敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ子育て術「HOW I PARENT」シリーズ。今回は子ども向けデジタルトイ開発会社Toca Bocaの社長を務めるキャロライン・インゲボルグさんの子育て術です。
キャロライン・インゲボルグさんって何をしている人?
キャロライン・インゲボルグ(Caroline Ingeborn)さんはスウェーデンに拠点を置く子ども向けデジタルトイ制作会社Toca Bocaの社長兼COOを務めています。
(私の5歳の娘もToca Hair Salonでお客を丸刈りしたり、Toca Pet Doctorで鳩に包帯を巻いたり、Toca Kitchenで得たいの知れない飲み物を作って楽しんでいます)
インゲボルグさんはToca Bocaのサンフランシスコ支社をオープンするために、スウェーデンからアメリカに移り住みました。
『ゲーム空間には、より多くの人々が遊べる製品を作る重大な責任がある』という信条をもつ彼女は、キャリアと幼い子ども(2人目が間もなく生まれます)の母親業をどのように両立させているのでしょうか。
──最初に、家族とキャリアについて。ここまでの人生は概ね計画通り?それとも予想外のことが多かった?
夫とはずいぶん前に出会いました。
2人とも人生を楽しみ、やりがいのある仕事をすることを第一に考えていたので、子どもを持つのに 「最適なタイミング」などありませんでした。
ただ10年以上2人で暮らしているうちに、私も年を取ってきたので、
「今も子どもを持つのにベストなタイミングでないことはわかっているけれど、子どもを持つ時期はコントロールできない。お互い、いつか子どもが欲しいと思っているなら、もう子どもを持つようにすべき。都合の良いタイミングなんか決して来ないんだから」と夫に言いました。
そして、私たちは子どもを持つことに決めました。しばらく時間がかかると思っていましたが、幸運なことに、あっという間でした。
私が妊娠したときは、ちょうどToca Bocaを売り出している真っ最中だったので、私は二の足を踏んで、夫と共同設立者の両方に泣きながら「これ以上最悪のタイミングはないわ!」と言った覚えがあります。
すると「違うよ、子どもを持つタイミングに良いも悪いもないよ」と。その通りでした。
私の出産休暇は、Toca Bocaを売り込み、あちこちで会議に出席すべく奔走していたので、ストレスだらけでしたが、他にやりようがなかった。でも、親になることはすべてに打ち勝つのです。
──朝のルーティンは? スムーズに出勤する裏ワザは?
Toca Bocaは、スウェーデンに大きなスタジオがあるので、私は平日の半分ぐらいは早朝に電話会議をしています。
私が電話会議をしている朝は、夫のギュスタフが100%テディの面倒を見てくれます。残りの日は、私が子どもの面倒を見て、彼はボクシングに行きます。
ですから、ナニーが到着するまで、夫と私で半々に子どもの面倒を見ていることになります。
でも、テディが幼稚園に行くようになると、朝の過ごし方は劇的に変わるはず。 正直言って、そのときはどうしたらいいのか、まだまったく考えられません。
──パートナー以外に、誰からどの程度育児を手伝ってもらっている?
ずいぶん助けてもらっています。
ナニーのタニアなしでは生きられません。彼女は実在するメリー・ポピンズみたいな人。
テディのためにこれ以上ないほど素敵な毎日にしてくれるだけでなく、グスタフと私が良い親になれるように手助けしてくれています。こんな人は他にいません。
── 「これがないと生きられない」というガジェット・アプリ・チャート・ツールは?
特にサンフランシスコとストックホルムのオフィス間の時差に常に直面しているので、この2つがなくては仕事ができません。
家では、Sago Mini Worldという低年齢の子ども向けの古いToca BocaアプリとYouTubeを使っています。
──子育てをするようになってから仕事のやり方は変わった?

親になって、仕事の仕方が劇的に変わりました。
前はオフィスに遅くまで残っていることが好きでした。会議もなくて静かなので、仕事がとてもはかどるからです。
実は、以前していたことの多くを今はもうしていません。自分にしかできない仕事は何だろうと考えて優先順位を付けることがうまくならざるを得なかったからです。
それから、情熱を傾けられる作業やプロジェクトを常に抱えるように心がけています。楽しく仕事を続けていくには、仕事に情熱を持てることがとても大切です。それが簡単にできるところで働けてラッキーです。
──夜のルーティンは何をしている?
私が出張中以外は、たいてい午後5時にテディが待つ自宅に帰ります。娘は食事を済ませたところか、食べようとしている頃です。
夕食の後は、娘が何をして遊ぶか決めて、しばらく一緒に遊びます。
今は、家で即興音楽を奏でるジャムセッションをしていて、娘がいつ誰がどの楽器を弾くか決めます。私は当面、一番小さいドラム担当で、出番はほとんどないのですが、ためにスローなドラムをたたいています。
それからお風呂の時間です。
たまには私も娘と一緒にお風呂に入ることもあります。お風呂からあがった娘が裸で走り回っている頃に、パパが帰宅します。
娘にパジャマを着せて、歯を磨き、友達が来ていないときは、長いお話を読む時間になります。パパとママのどちらが何を読むかは娘が決めます。長いお話を読んだ後は、明かりを消して娘はベッドへ。
それから、私は仕事に戻ることが多く、その間に夫が私達2人のために夕食を作ります。
──今のリラックス方法は?
私の場合、調子が良いときは、エクササイズをするか、新しいプロジェクトを始めます。
あとは、読書したり、友人に会ったり、旅行をしたり。
調子が良くないときは、エクササイズを少なめにして、テレビを見る量が増えますね。
また、自分の行動を観察することで、自分が今、調子が良いかどうかトラッキングするようにしています。そうすれば、自分が物理的にしていることをもとに、今の自分の状態を簡単に把握できるから。
調整が必要だと思ったら、原因を見つけた上で調整します。
──親として一番誇らしく思う瞬間はどんなとき?
娘はユーモアのセンスがあり、私はその点をとても気に入っています。
彼女が何かおかしなことやいたずらをするたびに、ドキドキハラハラさせられています。今は、いたずらをするのがとても楽しいようで、もう可愛くてたまりません。
──子どもにはあなたのどんなところを見習って欲しい?
映画『フォレスト・ガンプ』で「人生はチョコレートの箱のようなもの。開けてみるまで中身はわからない」というセリフがありますが、人生はどう展開するかわからないというオープンマインドな考えを維持することが重要です。
性別も出身も関係なく、障害でなくチャンスを見つけるという姿勢を私は両親から受け継ぎました。両親はずっと私の立派なお手本です。
子どもがこの姿勢を信じて肌で感じながら成長すれば、ワクワクする人生になるでしょう。
──お気に入りの変わった儀式はありますか?
真夏のスウェーデンでは、人々が手に手を取って輪になって曲に合わせてメイポールの周りで踊ります。私の祖母は私や兄が小さかった頃、台所で一緒にその中の1曲を歌ったものでした。
夫と私も娘と一緒に同じことをやり始めました。娘はこれが大好きです。
最近、娘は歌の途中で自分だけ「いち抜けた!」をするようになりました。それで、家族3人で空港や歩道で歌っているとき、娘が突然歌も踊りもやめるので、夫と私が2人で熱狂的に歌いながら踊っている形になります。
──今までもらった子育てに関するアドバイスで心に残っているものはありますか?
先週はToca Bocaのチーム全体がリスボンで1週間過ごして、遊びに専念しました。
子どもたちが自由に遊ぶべき理由はたくさんあります。スピーカーの一人が、子どもも大人も遊びによってどれほど回復力が育つか、新しい状況に取り組むとき遊びがどのように役立つかについて話しました。
私は、遊びが世の中の善の力になる理由を並べたリストに自己回復力を加えました。子どもが遊びながら年齢を重ねるのがどれほど大切なことか。
──子育てで一番難しいことは何?
時間に限りがあること。私はいつも家族、友人、健康、仕事にもっと多くの時間を費やしたいと思っていますが、なにしろ24時間しかありません。ですから、時間がなくてやるべきことが全部できないと嘆くより、時間を割いてすることは、すべて集中してするべきなんです。
── 1日のうちで一番好きな時間はいつ?
私の好きな瞬間は2つあります。
1つはテディが朝、目を覚ましたとき、もう1つは私がオフィスから帰宅してテディがドアを開けてくれるときです。お互いに再会した気分になります。1日の中で最高の瞬間です。
── (テクノロジー産業に携わる親として)家庭でスクリーンを見ることに関するルールはありますか?
我が家では本当に決まったルールはありません。
私たちはとても活動的な家族で、娘はまだとても幼いので、彼女とはあまり話し合ったことはありません。子どもがスクリーン(タブレットやスマホなど)で遊ぶ時間と場所を間違えずに選ぶことが大事だと思っています。何に関しても、適切な時間と場所があるものだから。
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Michelle Woo – Lifehacker US[原文]
Photo: Courtesy of Caroline Ingeborn