2017年4月28日の記事を再編集のうえ、再掲しています。

4月は始まりのシーズン。そろそろ新しい生活にも慣れてきた頃かもしれません。

しかし油断は禁物! たとえ良きものであっても「環境の変化」は、人間にとって大きなストレスになります。

人間は心や身体は変化に対して順応しようと、無意識レベルで必死に頑張ってしまいます。

希望に燃えてアドレナリンがビシビシと出ている人ほど、「こんなにやる気に満ちているのだからストレスなんて感じているわけがない!」と、知らず知らずのうちに心身の疲労を澱のように自分の深いところに沈殿させて、燃え尽き状態になってしまいがち。

一方で、緊張感のある新環境の中で、不要な劣等感や焦りに苛まれてしまっている人も多いかもしれません。

大事なのは、絶えず変化に適応しようとしている心と身体に目配りし、労ってあげること。

今回は、五月病対策になる、「身体にほんのちょっと触れるだけ」で新しい環境に適応する心と身体を養う方法をご紹介します。

1. 「思いグセ」がストレスを生む

たとえば、上司に「あの仕事は終わってるの?」と聞かれたとき、みなさんはどんな気持ちになるでしょうか?

「ヤバい! 早くやらなきゃ」という気持ちになる人。これは焦りの感情と結びついています。

「怒られてしまう! 怖い!」という恐怖感を感じる人もいるかもしれません。

あるいは同じ「怒られてしまう!」でもそこに悲しみや罪悪感など別の感情を感じる人もいるでしょう。

このようにして、投げかけられた一言によって人は多種多様な反応をし、感情を動かされます。

でも実は、上司はまったく怒っておらず、単に進捗状況を聞いているだけだったりするわけです。

つまり「今やっています。20分後にはでき上がります」と、感情を揺さぶられず冷静に答えれば良いのです。

このように丁寧に自分の反応を見ていくと、表層的な思考の反応と、それにひもづく感情があることに気づきます。

そして同じことが起きていても、物事の捉え方には個人差が強く現れます。

こうした感情は、幼少期の体験や自分が長く生きてきた中で形成された、ある種の「思いグセ」のようなもの。

ご自身を振り返ってみると、不安、悲しみ、罪悪感、ストレスがかかったときの感情面の反応に、一定のパターンがあることに気づくかもしれません。

個々の人生が築いたこのクセが何らかの方法でとり除ければ、無駄なストレスを感じず仕事にすっきりと集中できるはずです。

2. ツボをタッピングするだけで感情が癒される「EFT」とは?

東洋医学のツボを刺激することは、感情とも結びついているということは前回の記事でもお伝えしました。

この「感情」に関する部分をよりフィーチャーし、「感情を健康にする」ためのツボ刺激を体系化したものが「EFT(Emortional Freedom Technique)」です。

EFTはアメリカ人のパフォーマンス・コーチ、ゲイリー・クレイグによって開発されたもので、「針を使わない感情の鍼治療」とも言われ、世界中に広まっています。

退役軍人のPTSD症状の緩和や、イギリスの国立病院でのうつ治療などにも取り入れられ、高い実績を上げているテクニックです。

EFTでは、感情をある種のエネルギーの塊として捉え、霧のように散らしていくことができるもの、と考えます

感情のコリのようなものを放っておくと、経絡に乱れが生じ、時間をかけて身体の不調となって現れてしまうというわけです。

4月に頑張りすぎたしわ寄せが「五月病」と呼ばれるような、原因不明の体調不良を引き起こすというのは、みなさんご経験があるのではないでしょうか?

EFTでは、経絡をトントントンと軽く指で叩くだけの簡単なテクニックで、ストレスやイライラ、不安、落ち込み、悲しみなどの感情が軽減し、落ち着きや集中力、自信が高まるなどの効果が期待できます。

すでに自覚的できるほど大きな心身の不調を感じている方には専門家によるEFTのセラピーセッションをお勧めしますが、まずは日々のストレスを軽減するための、デイリーにできる簡単な方法をお伝えします。

3. 2分でストレス解消! ツボ・タッピングの実践方法

本来はセラピストによるしっかりとしたカウンセリングでテーマを絞り込んでから行うEFTですが、今回は自分でも手軽に実践できる方法をお伝えします。

EFTで使われるのは「タッピング」と呼ばれるツボの刺激方法です。

自分が抱えている問題に集中するための短い言葉を声に出しながら、顔回りや手のツボを、片手の指2〜4本でトントントントントンと7〜8回ずつ叩いていきます

顔や手指、鎖骨の左右どちらのツボをタッピングするかは、お好きな方で大丈夫です。

所要時間は、ほんの2〜3分。

ちょっと疲れてしまったとき、休憩時間や、就寝前などにおすすめです。

ポイントは、途中で深呼吸をしながらリラックスして行うこと。根を詰めずに軽〜い気持ちでトライしてみてくださいね。

1. 「疲れやストレスを感じない」を1、「最高にストレスフルで辛い! 」を10とした場合、ご自身の疲れやストレス度合いはどのくらいの数値でしょう?

「何となくこのくらい」の数値で構いません。その数字を覚えておきましょう。

2. 自分が今かけてもらったら一番うれしい言葉を選んでみてください。

たとえば「焦りをすごく感じているけど、よくやっている!」「腹が立ったけれど、自分はエライ!」など、今の感情と自分にシックリとくる言い方を考えます。今感じている感情を必ず入れるのがコツです。

3. 2.で考えた言葉を声に出しながら、小指の付け根と手首の間の肉付きが柔らかなあたりを、もう一方の指でトントントントンとタッピングします。

声に出すことに抵抗があるようであれば、心の中で思うだけでも構いません。

4. 自分に言葉かけをしながら、ほかの身体の部分も3.と同様にしてトントンとタッピングしていきます。

頭頂部→眉頭→眉尻→黒目の下のあたり→鼻下中央→下唇の下中央→鎖骨下の中央から2〜3cmのところ、と進みます。

5. 1周したら3.の手首のポイントをトントンしながら、深呼吸しましょう。

ストレス度を思い浮かべてみると、1.で見積もった疲れ・ストレス度合いがだんだんと下がってくるのを感じると思います。

6. 3.〜5.を1セットとして、好きなだけ行います。終わったら、深呼吸してリラックスしましょう。

文字すると長くなってしまいますが、やることは非常にシンプルです。

ただトントントントンとツボを叩きながら、自分を労ってあげるだけ。

たとえば、仕事中に顔や頭を叩くのはちょっと抵抗がある方や、全部やるのは面倒くさい...という方は、まず3.の手首のポイントや4.の鎖骨下のポイントだけでもOKですので、タッピングしながら自分が一番癒される言葉をかけてあげましょう。

以下の動画でも詳しく説明されているので、ぜひご覧ください。

Video: Youtube

4. 適度な休息も重要です!

悪いことを日常的に思い出してしまい、ストレスを引き起こす「思いグセ」を根っこからケアするには相応の時間とテクニックが必要ですが、今回のワークは、日々のストレスケアや気持ちを上手に切り替えるきっかけになると思います。

もし、やってみて予想以上に疲れていることに気づいたら、それは心がしっかりと休みたがっている合図かもしれません。

まだまだ先は長いのです!

ただがむしゃらに働くのではなく、適度に休息を取ることで、むしろ仕事全体の効率を上げるということも、最近では広く知られるようになってきました。

無理せずにお休みをとって、自分の心が何をしたがっているか、じっくり向き合う時間を作ってくださいね。

「今を生き抜くためのセルフケア術」過去の記事はこちら>


あわせて読みたい

肩こり・首の痛みが改善する座り方|アレクサンダー・テクニークの第一人者が直伝

肩こり・首の痛みが改善する座り方|アレクサンダー・テクニークの第一人者が直伝

辛い時は、自分を労わる。お金をかけず今すぐ実践できるセルフケア

辛い時は、自分を労わる。お金をかけず今すぐ実践できるセルフケア


小松ゆり子/パーソナル・セラピスト

小松ゆり子さん

音楽、カルチャー、リラクゼーションを融合する「relacle」「CHILL SPACE」スーパーバイジング・ディレクター。南青山のプライベート・アトリエ「corpo e alma」を中心にセラピー・セッションやセミナー活動を行う。

東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「VITAL touch therapy」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行っている。

約12万人以上を動員する音楽フェスティバルSUMMER SONICで10年連続セラピーブースを展開するほか、新宿のシェアオフィス「HAPON」でのオフィスリラクゼーション、アパレルブランド「かぐれ」でのセラピーや講座など他業種とのコラボレーションも多数。

現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻す方法をさまざまな角度からナビゲートする。