働き方改革の一環で幾つかの大手企業でも副業が解禁された2018年は「副業元年」と呼ばれ、副業が身近なものとなりつつあります。既に始めている人はもちろん、「これから副業を始めたい」と考えている人も、たくさんいるでしょう。

でも、休日をつぶして「お金になるけど意に染まない」仕事を黙々とするのでは、収入の足しに行う週末アルバイトとあまり変わりません。ではどうしたら良いのでしょうか。

人生を変えるワクワクする副業を見つけたいなら

「権限が得られる。自信が得られる。そして、保障が得られる。金銭面においても、そして自分の力で未来のチャンスを切り開けるという事実においても」という、「人生を変える」副業を勧めるのが、起業家のクリス・ギレボー氏。

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クリス・ギレボー氏
Photo: Facebook

『1万円起業』や『その仕事でいいのかい?』など、個人の働き方に関する書籍を書いているギレボー氏は、新刊『0円副業のススメ』(中西真雄美訳/小学館集英社プロダクション)の冒頭で、上のように述べています。

収入も大事ですが、「ワクワク」しない副業ではダメ。これは、ギレボー氏のポリシーの1つです。

そのためにまず行うのが「アイデアで武装せよ」。

自身が提案する副業をスタートさせるまでの27日間計画の最初の数日間は、どんな仕事内容にすべきか? そのアイデア出しに費やすべきとギレボー氏は言います。

では、副業アイデアは、どう生み出し、どうあるべきでしょうか? 本書をもとに、かいつまんで紹介します。

アイデアのメリットを1~2センテンスで説明できるか

副業を考えた時点で、漠然とした構想が頭の中にあると思います。でも、その「コンセプトの主なメリットを1~2センテンスで説明できるだろうか?」とギレボー氏は問いかけます。これができない場合、「考え直してみる必要」あり。

潜在顧客にとってメリットが明確でないなら、それにお金を払ってくれる見込みはないからです。

また、短く説明できても、実行可能性がない、利益が見込めないのも当然NG。

例えば、「クレジットカードや現金での支払いを好まない人たちに向けて、支払いの新たな形態を提案するアプリ」というような内容は、気宇壮大で経費がかかるばかりで難しいでしょう。

アイデアをゼロから生み出すコツ

ギレボー氏は、アイデアを生み出す1つの手段として、ブレインストーミングを挙げています。

一方で「あなたのまわりには利益の見込めるアイデアがいくらでも転がっているが、まずはそれを見つけだそうとする思考態度をもつことが大切だ」とも説きます。

つまり、頭の中で考えをめぐらすより、外を見るべきだということです。

例えば、車を運転している時に、他のドライバー、道を歩く人たち、カフェの前で行列を作っている人たちを観察し「彼らに何が必要だろう?」と自問するのです。

そこから、以下のように何かしらアイデアの種が見つかるものです。

・最先端のカフェがビルの1階に入っていない職場の人たちに、淹れ立てのコーヒーを配達する。

・多忙な人々のお手伝いをする“ライフ・オーガニゼーション”サービスを起ち上げ、1週間のスケジュールを立てたり、相手の用事も済ませてあげたりする。

ただし、本書に記されているこれら2つのアイデアは「手始めとしてはいいだろう」のレベル。

ギレボー氏は、「もっとしっかり目を配れば、さらに優れたアイデアや高い利益の見込めるアイデアが見つかるはず」と、はっぱをかけます。

そうしたアイデアを、以下に説明するように「上級者のアイデア」と呼んでいます

初心者のアイデアと上級者のアイデアの違い

ギレボー氏は、一口にアイデアと言っても、初級者のアイデアと上級者のアイデアがあると述べています。

■初級者のアイデアとは?

例えば、(相乗りサービスの)Uberに登録してドライバーになること。

都合のよい時間に働け、料金の大半は自分のもとに入ってくるという利点はありますが、「それでも、やはり深刻な限界を抱えている」と指摘します。

理由は、ほかのドライバーとの競争が激しいことや、使える時間が限られ、どうしても時給単価が頭打ちになりやすい点。

■上級者のアイデアとは?

Uberで言うなら「ほかのUberドライバーを指導すること」。

「ライドシェア・ガイ」というオンラインコミュニティを立ち上げ、Uberドライバーを指導したりして収入を得ているハリー・キャンベルが、その具体例です。

■上級者のアイデアの特徴は?

上級者のアイデアに共通するのは、「提供できる顧客の数に限界がないか、何度でも補充ができる市場」があること。もし複数の副業アイデアがあって迷うなら、この条件を満たしたものを選びましょう。

チャンスとハードルを天秤にかける

どんなアイデアであっても、「ハードルとチャンスがついてくるはず」と、ギレボー氏は言います。

ハードルとは制約条件のことで、見込める利益に照らしてこれら2要素を天秤にかけ、アイデアが副業として実行可能なものか見極めるのが大切とも。

例として、ウェディングカメラマンの写真処理の補助が挙げられています。

この副業アイデアのハードルは、「専門的な知識や技術が必要とされるうえ、絶えず手作業を続けなければいけない(自動化できない)、季節に左右される」というもの。

それに対してチャンスは、仕事は途絶えず、一定の収入が見込める点。

ブレインストーミングに基づく論理的直観と、人に聞いたりウェブで調べるなどのささやかなリサーチを踏まえて、ハードルを上回るチャンスがあるかどうか判断するよう、ギレボー氏はアドバイスします。


もう1つ、これは大事なことですが、アイデアは「3つ以上考える」ことが求められています。なぜなら次のステップで互いに比較評価し、どれが自分の副業としてベストかを絞りこむためです。

「1つ考えるだけでも大変だよ」と思われるかもしれません。でも、上記でまとめた以外にも、本書にはアイデアを出すヒントが盛り込まれています。そして、アイデアを孵化させ、世に出し、改善を加えるまでの27日間にわたるプロセスについても、詳細に解説されています。

「副業を始めたいけど、何からしてよいのかわからない」と足踏み状態であれば、一読してはいかがでしょうか?

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Source: 『0円副業のススメ

Image: Gettyimages