私は最近、職を失いました。突如として、失業者としての生活に適応しなければならなくなったのです。
もっとも私はジャーナリストなので、たとえ解雇されても、当面のためにフリーランスの仕事を探すことができます。その点は、ほかの職業の人たちとは異なるかもしれません。とはいえ、襲いくる不安に飲み込まれそうになりながら、次のステップを模索しなければならない点では変わりません。
心理学者で『The Stress-Proof Brain』の著者であるMelanie Greenberg博士は、この苦難の時期は、2つの重要なタスクに集中すべきだと言っています。1つは、新しい仕事やキャリアパスを探すこと、もう1つは、心の健康に気を配ることです。
今回は、そんな苦難の失業期間に、絶望に陥らず、借金を回避し、できるだけ早く新しい職を探すための戦略を紹介します。
心の健康に気を配る
Greenberg博士は、突然の解雇にあったときに重要なのは、当然ながら、将来のキャリアについて、綿密な計画を練ることだと話します。博士はこう言います。
キャリアを再建する方法を探ってください。新しい仕事を探すのはもちろん、自分に何ができるかを大局的な視野から眺めてみることも重要です。いくつかの仕事を並行してやる必要も生じるかもしれません。
また、失業期間は心の健康に気を配ることがとくに重要となります。
心の健康のための時間をとり、感情のケアをしてください。抑うつ状態にならないように気をつけます。運動する時間をつくり、社交の場に出かけてください。ボランティア活動に取り組むのもよいでしょう。
さらに、Greenberg博士は瞑想を勧めています。瞑想に取り組むことで、心の状態をチェックし、「自分ではコントロールできないものをコントロールしようと」して消耗するのを避けることができます。(収入が不安定なときに有料のコースにお金を払う必要はありません。無料の瞑想アプリがたくさんあります)。
失業期間は、人間関係を育み、自尊心を高める良いチャンスでもあります。自分に価値があると感じられますか?
自分の特質とは何かを考え、その特質に価値を置いてくれる人びとを探してください。人はときどき、自らを孤立させてしまいます。そして、その心境を誰にも打ち明けようとしません。それでは、気持ちが落ち込んでいくばかりです。
Greenberg博士は言います。たとえば、私は、できるだけ多くの社交の集まりやネットワーキングイベントに出かけるのが有効であることがわかったので、親友がブルックリンでギャラリースペースを開くのを無償で手伝ったりしていました。
また、Greenberg博士は、人と関わるのは重要だが、個人的なことをすべてさらけ出す必要はないと言っています。職探しの状況について聞かれたら、「いま何件か当たっているところです」などと答えておけばいいそうです。
フルタイムで働いている人たちの多くが、同じような不安を抱えているのが現代であるということを覚えておくのも重要です。Greenberg博士はこう言います。
状況が厳しくなっている業界もあります。仕事の在り方にも変化が起きています。それがグローバリゼーションなのです。
ネットワーキングイベントや企業訪問で初めて会う人と話すときは、そうした不安を悪いこととは思わず、積極的に受け入れる姿勢で臨めば、対処しやすくなります。
公の場で人と話すこと自体が緊張するものだということに気づいておくだけでも違います。それはごく普通のことであり、たとえ緊張をしていても、人とうまくコミュニケーションをとることはできる、と自信を持つようにしてください。
毎日のルーティンを確立する
まだ新しい仕事を見つけていなくても、毎日のルーティンを確立して生活を秩序立てておくことは重要です。そうすることで、心の健康のための時間、フリーランスの仕事、職探し、のバランスをうまくとることができます。
働いているときと同じようにスケジュールを決めて生活することはとても重要です。とはいえ、必ずしも9時から5時である必要はありません。規則正しく生活することで、コントロールの感覚を得ることができます。集中すべきタスクがあれば、抑うつにもなりずらくなります。
とGreenberg博士。私の経験でも、できるだけ失業以前の生活を維持することが助けになることがわかりました。妻とともに7時ごろに起床し、朝の家事をこなし、その後、フリーランスの仕事をしたり、職探しをしたり、ローカルニュースを追いかけたりといった時間を持つようにしていました。
また、フルタイムで働いていたときと同じ服装をして、同じオフィススペースでフリーランスの仕事に取り組み、できるかぎりプロフェッショナルな空気を作り出すように努力しました。
「focus booster」などの時間管理アプリを利用して、タスクに集中する時間と、休憩したりメールをする時間をきっちりと管理するのも良い方法です。また「Googleカレンダー」で1日をブロックに区切り、9時〜12時は職探し、12時〜1時は昼食、1時〜3時はフリーランスの仕事、4時〜5時はジム、など、間に休憩時間を設定してもよいでしょう。
もう一つの選択肢:
私の友人で成功しているライターがいますが、彼女はe.ggtimer.comのカウントタイマーを利用して、仕事の集中力を保っているそうです。これは多くの人が心酔しているポモドーロ・テクニックのバリエーションの1つ。たとえば、ウェブサイトの更新をするときに、30分のタイマーをセットします。重要なのは、その作業が終わるまで、ほかのことに気を散らさないようにするということです。
小さくて具体的な目標を設定する
毎日、毎週のルーティンを通して達成できる、具体的な目標を設定するのも有効です。新しい職を探す、キャリアを変えるといった壮大な目標を目の前にすると、どうしていいかわからなくなってしまうもの。履歴書をつくる、LinkedInで5人とつながる、などの小さくて具体的なステップに分解すれば、1つ1つに集中して取り組むことができます。
1日をブロックに分割し、仕事につながりそうな人に連絡をとる、求人情報を調べる、健康のためにヨガをする、などのタスクを割り当てていきます。こうしたタスクはすべてToDoリストに書き込み、完了したらチェックをつけましょう。
それに加えて、週間の目標も立てるようにします。たとえば、少なくとも3人の有望顧客をコーヒーミーティングに誘う、少なくとも3件の求人に応募する、などの目標を設定します。
目標を達成したときの報酬を決めておくのもオススメです。たとえば、雇い主になる可能性のある人や、仕事を紹介してくれそうな人と面会できたときは、Netflixでお気に入りのドラマを見る、などのご褒美を自分に与えます。
ダラス在住のファイナンシャルプランナーCathie Brewer氏は、 目標を設定するのも重要だが、就職面接などが入ったときのために、スケジュールを柔軟にしておくことも大切だと言っています。「求職者側には、権限(面接の日程を決めるなどの)はあまりない」とBrewer氏は指摘します。
同氏は、急な面談が入るなどのケースに備えて、目標を設定するときは、週単位にしておくほうが良いと言っています。たとえば、週に5件の求人に応募する、などの目標を立てておきます。自ら設定したスケジュールが厳しすぎるせいで、せっかくのチャンスを逃してしまっては意味がありません。
家計を見直す
Brewer氏は、失業したときに、お金関係で気をつけるべきことが3つあると言っています。それは、早めに医療保険を検討する、予算計画を見直す、退職年金に手を付けないようにすることです。
突然失業すると「呆然として寝たきりのようになってしまう」のは、理解できなくはないが、それでは、COBRA(医療保険制度の1つ)の申請など、失業してから30日以内にすべき重要な決断ができなくなる、とBrewer氏は指摘しています。
失業という不安定な時期は、「必要なものと、欲しいものとを区別して、リストをつくるよい機会でもある」とBrewer氏は言っています。「すべての出費を、必ずどちらかのカテゴリーに振り分けるようにします」。
また、健康を維持したり、ストレスを軽減するために、ジムに通うべきだと考えたのなら、ジムに高いお金を払うかわりに、利用料が安いコミュニティセンターを利用するか、朝、近所をランニングするなどの選択肢を検討してください。
401k(確定拠出個人年金制度の1つ)を取り崩すのはできるだけ避けること。
「これは、本当に最後の手段にするべきです」とBrewer氏。「401kに手を付けずにすませば、ペナルティや税金を余計に払うこともありません。いちど手を付けてしまえば、元の状態に戻すことはほとんど不可能となります」。
結局、こうしたことのすべてはつながっています。心に健康に気を配り、毎日を秩序立てて生活し、達成可能な目標をこなしていくことで、退職年金に手を付けるような性急な決断を避け、新しい仕事やキャリアに向けて、最善の道を歩むことができます。
また、スケジュールをつくって規則正しい生活を送り、心の健康のための時間を確保することは、新たに到来したギグエコノミーを生き抜くためにも重要なことでもあります。
「難しい時代です。私たちは新しい課題に直面しています」とGreenberg氏。「新しい状況に適応する方法を学ぶことこそが、最も重要なことかもしれません」。
Image: Sam Woolley/GMG via Lifehacker US
Source: The New York Times,focus booster, e.ggtimer.com
Reference: amazon
Ben Fractenberg - Lifehacker US[原文]