敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回は子ども向けロックバンド「Caspar Babypants」のクリス・バリューさんの子育て術です。

──クリス・バリューさんって何をしている人?

クリス・バリュー(Chris Ballew)さんが90年代のオルタナティブ・ロックバンド「The Presidents Of The United States Of America」のボーカルであることはご存知かもしれません。

でも、8歳未満の子どもの間では、子ども向けの曲を歌う「Caspar Babypants」というバンドのおじさんとして有名かもしれません。「Caspar Babypants」は、ファミリーフレンドリーな曲を歌う「子ども向けロック」のアイコンです。

2人の子どもを育てた経験豊かな父親でもあるバリューさんに、子育て術をシェアしてもらいました。

氏名:クリス・バリュー

居住地:シアトル

職業:エンタテイナー

家族構成:メアリーリン・バリュー(元妻)、ケイト・エンドル(妻)、オージー(21歳)、ジョージー(18歳)

──どんな音楽を聴いて育った?

私が子どものころは、ビートルズはまだあまり有名ではありませんでしたが、とにかくビートルズ一色でした

1967年に発売された『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』のレコードを手に入れた私は、ずっと後になるまで、この世に他のバンドがあることを知りませんでしたし、5歳になるまで、ビートルズが他のレコードを出していることも知りませんでした。

シュールなビジュアルの世界に連れて行ってくれるこのアルバムの手法が大好きだったので、そのトーンが今の私の曲作りに大きな影響を与えています。

──家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り? それとも予想外のことが多かった?

すべてが驚きの連続でした。

私のクレイジーな人生はどこへ向かうのかまるでわかりませんでしたが、むしろ、そんなふうにオープンな可能性を感じていたことが、その後のすべてにつながったのかもしれません。

私は音楽で成功するつもりでいましたが、曲を書く仕事を生業にすると決めた時点では、想定していた結果からは程遠い状態でした。

キャリアと家庭が同時に始まり、すべてが一気に変化しました。五里霧中でしたが、スリリングでもありました。

アドレナリンが盛んに出たおかげで、2〜3年の間、睡眠不足の夜とロックンロールツアーをしのいだ感じです。

──朝のルーティンは?

子どもたちが小さいころは、妻がゆっくり眠れるように、私が子どもたちと一緒に早起きしていました。親として、私の人生で一番素晴らしい瞬間でした。

すべてが静かで、我が家はカスケード山の景色が見える東向きなので、光の変化を観察したり、ほんわかした可愛い赤ん坊と一緒に過ごすのは、一日の中で最高の時間でしたね。

最近は、子どもたちも大きくなって家を出たので、私のルーティンは少し変わりました。朝は7時30分頃に起きて、気功を30分間行い、軽い朝食を食べます。生まれたばかりの赤ん坊がいたころに比べると、心に残るようなことはずっと少なくなりました。

──どのように子どもを仕事に関わらせている?

子どもたちがまだハイハイもできないころ、私は子どもたちを毛布に寝かせて、「パパは君が大好きだよ」という主旨の曲をアドリブで歌っていました。

ですから、子どもたちは、間違いなく「曲を書く」という私の仕事に関わっていました!

後年、子どもたちは私と一緒に曲を書いたり、私のショーで商品を売ったりして、手伝ってくれました。

──お気に入りの変わった儀式はある?

家族全員で夕食のテーブルに着くと、みんなで小指をつなぎあうか手を握りあい、そのまま両手を宙に高く上げて、深く息を吸い込みます。

それから、その息を吐き出しながら、両手を下げます。これをすると、みんなの気持ちが落ち着きます。

──今のリラックス方法は?

瞑想したり、林を散歩したり、汚染されていないきれいな食べ物を食べます。体に良いことをすると、リラックスできます。

──親として一番誇らしく思う瞬間はどんなとき?

子どもたちが巣立って、自立した人間になっていく姿を見るときが、一番誇らしく思う瞬間です。私は子どもが生まれる前から、親の仕事は、親から巣立って世の中に出て行き、人の役に立つ健康で前向きな人間を育てることだと思っていました。

私の子どもたちは、今、自力でそういう人生を歩み始めたばかりで、その姿を見ているときが、親として一番誇らしい瞬間です。

──子どもたちにはあなたのどんなところを見習って欲しい?

クリエイティブに考え、自分の望む生き方を見つけて、自力でそれが実現することを学んでほしいと思っています。

自分らしくないシナリオを生きることほど、破壊的なことはありません。ですから、まず自分自身を知り、今、この瞬間の感覚に基づいて選択して欲しいのです。

私自身が苦労の末に達成したことなので、子どもたちが私を例にして学んでくれたらと思っています。

──どうしたら早いうちから子どもに音楽のすばらしさを教えられる?

家で音楽を演奏するのがベストな方法です。

子どもたちと、ばかばかしい曲を作ったこともやって良かったと思うことです。

わざわざレッスンするのではなくて、おかしな曲を何となく一緒に聞いたり、歌ったり、作ったりしていると、親子の絆が強くなります。

──今までもらった子育てに関するアドバイスで心に残っているものはある?

Adele FaberとElaine Mazlishが共著した『How To Talk So Your Kids Will Listen and Listen So Your Kids Will Talk』は、我が家では「人間取扱説明書」みたいなものでした。

電話機の横に置いておき、手におえない状況になったときは、すぐそれを参考にしたものでした。

この本の著者は、有名な心理学のJohn Gottman教授と共に研究した人たちなので、この本を読むと、共感を通して親が子どもと結びつく方法を学ぶことができます。

子どものニーズを、たとえそれが非現実的だったり実現不可能であっても、本気で耳を傾けると、子どもは自分の話を聞いてもらっていると感じて、望むものが手に入らなくても心強くなり、自分は気にかけてもらっていると思って安心します。

その安心感があれば、子どもは成長するに連れて自意識を持ち、他人に対して自分が求めるものを表現できるようになります。

──子育てとキャリアを両立させている親御さんたちに伝えたい一言

子どもにあなたの本当の姿を見せてください。

それには、まず、あなたが本当の自分を知る必要があります。大変なキャリアを歩んでいても、世の中のためになるというスタンダードを反映しているキャリアなら、子どものお手本の1つとなり、子どもはさまざまなことをそこから吸収します。

親が自分自身を良く知れば、子どもは親を見習うでしょう。

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Image: Caspar Babypants/Lifehacker US

Michelle Woo – Lifehacker US[原文