昇進試験にTOEICが加わったり、外国人の雇用が拡大したり、社会人になってから英語を学び直す機会が多くなっています。
今後、英語力を本格的に身につけざるをえなくなるビジネスパーソンは、増えてゆくことでしょう。
こう聞いて、ひたすら英単語を丸暗記した受験時代を思い出し、ブルーな気持ちになった方は多いはず。
根性論は多数の電話番号を覚えるようなもの
根性で英単語を暗記するのは、「まるで電話番号をやみくもに覚えるような方法」だと言うのは、英語講師兼イラストレーターのすずきひろし先生です。
この方法では、なかなか記憶に定着しないし、必要なときに頭の中からすっと出てこないからです。
また、40年もの英語指導経験を持つ清水建二先生は、「言語を司る左脳とイメージを司る右脳の両方を刺激し、かつセットにすることで、より効率的に英単語が覚えられる」と言います。
そして、この2人の先生がすすめる英単語の習得法が、単語の「語源」の意味を、イラストを交えながら理解するやり方です。
語源を理解して超速で1万語の単語力がつく
語源とは、接頭辞、語根、接尾辞に分類される英単語の「パーツ」。
例えば、attractionはatが接尾辞、tractが語根、ionが接尾辞となります。
こうした語源の意味を把握することで、共通する語源を持つ英単語の意味を芋づる式に覚えてしまおうというもの。
丸暗記よりもずっと効率的に、英字新聞を読むのに必要な1万語の単語力がつくそうです。

そうした語源を体系的に収録・解説したのが、両先生の共著『英単語の語源図鑑』(かんき出版)です。
語源ごとにイラストを付し、覚えやすさに徹底的にこだわった本書は、英語学習本として異例の60万部超のベストセラーを記録しました。
どんな内容か気になる方に、その一部を紹介しましょう。
接頭辞のcon-、com-、co-は「共に」
con-、com-、co-で始まる英単語は非常に多いですが、これには「共に」、「共同に」、「相互に」の意味があります。
また、「完全に」の意味になることもあります。
例えば、coauthorは、co(共に)+author(著者)=共同の著者→意味は「共著者」となります。

combineだと、com(共に)+bi(2つ:bilingualのbiです)+ine(動詞に)=2つを一緒にする→意味は、「結合させる(する)」や「組み合わせる」となります。

語根のformへ芋づる式に展開
次は、conform。
con(共に)+form(形)=同じ形にする→「従う」、「順応する」、「一致する」の意味を持ちます。
本書ではここから、formという語根を持つ別の単語へと展開していきます。
例えば、reformは、reが「再び」を意味する接頭辞。
re(再び)+form(形)=再び形にする→「改造する」、「改良する」、「改革」といった意味になります。

語源を理解すれば意味の理解も的確になる
subway、submarineの意味は、「地下鉄」、「潜水艦」であることは、ご存じでしょう。
ですが、subwayには「地下道」の意味が、submarineには「海底の」という意味もあるのを知っている人は少ないと思います。
この2つの単語に共通する接頭辞のsubには、「下に」という意味があります。
よって、subwayはsub(下に)+way(道)=下の道、submarineはsub(下に)+marine(海の)=海の下の、というのが語義になります。
そのほか、日常的に使われているsubtitleにも同じ語源が含まれています。
「タイトル」のsub(下に)あるものということで、意味は「副題」や「字幕」となります。
ベーシックな意味合いを知ることで、あまり知られていない意味や細かいニュアンスが分かるようになるのも、語源学習の大きなメリットというわけです。
もう1つ例を挙げると、辞書では「調べる」という訳語になっている、surveyとinspect。
機械的に暗記するだけでは、使い分けに悩みますね。
ですが、surveyは、sur(上から)+very(見る)=「見渡す」、「概観する」、inspectは、in(中を)+spect(見る)=「(隅々まで)調べる」、「検査する」と、意味は異なることが腑に落ちるわけです。
本書には、12種に大分類した接頭辞ごとに1章をもうけ、その接尾辞をもった単語、その後に続く語根をもった単語について、すべてイラスト付きで解説されています。
従来型の英単語習得法に行き詰まりを感じている人、これから英語の学び直しを予定されている方は、教材に本書を加えてみてはいかがでしょうか。
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Image: 英単語の語源図鑑, Shutterstock.com
Source: 英単語の語源図鑑