最近は週に4〜6日、ほぼ毎日研修に奔走しているのですが、若手・中堅にかかわらずこんな質問をよくいただきます。
「仕事のモチベーションを保つためには、どうすればいいのか?」
確かに、仕事自体は単調な繰り返しが多く、そんなに楽しいものではないようにも思えます。 でも、考え方1つで、いかなる仕事でも「やりがい」を見出すことはできます。
今回は、いかなる仕事でも「やりがい」を持てる方法として、「ジョブクラフティング」と「Will-Can-Mustの法則」を紹介します。
朝のゆっくりした時間、また休みの時期などはリラックスモードの時に、ぜひやってみてください。
伊庭 正康 株式会社らしさラボ 代表取締役

リクルートグループ入社。残業レスで営業とマネジャーの両部門で累計40回以上の表彰を受賞。その後、部長、社内ベンチャーの代表を歴任。 2011年、株式会社 らしさラボ設立。リーダー、営業力、時間管理等、年間200回以上の研修に登壇。リピート率は9割以上。 近著『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本(かんき出版)』『計算ずくで目標達成する本(すばる舎)』 『できるリーダーは、「これ」しかやらない: メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)』『数字を上げる人のセールストーク・営業のキホン(すばる舎)』等多数。「無料メールセミナー」も好評。
仕事は「面白い」ものではなく、「面白くする」もの

まず、「ジョブクラフティング」から紹介しましょう。
ジョブクラフティングとは?
これは、「役割の捉え方を変える」ことや「行動を主体的にとる」ことで、退屈な業務をやりがいのあるものに昇華させる手法のことです。
米イェール大学経営大学院のエイミー・レズネスキー准教授とミシガン大学のジェーン・E・ダットン名誉教授により提唱されました。
次の3つの視点で仕事をとらえなおすと、「やりがい」の発見になる、というものです。
視点1:仕事の意義を広げて考える
「誰のために貢献する仕事なのか?」を考える
視点2:人とのかかわり方を変えてみる
上司に相談する・一緒にやってみるなど
視点3:創意工夫をしてみる
アイデアを考え、生かすなど
仮に、あなたが百貨店の化粧品販売員だとしましょう。お客様を美しくしたい、との思いで就職する人が多い素敵な職種です。
しかし、日々の業務の繰り返しの中で対人ストレスを感じ、単調に感じてしまうことがあるのも事実。
そんな時、上記のジョブクラフティングのステップで仕事をとらえなおしてみましょう。
すると、「人を美しくするとは、誰もがあるがままの自分に自信を持つことでもあり、俯瞰すると社会を幸せにする仕事だ」と捉えることもできます。
このように、「まだできることがある」ことに気づける、というわけです。
自分が実現したい目標を考えてみる

それでもまだしっくりいかないなら、次のステップです。
「仕事は自分の未来への投資でしかない」と、もっと自分軸で考えてみてください。
「Will-Can-Mustの法則」をご存知でしょうか。これも、有名なモチベーション理論の1つです。
Will-Can-Mustの法則とは?
目の前のやらねばならない「今の業務(Must)」をこなすだけではなく、「自分の未来(Will:やりたいことの実現)」「自分の成長(Can:能力の獲得)」につながるトレーニングと考える方法です。
例えば、ある26歳の女性が次のように考えたとします。
Must:主任として営業目標を達成させながら、後輩指導を同時に行う
Will:まだ明確ではないけど、60歳を超えても専門性を生かして働き続けたい。 お母さんが、看護師として年齢を重ねても輝いているのは憧れ
Can:そのために、30歳までに一生ものの専門性を身に付けたい。 今の主任としての仕事は、「営業力」「後輩指導力」を身に付けられるチャンスだ
このように、明確でなくても良いので、「将来はこうありたいな…」というWillを想像してみてください。10~20年後、難しいようなら1~3年後でもOKです。
それでも見出せない場合は、次のように「価値観」からWillを探る方法もありますので、参考にしてみてください。
【価値観からWillを見つける方法】
1.仕事をする上で、大事にしたい価値観を列挙する(10~20個)
(例:成長・収入・貢献・達成・挑戦…など)
2.列挙した中から最も重要なものをピックアップする。 「なぜ最も重要なのか?」「どういうことなのか?」が説明できるようにする
(例:「挑戦」が最も重要。それは、自分が何かに挑戦している時に充実感を感じていたから。 これからも“挑戦心を持ち続ける人でありたい”←ここでWillを発見 )
仕事を面白くできる人は「リフレーミング」上手

最後に、いかなる業務でも、自分の「ため」「チャンス」と捉えられるようになるコツを紹介します。
「ジョブクラフティング」「Will-Can-Mustの法則」でも、共通するのは、今の業務(役割)を俯瞰して、あらゆる角度から意味を見出す視点です。これを心理学ではリフレーミングと言います。
モチベーションを維持し続ける人は、リフレーミングが上手なのです。「飛び込み営業→多くの経営者と出会えるチャンス」「化粧品販売→幸せを増やす仕事」といったように、自分の仕事の意味を捉えなおしているのです。
「自分にとってのチャンス」「社会への貢献」という観点で考えると、リフレーミングがしやすくなるでしょう。いかなる仕事も輝きを増すこと間違いなしです。
「やりがい」を持てるかどうかは自分次第

今回は、いかなる仕事にも「やりがい」を持てる方法を紹介しました。
まず、仕事は「面白い」ものではなく、「面白くする」もの、これが前提です。 今回紹介した方法を用いれば、どんな仕事にも意味を見出すことができます。
それでも迷った時は、まずは1カ月。だまされたと思って、面白くすることができるかどうか試してみることをおすすめします。きっと、今まで見えなかったものが見えてくることでしょう。
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