ただの健康な人にすぎなかったブリー・ラーソン。
キャプテン・マーベルを演じるために、何度も懸垂をしたり、チェーンをおもりに腕立て伏せをしたり、車を坂の上に押し上げたりできるようになりました。
スーパーヒーローになるために、彼女はどんなトレーニングをこなしたのでしょう。彼女の専属トレーナーを務めたJason Walsh氏に、話を聞きました。
実際、どれだけのトレーニングをしたの?
ラーソンはインタビューで、1日4時間以上のトレーニングを行ったと述べています。
といっても、ジムに毎日4時間いたわけではありません。Walsh氏はいいます。
毎日4時間もウエイトをあげる必要はありません。
朝はマッサージやストレッチなどのソフトなものから始め、スクワットなどの大きなエクササイズへ移行して午前を終えます。
昼休みを挟み、午後はもっと微調整的なエクササイズ、たとえば殺陣指導の時間に充てていたそうです。
ずっと痛みを感じていたの?
最初のうちは、ずっとそうでした。
でもWalsh氏は、必要に応じてトレーニングを変え、回復に重点を置くようにしたそうです(セッションの間には必ず十分な睡眠を挟み、サプリメントも利用していました)。
やがて、痛みは消えたそうです。
毎日のように痛みを感じることはなくなりましたが、それがゴールではありません。
Walsh氏のクライアントは、やがて痛みを「感謝」するようになるのだとか。
なぜなら痛みは、ワークアウトを考え直すきっかけになるから。痛みを感じたからといって、やめる必要はないのです。
ハードなトレーニングに耐えうるメンタルを持つには?
まずは、あなたの能力を正しく理解してくれる、信頼できるトレーナーを持つこと。
限界を越えなければ成長はありません。
コンフォートゾーンを乗り越えなければならないのです。
ときには、彼女に無理やりエクササイズをさせたこともありました。泣くかもしれないけれど、彼女なら絶対できると確信していたからです。
ラーソンは、記者会見で、そんなときの気持ちを述べています。
自分の中にあるもろくて未熟な部分がかき回されると、ものすごく感情的になります。
でもそれは、すべて自分のためであることはわかっていました。誰かに何かを証明する必要はないんです。
ジムの誰かに認めてもらうためじゃない。トレーナーに認めてもらうためでもない。
だって彼が、完全に感心してくれることはありませんから。
なぜって、感心しないことが彼の仕事でしょう。だから私は、自分のためにジムにいるしかなかった。
身体の声に耳を傾けることが重要です。なぜなら、ケガをしてはおしまいだから。
特に、身体が資本の仕事をしている場合はなおさらです。Walsh氏によると、特にセレブを相手にする場合、ケガをさせないことが最重要だといいます。
とはいえ、「もうできない」というメッセージが脳から発せられているのか、それとも身体から発えられているのかを区別することが重要なのだそう。
脳がストップをかけるように叫び声をあげることがありますが、人はそれを乗り越えたとたん、泣きながら笑っているような、何ともいえない感覚に陥ります。
自らの期待値を超えて感情的になっている人を見るのは何とも不思議なものです。
どうすればあそこまでできるようになるの? 懸垂は?
「少しずつ増やしていく」「粘り強く」「いずれ身体が適応することを知る」ですね。
もちろん、そんなことは言われなくても知っているかもしれません。
でも、ゴールがあまりにも遠いと、そこに到達する道のりが見えにくくなることがあります。
特に懸垂のトレーニングについて、Walsh氏に詳しく聞いてみました(Playbookアプリに動画もあります。「Brie's Workout」で検索を)。
Wlashがクライアントに対して使っている、厳しい完全な懸垂への道のりには、下記のバリエーションがあるとのことでした。
- 「腕を完全に曲げる」「腕を90度曲げる」「腕をほぼ伸ばす」の3つのポジションを、30秒もしくは可能な限り保つ:この3つを個別にできるようになったら、各ポジション10秒ずつ連続してやってみる。
- 地に足を付けて体重の一部を支えた状態でのアシストあり懸垂(ぶら下がるバーを下げるとよい)。
- 動き始めに足でジャンプすることで勢いをつける懸垂。
- 動きの頂点までジャンプし、そこからゆっくり降りる逆懸垂。
- 懸垂のグリップを変える:まずはチンアップ(逆手:下から握る)かニュートラル(両方の手の平側を向かい合わせて握る)から始め、標準のプルアップグリップ(順手:上から握る)に移行する。
チェーンをおもりにした腕立ては?
23キロのチェーンを背中に載せての腕立て伏せも、同様のストーリーが当てはまります。
ブリーは、壁に手を付けた状態での正しいフォームでの腕立てからスタートしました。
そこから、徐々に手を付く位置を下げていきました。
身体を下げるときはゆっくり、上げるときは勢いよく動かします。
次に、懸垂と同様、いちばん低い位置、中間、高い位置の3つのポジションを保つ練習です。
床を使って完全な腕立て伏せができるようになったら、いよいよおもりを載せましょう。
腰に通常のウエイトプレートを載せることで、全体の動きの中で体幹を鍛えることができます。
実際は、チェーンのほうが楽です。重いチェーンでも、身体を下げたときに一部が床につくので重みが分散され、低い位置では軽く感じるから。もちろん、高い位置では重くなります。
ラーソンがInstagramに投稿しているのは、印象深い一部のトレーニングだけです。
具体的な動きについてWalsh氏に尋ねると、それらのクリップは彼女が9カ月でできるようになったことの「ハイライト集」のようなものだと強調していました。
彼女は、毎日ジムで車を押していたわけではありません。
それはあくまでも彼女が目指していた最終的な動きであり、成果を誇示するために撮影したものにすぎません(標準的なジム装備であるウェイテッドスレッドから派生したものではあります)。
自身のハイライト集を作るためには、言うべきことがたくさんあります。
今までできなかったことができるようになったら、動画に収めましょう。大好きなInstaスターに習い、日々の努力は見せません。
近い将来にハイライト集を作りたいという思いを、モチベーションに変えることもできます。数カ月後、どんな自分を動画に収めたいですか?
時間のない人は、どうやってトレーニングすればいい?
ラーソンと一般人の最大の違いは、彼女にとってはトレーニングが仕事そのものだったということ。
だから、毎日長時間を割くことができたのです。映画スターでない一般人のあなたは、ジムに充てられる時間が短いのはしょうがないと割り切りましょう。
では、限られた時間を有効に使うにはどうしたらいいでしょうか。
全身の筋肉を同時に鍛えられるエクササイズを見つけてください。
スクワット、デッドリフト、ヒップスラスト、スレッドプッシュなど。
たとえば今週2日間しかトレーニングできないのであれば、私ならベンチプレスやバイセップカールよりも、効率のいいデッドリフトに時間を費やすでしょう。
初心者に向けてのアドバイスは?
「現実的であれ」「忍耐強くあれ」「期待値は適切に」ですね。
歯を磨くようなものだと思ってください。
私にとって、トレーニングと歯磨きは同じカテゴリーに分類されています。つまり、健康でいたいから身体のケアをしているんです。ずっと、身体がうまく機能する状態を保ちたいですね。
信じないほうがいいひどいアドバイスは?
「休むべからず」的な精神論ですね。「多いほどベター」なんてことはありません。ベターなことがベターなのです。
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Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文]