敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。
今回は、人気子育てポッドキャストThe Longest Shortest Timeの元ホストであり、エグゼクティブ・プロデューサーでもあるヒラリー・フランク(Hillary Frank)さんの子育て術です。
ヒラリーさんは、1月15日に『Weird Parenting Wins: Bathtub Dining, Family Screams, and Other Hacks from the Parenting Trenches』という著書も出版しました。
氏名:ヒラリー・フランク
居住地:ニュージャージー州モントクレア
職業:ポッドキャストThe Longest Shortest Timeのクリエイター兼エグゼクティブ・プロデューサー
家族構成:夫のジョナサン、娘のチャーリー(8歳)、猫のチャーリー
──最初に、家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り?それとも予想外のことが多かった?
予定通りにいく人生なんてあるのでしょうか。
私は、グラフィックデザイナーかイラストレーターになろうと思いながら育ちました。児童書に限らず、文章を書くと同時に絵も描いて本を作るエドワード・ゴーリーのようになりたかったのです。それで、大学卒業後は、クラシックな絵の描き方を習いに美術学校にまで行ったぐらいです。
でも、そのうちにThis American Lifeというラジオ番組を聞いて、ラジオの世界に魅力を感じるようになりました。ラジオでトークするなんて、内向的な性格の私にとってはチャレンジでした。
夫もラジオの世界の人で内向的な性格です。だから、まさか、ドラムを叩くのが何より好きな子どもを授かるとは思いませんでした。
──子育てをするようになってから仕事のやり方は変わった?
はい!
私はいつも仕事中毒気味で、今でもかなり長時間働く傾向があり、締切に追われて娘が眠った後に大奮闘しています。
長年朝から晩まで仕事をしてきた結果、仕事のスケジュールを制限した方が、かえって仕事も子育てもうまくできることに気づきました。
それで1年ほど前から、週末は仕事をしないことにしています。夜9時以降もなるべく仕事をしないようにしています。そうできないときもありますが。

──新刊本の『Weird Parenting Wins』のインスピレーションはどこから?
『Weird Parenting Wins』は、既存の育児書に対するフラストレーションから生まれました。
2010年に娘が生まれると、私は「How to」本をたくさん読みました。
子どもの寝かしつけ方、子どものあやし方、子どもの食べさせ方。どれを読んでも、自分は失敗しているような気がしました。どの本もあまりに規範的で、本の通りに子どもを寝かしつけられないと、間違ったやり方をしているような感じてしまったのです。
2、3年子育てをしてみて、私には試行錯誤を通して必死になった瞬間に辿り着いた戦略が向いていると気づきました。それで、The Longest Shortest Timeにブログ記事を書いて、読者から子育ての珍しいテクニックをコメントでもらうようにしました。
専門家からは聞けない話ばかりで、笑えてためになるものがいくつもあったので、これを本にしてみようかなと思い始めたんです。
──子育ての成功体験で一番変わったものは?
うちの娘はひとりっ子なので、子どもの喧嘩の仲裁はあまりしたことがありません。
けれど、ある日、娘の友だちが我が家に遊びにきて(その子もひとりっ子)、娘と喧嘩になりました。そのとき私は、子どもたちから少し離れた位置にそっと行って、ゆっくりと逆立ちをしました(私はあまり運動神経が良くないのに、なぜか子どものころから逆立ちはできるんです)。
私が逆立ちしているのに気づいた子どもたちは、すぐに喧嘩を止めて、逆立ちの仕方を習いたがりましたよ。
──親として一番誇らしく思う瞬間はどんなとき?
娘がトム・ペティバンドのふりをして、ドラムを叩くのを見ているとき。
──情けないと思う瞬間はどんなとき?
先日、家族で近所を散歩していたときのこと。夫は娘を乗せたワゴンを引いていました。
すると、家から数ブロックのところで、歩道の大きなひび割れの中にあったハチの巣をワゴンがひいてしまい、私のサンダルの中にスズメバチが入ってしまったのです。
サンダルを脱ごうとするとスズメバチは何度も私の爪先を刺しました。すごく痛かったので、私は娘と一緒にワゴンに乗らざるを得ず、娘も指を刺されてしまい…。
夫は、泣き叫ぶ私たちを乗せたワゴンを必死で家まで引っ張ることになり。その最中、近所の人に見られないかハラハラし通しでした。
──子育てで一番難しいことは何?
セルフケアの方法を見つけること。まず、セルフケアの時間を作ること自体が大変ですが…。
──どのように子どもを仕事に関わらせている?
娘はなるべく私の仕事に関わらせないようにしています。
ごくたまに、娘がおもしろいことを言うとそれを録音してThe Longest Shortest Timeで放送することがあります。でも、娘も大きくなってきたので、世間への露出を制限したいと思っています。
今は、番組のために娘の発言を録音するときは、娘の許可を取ってからにしています。娘は嫌なら嫌と言ってもいいのだとわかっています。
──今までもらった子育てに関するアドバイスで心に残っているものはありますか?
はい。私が妊娠中に、親友の1人が言った言葉です。
「これから私が1つだけアドバイスをするからね。それは、誰の言うことも聞くなということよ。みんなが『ああしろ、こうしろ』といろいろ言うけど、全然耳を貸す必要無し。自分のやり方でやっていいのよ」
──子育てとキャリアを両立させている親御さんたちに伝えたいことは?
職場では、母親は父親や子どものいない人たちより差別に直面しやすいものです。差別されたら、それを上司なり人事部なり、然るべきところに報告してください。
あと、父親の皆さんにできる一番のサポートは、育児休暇(パタニティ・リーブ)を取ることです。
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Meghan Moravcik Walbert – Lifehacker US[原文]
Photo: Richard Frank