- アメリカでは「ロックスター」や「ニンジャ」が仕事の肩書として一般的になりつつある。
- 企業は「アソシエイト」といった肩書を廃止する一方で、若い従業員にアピールする1つの手段として「エバンジェリスト」といった肩書を導入している。
- 調査によると、新しい仕事の肩書は、会社における自身の役割の見直しにつながるという。
新たな仕事に応募するとしたら、「マーケティング・ブランド・マネジャー」と「ブランド・エバンジェリスト」、あなたならどっち?
アメリカでは、大半が後者を選ぶだろうと企業は考えている。
最近では、新たな応募者を引き付け、退屈な企業イメージを刷新するために、目新しい仕事の肩書を追加する企業がますます増えていると、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。
こうしたちょっと変わった肩書は、特にテック業界では新しいものではない。「チーフ・インスピレーション・オフィサー」や「チーフ・ロックスター」といった肩書は10年ほど前からある。
しかし、こうした動きがじわじわと広まり始めているのだ。
例えば、インディアナ州インディアナポリスに拠点を置く金融サービス会社「OneAmerica」では、「データアナリスト」の肩書を「データラングラー(注:データの世話をする人という意味)」に変えた。
同社のデータ・アンド・アナリティクス担当のバイスプレジデント、トッド・ショック(Todd Shock)氏は、肩書の変更によって若い応募者に対し、「古くて偏屈」ではなく、リスクを恐れない、イノベーティブな企業であることをアピールできると、ウォール・ストリート・ジャーナルに語った。
「名刺に『データラングラー』と書くことで相手の注意を引き、おもしろいと思ってもらえるなら、そうしない理由はないでしょう? 」と、ショック氏は言う。
職場に関する調査によると、肩書は自身の仕事に対する感じ方を左右する重要な役割を果たす。
ペンシルベニア大学のビジネススクール、ウォートン・スクールの教授が行った2014年のある研究では、ボランティア団体「メイク・ア・ウィッシュ」のミッドウェスト支部で新たな肩書を得た従業員の85%が、肩書が変わったことで気持ちの部分でプラスになったことが分かった。
ビジネス誌ファスト・カンパニー(Fast Company)によると、研究者らはこう書いている。
研究の結果、従業員が自らの精神的な消耗を減らすために積極的な役割を果たすことのできる、これまでにない実践的なプロセスが分かってきた… リーダーが従業員に、それぞれに合った肩書を通じて自身のユニークな価値を反映させるよう推奨すると、従業員は自らのアイデンティティーを表現することができる。
そうすることで、肯定感や心理的安全性を増し、精神的な消耗を減らすことに貢献する。
言い換えれば、仕事の肩書を変えることで、日々の自身の役割に対する感じ方も変わるということだ。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、ペンシルベニア州フィラデルフィアのある靴磨きのチェーン店が、スタッフを「シャイン・アーティスト(shine artist)」と呼ぶようになったと報じた。
ウォートン・スクールの研究によると、そうすることで従業員は自らの仕事を味気ない労働ではなく、インタラクティブかつクリエイティブな仕事だと認識し、セルフイメージを向上させることに役立つようだ。
BUSINESS INSIDER JAPANより転載(2018.11.19)
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