夜のフライトやもっと長いフライトだったら何度も起こすはめになるかもしれません。起こすのか、我慢するのか、上を乗り越えるのか……。
エチケットの専門家Jo Bryantさんは、The Telegraphの記事において、上を乗り越えてもいいけど、いくつかのポイントに注意しなければならないと述べています。
隣の人が寝ていたら、乗り越える前に考えるべきことがあります。それは、前の人のヘッドレストをつかまずに乗り越えられるスペースがあるかどうか。
そのうえで行くと判断したら、前を向いたまま、接触を最小限に抑えるように移動してください。
「とはいえ、通れるかどうか疑わしいときは、必ず起こして通してもらうようにしましょう。それとも、乗り越えている最中に起きてしまうリスクを負いますか?」
Bryantさんはもう1つ、とても有用なアドバイスをしています。
筆者は、次からこうしようと決めました。
よく飛行機に乗る友人は、離陸前に隣の人の希望を確認しておくそうです。それがもっとも気遣いがあり、そして恥ずかしくない選択肢でしょうね。
どこで待つ?
機内でのトイレ待ちは、「列」を作るいうよりも、「通行の妨げにならないけれど、待っていることは主張できるポジション」を見つけることがすべてです。
順番を間違えないよう、自分の前の人の顔を心に刻んでおきましょう。
それと、待っている間に誰かの席に寄りかからないこと。
脇を締め、乗務員エリアに入らず、乗務員の動きを妨げず、出入りはスムーズにするように心がけてください。
トイレの前が大渋滞しているときは、少しすくまで自席で待つのがベターです。
割り込まれた?
まず、高齢者や妊婦には順番を譲りましょう。
これは機内に限らないことですが、機内ではなおさらです。
子どもも優先です。
筆者だったら、90分我慢してようが何だろうが、たとえば6歳以下の子がいたら先に行かせてあげます。
だって、そこで行かせずに事件が起きてしまったことを考えると…、ね。
あとは、親にも配慮してあげてください。
90分以上我慢してどうしようもなく、子どもに割り込ませて自分も用を足そうとしているのかもしれませんから…、ね。
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Image: Getty Images
Meghan Moravcik Walbert - Lifehacker US[原文:The Right Time to Use the Bathroom on an Airplane]