インパクト投資が人気です。それもそのはず。市場でお金を増やしたいと思いつつ、好きでもない企業にお金をつぎ込むのは避けたいというのが人情ではないでしょうか。
ミレニアル世代の投資家を対象とした最新の調査によると、現在インパクト投資をしている人と今後計画している人を合わせると、実に78%にものぼります。これはおそらく、インパクト投資をすることで、自分が重視する理念を支援できるからだと思われます。
インパクト投資の規模と有効性を高めるNPOのGlobal Impact Investing Network(GIIN)でリサーチマネージャーを務めるHannah Schiffさんはこう説明します。
インパクト投資は、投下資本が持つ莫大な力をつないで、世界で急務となっている社会・環境問題に対応できるというユニークなポテンシャルを持っています。
インパクト投資とは?
インパクト投資の詳細を論じる前に、もう少し広義の「社会的責任投資」(SRI)について説明します。
Investopediaによると、SRIとは「企業が行なっているビジネスの性質」を考慮した投資のこと。つまり、タバコ会社や石油会社は避けるとか、社会的あるいは環境ミッションを持つ会社を求めるなど、基本的に投資家が倫理感を持って行なう投資のことを指します。
SRIに関する言葉の定義は人によって異なり、あまり区別されずに使われていますが、少なくとも、タバコ、武器、ギャンブルなどの産業を避ける「ネガティブスクリーニング」を伴うというのが一般的な認識です。
次の段階が、「環境、ソーシャル、ガバナンス」(ESG)投資です。企業は、従業員の公平な扱いや環境に優しい慣行など、一連の基準をパスしなければなりません。
この種の投資には、多くの企業が参入しています。Bettermentは社会的責任投資(SRI)ポートフォリオを提供しています。Wealthfrontでは、化石燃料、森林破壊、武器、タバコのカテゴリーに属する企業を除外できます。Stashは「Do the Right Thing」というETFを販売しています。Wealthsimpleは複数の社会的責任ETFを販売しています。大手投資ファームのVanguardも「特定の社会的、人権、環境基準でスクリーニングした大型および中型株のベンチマークとする」ソーシャルインデックスファンドを提供しています。

さらに対象をしぼったSRIがインパクト投資です。ターゲットは、社会または環境問題の解決に取り組む企業。インパクト投資なら、自分のサポートしたい理念と、その理念に集中する企業だけを正確に選ぶことができます。たとえばあるインパクトファンドでは、電気自動車を開発しているTeslaや、省エネと節水を同時に実現するポンプを設計しているXylemに投資ができます。
あるインパクト投資ファームは、このように説明しています。
社会的責任投資ファンドマネージャーは一般的に消極的アプローチを採用しており、インパクト投資ファンドは通常、ポジティブなインパクトを生み出すことだけでなく、そのインパクトを透明な方法で測定・報告することも追求します。
インパクト投資の利益率
多くの投資家がインパクト投資の利益率の低さに不安を抱いていますが、必ずしもそうではないことを歴史が証明しています。広義のSRI投資でいえば、たとえば1990年に始まった初期のSRIファンド「MSCI KLD 400 Social Index」が好例です。ESGレーティングの高い企業を対象とした同ファンドは、1994年以降年換算利回りで9.89%を記録しており、これは「S&P 500」の歴史的な平均利回り9.8%に匹敵する値です。
では、狭義のインパクト投資はどうでしょう。GIINとCambridge Associatesが2015年に行なった調査では、51のインパクト投資ファンドの「ベンチマーク」を分析しています。その結果、正味内部利益率(IRR)は6.9%でした。これに対し、705の民間投資からなる「比較対象」の利益率は8.1%でした。
ただし「近年はパフォーマンスの大半が発揮されていない」とのこと。1998年〜2001年に発売されたファンドに注目すると、インパクト投資の利益率は15.6%と、比較対象の5.5%を凌駕しています。

かなり有望なデータですが、実際は限定的です。ベンチマークとした51のファンドの総資産64億ドルに対し、比較対象の705のファンドは2930億ドルにのぼります。
さあ、始めよう
あなたが決めた理念をサポートする企業を、個別に選んで投資することは可能です。そのプロセスを容易にしてくれるツールもあります。たとえば、GIINの「ImpactBase」なら、400を超えるインパクト投資手段から検索することができます。
リスクなしで試してみたいなら、MarketWatchの「Mockfolio」のようなツールで、インパクト企業のバーチャルポートフォリオを組んでみましょう。さまざまな選択肢について、パフォーマンスを見ることができます。もっと自動化したいなら、下記のプラットフォームをお試しください。
- 「Motif Investing」:持続可能(サステイナブル)な地球、公正労働、善良な企業行動に注目したインパクトポートフォリオを提供しており、2017年3月の発売以降、それぞれ5.16%、7.51%、7.13%の利益率を記録しています。最低投資額は1000ドル、月間手数料9.95ドルです。
- 「OpenInvest」:3000ドルで、LGBTQの権利、女性リーダー、反トランプ大統領などの価値観に投資できます。年間手数料は資産の0.50%。利益率について、共同創設者でチーフストラテジーオフィサーのJoshua Levin氏はこう述べています。
個別のポートフォリオを提供しているので、1つ1つが少しずつ異なります。ただし、当社では消極的投資しかしないので、設計上すべてのポートフォリオのパフォーマンスは市場の1~2%に収まります。これまでのところ、予想通りのパフォーマンスを発揮しています。
もっとも始めやすいのがSwellでしょう。最低投資額50ドル、年間手数料0.75%と安いうえに「グリーン・テクノロジー」「再生可能エネルギー」「廃棄物ゼロ」「きれいな水」「健康的な生活」「病気の根絶」の6つのポートフォリオに対し、自由にお金を配分できます。各ポートフォリオには、その理念で収益を得ており、リターンが得られそうな50〜60の企業が含まれます。
6つのうち、過去1年でもっともよかったのがグリーン・テクノロジーで、利益率は30%を超えました。Swellの創設者兼CEOのDave Fanger氏はこう言います。
お客様ご自身の価値観に基づく投資が可能であることが、明らかになってきました。
GINNのSchiffさんはこう言います。
最低でも、自分のお金がどこに投資されているか、軽く調べてみてください。あなたは、そのファンドが支援している企業に納得できますか?
Image: Sebatien Coell/Shutterstock, Swell, GIIN
Source: GIIN(1, 2,)PR Newswire, Investopedia, Betterment, Wealthfront, Stash, Wealthsimple, Vanguard, TriLinc Global, MSCI, CNBC, ImpactBase, MarketWatch, Motif Investing, OpenInvest, Swell
Susan Shain - Lifehacker Two Cents[原文]