私はたくさんのサイド・ハッスル(副業)をしています。「ブログ」「ポッドキャスト」「コメディ動画の制作」「ツイート」など、もともと趣味ではじめたことの多くが仕事になっています。縁あって、『The Hustle Economy: Transforming Your Creativity Into a Career』(ハッスル・エコノミー:クリエイティビティをキャリアに変える)という本にも寄稿しました。でも、これだけは言わせてください。趣味は、何の役に立たないものでも構わないのです。

一部の趣味では、それが自明です。私の父は、ラジコンカーのレースに出たり、チャリティの自転車ツアーに参加したり、ヨットを自作したりしていました。父にとって、それらの趣味は楽しいからやっているのであり、それ以上でもそれ以下でもありませんでした。当然、それらを副業にすることもありませんでした。

それなのに、最近の世代は、趣味は何かにつながらなければダメと思ってしまうふしがあります。料理好きならその特技を使って稼いだらと言われたり、クラフトが好きならそれをどこかで売ったらどうかと言われたり、文章がおもしろいと本を書くように命令されたり。

確かに、好きなことをして生きられたら、どんなに楽しいことか。でも、実際に仕事にすると、厳しさを知ることになるのは目に見えています。その証拠に、料理好きな人がみんなレストランを経営しているわけではないし、パーティで面白い人がみんなコメディショーに出ているわけではありません。

趣味を副業にすると、状況が一変します。既存のすべてのリスクが高まると同時に、その頂点にお金という概念が加わります。どのプロジェクトも、利益を優先せざるをえなくなります。必然的に、多少なりとも犠牲にして優先度を下げなければならないことが出てきます。お客さんの満足度、従わなければならない規制、支払わなければならない税金などが増え、あなた自身のやる気にも影響します。すべてをうまく回し、メールに対応し、クライアントのフォローまでしなければならないのです。営業トークや広告出稿、出張も発生するかもしれません。

稼ごうと思いはじめる前は、たとえ目標を達成できなくとも、あなたの気持ちは満たされていたことでしょう。ところが仕事にしてしまうと、いくら気持ちが満足していても、お金が稼げなければそれは「失敗」を意味します。がんばればがんばるほど、失敗が大きくなっていくのです。

もちろん、その失敗が何かにつながることもあります。より稼げるようになるためのステップになるかもしれません。行き詰まったキャリアや方向性を見失った人生を救うきっかけになるのであれば、それはとてもすばらしいことです。

でも私は、誰もがそれをすべきとは思いません。趣味をお金に換えている人が、そうでない人より優れているわけではないのです。逆に、かつてはお金のためにやっていたことを、趣味にするのも1つの方法です。

1年ほど前、redditにこんな書き込みがありました。

週に6日、寝る間も惜しんで働いていました。シナリオで稼げるようになるという夢のために、自分自身と社会的生活を犠牲にしていたのです。でもその途中で、プロのシナリオライターになるのはとうてい無理だと気づきました。賞の締め切り前に、酒を飲み過ぎて本当に死にかけたのです。

そして彼は、書くことではなく「副業」をやめました。

私はタオルを投げ入れました。夢にではなく、スケジュールに。「ちくしょう、俺には生活が必要だ」と思い、そうすることにしたのです。私は、働くだけでなく、生活もするようになりました。旅行もしました。そして、書きたいときに書くようになりました。今は誰かのためや何かのためではなく、自分が書きたいことを自分のために書いているんです。

皮肉なことに、自分の作品や活動のクオリティに集中することで、よりお金になるものを作れるようになるかもしれません。でも、これはキャリアを前に進めるための「トリック」ではありません。サイド・ハッスルの「ハッスル」をあきらめ、純粋に楽しむための、自分への正当な許可なのです。

趣味そのものに没頭することで、いずれ質が高まってきます。すると、「お金になるからいい」のではなく、「いいものはいい」と考えられる自分に気づくでしょう。


Image: Ade Olu Eletu/nappy

Source: Amazon, reddit

Nick Douglas - Lifehacker US[原文