ジメジメして部屋に湿気やにおいがこもりがちになる、梅雨時や蒸し暑く長い日本の夏。
今から準備できるお部屋のにおいや、カビの原因となる湿気対策と解消方法をにおい刑事・臭気判定士の松林宏治さんに教えていただきました。
目次
部屋のにおいが気になる場所は?発生場所別におい対策法

この時期、部屋の中で一番においが気になるのは、「水回り」。
キッチンシンク、浴室、洗面台の排水溝は、高温多湿状態になると雑菌が増殖、ぬめりが発生したり、カビが生えたり、においの原因になります。
「日頃から見える範囲は、きれいにしていても、排水トラップやその奥の汚れがにおいの原因であることが多い」と松林さん。
水回り・排水溝のにおい対策

においの元は、雑菌。とにかく除菌することが大事。
毎日できる予防法
- 夜寝る前にアルコール除菌スプレー(消毒用エタノールがオススメ)をにおいの気になるところに排水溝や三角コーナーなどにかけておく。
- キッチンの排水溝に、たっぷりと氷を入れておくのも高温対策に効果的。
定期的にやっておきたいこと
- 排水溝や排水トラップなどは、アルコール除菌スプレーを使い掃除する。
- 汚れがひどい場合は、台所用の漂白剤を使って、つけ置き掃除をするのも効果的。
- パイプクリーナーを定期的に使い、水道管の中をきれいに保つこと。
生ゴミのにおい対策

「生ゴミを新聞紙の上に乗せて水気を切り、重曹をかけてからしっかりビニール袋などに包むとにおいの発生を防げます」(松林さん)
毎日できる予防法
- 水分をしっかり切ってから捨てること。
- においがこもるゴミ箱の中には、においを吸着する消臭剤を利用する。
洗濯機のカビ臭対策

温度が高くなってくると洗濯機から嫌なにおいが…。見えないところに発生したカビが原因かもしれません。特に湿気がたまりやすい場所なので、定期的なメンテナンスが必要です。
毎日できる予防法
- 洗濯物は、洗濯機に入れておかず、使わないときは空にしておく。
- 洗濯が終わったら、濡れた洗濯物はすぐに取り出す。
- 洗濯機の蓋は、湿気を逃がすために開けておく。
「ドラム式の場合、小さな子どもやペットがいる場合は開けておくのは特に注意が必要です。できる範囲で、少しだけ開けて止められるドアストッパーなどを利用してみるのも良いかもしれません」(松林さん)
定期的にやっておきたいこと
- 洗濯槽クリーナー(酸素系漂白剤が入ったものがオススメ)を使う。
「菌には耐性ができるとも言われるので、毎回同じ洗剤ではなく、違うものを使ってみるのが良いのでは」(松林さん)
洗濯物(部屋干し)のにおい対策

洗いあがったら、すぐに洗濯機から出し、早く乾かすことがにおいを発生を防いでくれます。
天気が悪い日は、部屋干し対策をしっかりと。
- 風を当てる
- 除湿機を使う
- 乾燥機を使う など
「除菌効果のある洗剤は、あくまでも99%除菌である(100%殺菌効果があるわけではない)と心得て。元の雑菌の量が多ければ、それに比例して残ってしまいます」(松林さん)
タオル・バスマットのにおい対策

- こまめに替えて洗う。
- 防臭、抗菌効果のある素材のものを選ぶ。
- 度々においが気になるようなら煮沸洗いや酸素系漂白剤などで除菌をする。それでも気になるなら、手放すといったあきらめも肝心!
靴のにおい対策・お手入れ法

高温多湿、まさに雑菌の好きな環境を履いているだけで作り出してしまう靴もこの時期、対策が必須です。
毎日できるにおいの予防法
- 1日履いた靴は脱いだ後に靴用の除菌スプレーをかける。
- すぐに下駄箱にしまわずに、風通しの良いところ(ベランダなど)で陰干しをして乾燥させる。
- 同じ靴を続けて履かない。
「靴のにおいが気になったら、消臭より、まずは雑菌対策を優先すること。除菌した後に、靴の中に丸めた新聞紙や炭などを入れて、においを吸着させ、消臭対策をするのが効果的です」(松林さん)
長靴のにおい対策・お手入れ法

- 履いた後に、靴用の除菌スプレーを使う。
- においの原因となる中敷きはこまめに替える。
「においがこもっているなと感じる時は、長靴の中にドライヤーの温風を2〜3分程度当てる(ベイクアウト)。においが外に出るのがわかるので、においが消えるまで高温になったら冷まして、また温風を当ててと何度か繰り返すとすっきりするのを実感できるはず。靴乾燥機をお持ちの方は、それを使うのも良いですね!」(松林さん)
下駄箱のにおい対策

第一に原因となる靴のにおい対策を。狭いスペースのこもったにおい対策には消臭剤が効果的です。
毎日できるにおいの予防法
- においを吸着できる置き型の消臭剤(炭や消臭ビーズなど)を入れておく。
- 汚れている&濡れたままの靴をそのまま下駄箱にしまわない。必ず汚れを落とし、乾かしてからしまう。
(カビや雑菌発生の原因となってしまい、においの原因につながることも)
トイレのにおい対策・お手入れ法

においの発生源を断ち、こもらないように換気が必須!
毎日できるにおいの予防法
- 換気扇を24時間回しておく。
- 汚れが見えていなくてもにおいの発生源は残っていることもある。
- 掃除をこまめにし、便器だけでなくトイレの壁なども除菌できるものを使って掃除すると良い。
浴室のにおい対策・お手入れ法

排水溝の雑菌・カビからにおいが発生することが多いので、除菌とカビ対策を徹底すること。
毎日できる予防法
- 入浴後は翌朝まで換気扇を止めない。
- お風呂上がりには必ず、お湯(40度程度)で汚れを流す→水のシャワーで冷ます→換気をする。
- 除菌機能のある洗剤を使う。
定期的にやっておきたいこと
- 防カビ効果のあるくん煙剤などを使って抗菌コートする。
部屋にこもったにおい・湿気を早く解消するには?

魚を焼いたり、焼肉をしたり、揚げ物、炒め物をしたり、冬場に締め切って鍋料理をすると、どうしても部屋の中ににおいや湿気がこもりがち。そんなときも意識的な換気が重要です。
- 換気扇を付け、対角にある窓を少し開けて風の出入り口を作ること。
- 料理が終わった後も、 最低30分間は換気扇を止めず 、換気を続ける。
- 食洗機を使うときも、換気扇を回し、終わった後もしばらくつけておく。
「料理を作った後、すぐに換気扇を止めてしまう人は多いはず。においが気にならなかったとしても、しばらくは、止めないでください。ソファやカーテンなど布についたにおいは、蒸しタオルで拭くと取れやすくなります」(松林さん)
「マンション」と「戸建て」では対策は違う?
マンションの場合:
機密性が高いため、特に中住戸だと空気がこもりがち、意識的に換気を。
- 24時間換気を止めない。
- 毎朝、端と端の窓を開けて風の通り道を作り10分程度換気を行う。(風の通りが悪い日は、換気扇も併用するとよい)
戸建ての場合:
日当たりの悪い部屋の換気、除湿を徹底すること。
地下や半地下の部屋は、特に湿気がこもりやすくカビやすいので、24時間換気が必須です。
部屋のにおい・湿気対策には、換気がもっとも重要!

定期的にしっかり換気をすることで、においの原因やこもった湿気は解消できます。
「週に一度は30分ほど、各部屋の窓を開けて、サーキュレーター(扇風機)を壁や天井に向けて回し、部屋中の空気を入れ替えましょう。それだけで普段風が通らない、家具の裏やベッドの下などまで空気が回り、雑菌やカビ、においの元を防ぎやすくなりますよ」(松林さん)
この時期は、においもジメジメもしょうがないと半ばあきらめていましたが、実は解決法は単純明快!
「雑菌の発生を防ぎ、換気を徹底する」ことでした。
以下を意識して、もうジメジメとにおいに悩まされない快適空間を手に入れてください。
部屋のにおいの原因・対策方法まとめ
- 湿気や汚れが停滞すると、カビや雑菌の温床になり、においが発生する。
- 高温多湿状態を避け、菌の発生を防ぐ。
- 家の中のこもりがちなスポットを除菌・除湿をする。
- 定期的、かつ積極的に室内換気をする。
お話を伺った方:臭気判定士 松林宏治さん

消臭専門会社である株式会社共生エアテクノ代表取締役。大きな工場の臭気対策から日常に潜む身近なにおいのトラブルまで、多くのにおい問題を過去1000件以上解決している。国家資格臭気判定士。通称「におい刑事」。
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Photo: 香川博人